出産を機にサロンをオープン 得意技のプラスオンで売上獲得 ヘアメイクアーティスト・清水玲歌さん
誰もが知る有名ハリウッドスターのヘアメイクを手掛けるなど、ヘアメイクアーティストとして活躍中の清水玲歌さん。前編では、スターへのヘアメイクをした際の裏話や、どのようにお仕事を獲得してきたかを伺いました。
後編では、ヘアメイクサロン「Hair set&Spa Roquat Salon」の経営について伺いました。現在お子さんを育てながら、経営者としてもご活躍の清水さん。出産を機に働き方を見直し、サロン開業に踏み切ったのだそう。
今回、お話を伺ったのは…
清水玲歌さん
ハリウッドスターなど数々の著名人も担当するヘアメイクアーティスト。六本木、銀座のセットサロンやブライダルサロンでの経験も。メディアへの出演も多数。立川でヘアメイクサロン「Hair set&Spa Roquat Salon」とスタジオ「Dot studio」を経営中。
出産を機にヘアメイクサロン開業
「Hair set&Spa Roquat Salon」はクーポンサイトのアワードを受賞したこともある人気サロン
――清水さんの今のお仕事の内容を教えてください。
現在は、ヘアメイクサロン「Hair set&Spa Roquat Salon」と撮影スタジオ「Dot studio」を経営しながら、個人のヘアメイクアーティストとしても活動しています。またメディアへの出演や、ヘアメイクの講師をすることもあります。
撮影などのヘアメイクは毎回胃がキリキリするほど緊張しますが刺激的で楽しく、サロンワークは私のライフワークになっています。方向性は違いますが、どちらも大切で楽しいお仕事です。
――元々は、ブライダルサロンやヘアメイクさんの事務所に所属されての勤務をされてきたそうですが、なぜご自身でサロンを開業されたのですか？
「いつか自分のサロンを持ちたい」という夢があり、出産を機に、一般の方にヘアメイクをするサロンの開業を決めました。
開業以前は、フリーランスのヘアメイクとして活動していたので、撮影が入ると朝5時に大きな荷物を持って電車に乗り、夜23時まで働いて帰宅するということもしばしばでした。しかし出産を機に従来の働き方が難しくなり、仕事の仕方を見直してサロンワークをベースにした活動に切り替えました。今は依頼があったタイミングで、撮影などのメディアの仕事に行きます。
サロンワークの日は朝8時に出勤して、9時にお店をオープンし、17時頃お店を閉めるという流れで1日を過ごしています。働き方を変えたことによって、子どもと向き合う時間も確保できるようになりました。また私の作品を見てお客さまがサロンに来てくれるという経験ができていることが、とてもうれしいです。
得意な技術の獲得と撮影スタジオの開業で収入アップ
成人式や結婚式参列時のヘアメイクが1日中崩れないと人気
――長年、サロンの売上をキープし続けるコツはありますか。
美容師の場合はカットやカラーなど基本の技術習得の上に、さらにオリジナリティのある技術をゲットしていくと、売上アップに繋がると思います。たとえば、コーンロウができると夏にあるお祭りの時期や、ダンスを習っているお子さんが発表会のときに来てくれるなど、それだけでオーダーが増えますよ。
技術習得のためには、講習会や動画視聴をした後にできる限り練習をすることや、上手な人にコツを聞くのがおすすめです。最近流行している「フルールヘア」は、私のサロンで勤務している若いスタッフにコツを教えてもらい、練習して習得しました。
習得した得意技は、SNSなどで発信することもおすすめです。技術をアピールする際は、「なんでもできます！」という見せ方よりも「コレが得意！」という際立ったポイントを見せるほうがよいと思います。
――サロン運営をするうえで、他店との差別化は意識しましたか？
開業時から差別化については強く意識していました。地域で一番のお店になりたかったので、近隣にどんなヘアメイクサロンがあるかを徹底的に調べましたね。サロンを出店する際に、吉祥寺と立川で悩んだのですが、他店調査の結果、立川にオープンすることを決めました。
また、差別化の一貫として、国分寺にある実家をカフェと撮影スタジオに改修したんです。スタジオをオープンしたことで、「スタジオを借りたいのですが、ヘアメイクもお願いできますか？」という問い合わせもありました。自分の得意なヘアメイクから少し視点を変えて、関連する業態を運営するのも、差別化や売上を上げていくことにつながっているのかなと思います。
細かな心遣いが顧客の安心感を作る
和と洋が融合した世界観の清水さんの作品
――サロンでお客さまを施術する際に、心がけていることはありますか？
1日中崩れないスタイルを作り上げるのはもちろんのことですが、施術を通してお客さまの気持ちを盛り上げることを意識しています。ヘアメイクは特別な日に行うことが多いものです。施術をしながら、どんな催しがあり、なんのためにヘアメイクを依頼されたのかをお聞きしながら、ワクワク感を高めるような会話を楽しみます。
どんな目的でヘアメイクをしたいのかをお聞きすると、こちらから提案できることも出てくるんですよ。たとえば、親族として参列する結婚式のためのセットであれば、正面から撮影される写真が多くなるので前から見たときに華やかなスタイルが提案できますし、お辞儀をする機会も増えるので、前髪にスプレーをふるなどの気配りができます。ちょっとしたことですが、そこから安心感を得てもらえるといいなと思っています。
また、着物を着る方にはあるき方や車への乗り方、万が一着崩れてしまったときの対処方法などをお伝えすることもあります。雨が降りそうだったら、少し裾を短めにすることも提案できますよね。こうした心配りに対して、喜んでいただけることが多いですね。
――清水さんの今後の目標を教えてください。
サロン経営の面では、ゆくゆくはハワイにお店を持てたらいいなと思っています。海外で日本のスタイルを再現できるようにしたいので、教室に通い、日本髪などを学んでいます。
またヘアメイクアーティストとしては、コレクションなどにも参加してみたい思いがあり、最近は作品撮りをしてコンテストに応募しています。作品があるヘアメイクアーティストさんが最先端の場所に立っていると思うので、これからも技術や語学力を研鑽していきたいと思います。
清水玲歌さんの長年愛されるサロンを経営するための3つの秘訣
1．基礎的な技術にプラスして、需要の高い技術を習得して提供を始めた
2．他店調査を徹底的に行い、出店地を決めた
3．撮影スタジオなど、ヘアメイクに関連した業態をオープンした
柔らかい笑顔でヘアメイクとしての歩みを語ってくださった清水さん。大人気サロンの経営とヘアメイクアーティストとしての活躍の裏には、新しい技術の獲得のためのたゆまぬ努力と、自分のライフステージに合わせて働き方をしなやかに変えていく姿がありました。ヘアメイクアーティストとして活躍したい方は参考にされてみてはいかがでしょうか？
