欲しいのは会社の理念を理解し、共感してくれる人材/株式会社エターナル #1
美容師を目指す学生、新天地を目指すスタイリストさんにとって、避けては通れない就職活動。晴れて採用を勝ち取るためには、どんな準備が必要? 心がまえは? そんな疑問を、実際のサロン採用担当者にインタビュー!
今回は、美容業界のリーディングサロンとして就活生からも人気の高い「AFLOAT」を運営する株式会社エターナルにフォーカス。採用を担当する守道さんに、全4回に分けてお話をお聞きします。
#1は、エターナルグループの採用事情について。採用フロー、求めている人材など、採用全般についてお聞きします。
お話を伺ったのは…
株式会社エターナル 準執行役員/LallYou 渋谷 代表 守道さん
美容学校卒業後、株式会社エターナルに入社。2022年より準執行役員、「LallYou 渋谷」代表に就任。アシスタント時代からグループ内のリクルートチームに所属し、就活生の対応などに関わる。現在はグループ全体のリクルート担当として、リクルートイベント登壇をはじめとする採用活動に携わっている。
新卒採用のスタートは4月。中途採用は随時募集中
――まずは美容業界の採用についてお聞きします。活動のスタート時期はいつごろから?
地域や会社によって異なりますが、東京の大手美容室で新卒採用のための会社説明会を開催する時期は例年7月が多いです。エターナルグループも昨年までは同様でしたが、2024年からは4月に1次募集をスタートする予定です。またエターナルは名古屋にも出店しているのですが、名古屋・東海エリアは5月に一次募集が始まるところが多いです。
――新卒採用がひと段落したところかと思います。採用の状況はいかがですか?
採用人数はそのときのサロンの状況や構想によって変わりますが、今年は新卒で30名ほどを採用しました。中途に関しては、新ブランドの「LallYou」を大きくしていきたいところなので、随時募集しています。
今年の新卒採用に関しては、応募者数からさほど落選者も出ませんでした。その年によって変わってくるので、なんとも言えませんが、半分以上落ちるような険しい道ではないと思います。
大切なのは、会社の理念や働き方に共感できるか
――エターナルグループを志望する方の傾向があれば教えてください。
まず多いのはヘアメイク志望の方です。ヘアメイクとして活躍しているスタッフがいたり、メディア露出も多かったりするので、少しミーハーな思考の方も多いのかなと思います。そういったキャリアが目指せる体制が整っているのも大きいんじゃないでしょうか。
また以前は男性スタイリストが多く、代表が女性スタイリストの育成を推進した結果、女性の志望者が多い傾向にありました。今は女性が働き続けられる土台も整い、男女比はほぼ半々。志望者についても、その年によって変動はありますが、男女比はさほど大きくありません。
今エターナルでは「AFLOAT」と「LallYou」という2ブランドを展開しています。それぞれ働き方や考え方が正反対なんですが、前述したタイプの方が志望するのは「AFLOAT」です。
大々的に推奨しているわけではありませんが、「AFLOAT」はSNSを活用した個人集客型の営業スタイルで活動しているスタッフが多く、そういったスタッフに憧れて「自分も有名になりたい」という意志の強い方が志望することが多いです。
逆に「LallYou」は、みんなで協力してサロン運営をしていくことを重視しているので、チームプレーが好きな方が興味を持ってくれています。
――会社としては、どんな人材を求めていますか?
第一条件は、会社の理念を理解してくれていること。「有名だから」「聞いたことがあるから」という感覚だと、もし入社できたとしても1年くらいで「何か違いました」と辞めてしまうことが多いんです。
正反対の2ブランドを運営している分、合わない考え方を選ぶとすぐ辞めてしまうんだなというのを、すごく実感します。働き方や考え方に共感できていれば、働き始めてすぐに「合わないな」と感じることはないと思うんです。これは新卒、中途を問わず、求めていることです。
技術面に関しては、入社してからしっかり身につけてもらうものだと考えているので、とくに何も求めていません。中途の場合でも、もちろんどこまでできるかの確認はしますが、「これができないとダメ」ということはありません。どちらにしても、入社後しっかりサポートしていきます。
集団面接とサロン実習を通して人物像を知っていく
――採用の流れを教えてください。
採用情報は会社説明会やガイダンス、ホームページ、リクルート専用のInstagramなどでアナウンスしています。そこから基本的には新卒の場合、Googleフォームを活用して履歴書や自己PRを送っていただくんです。その後、一次面接、サロン実習、最終面接を受けていただいて、通過すれば採用という流れです。
一次面接は5~6名ずつの集団面接。大きな会場で、数グループ同時に進行します。サロン実習は、4~5時間程度のサロンワークに2日間参加してもらいます。すべて通過したら、最終面接。ここでも集団面接を行い、取締役が数名ずつ面接を担当します。
中途採用の場合は、時期を問わず必要なときに募集をかけているので、各サロンのホームページやSNSアカウントなどでアナウンスしています。中途採用専用の応募フォームから応募いただいたら、すぐに面談して合否が決まるという流れです。
――採用フローの中で重視されるのは?
最初のGoogleフォームでの書類選考は一次面接のサポートのようなものですし、最終面接は取り締まりによる最終確認のようなものなので、実質重要視しているのは一次面接とサロン実習です。
――採用のなかで、独自の取り組みがあれば教えてください。
ガイダンスなどに出席してくれた美容学生さんには半額クーポンをお渡しして、一度お客様としての来店をおすすめしています。
また履歴書代わりになるGoogleフォームは会社独自のものなので、差別化できる部分かもしれません。とくに自己PR項目では写真の貼りこみもできるようにして、それまで自分が取り組んできたこと、自分の強みを表現しやすくしています。
採用活動は本心から志望しているかを見分けるためのもの
――採用にあたって気をつけていることは何ですか?
言い方は悪いんですが、上辺だけで捉えないことは意識しています。やっぱり面接となると「いいことを言おう」「自分をよく見せよう」という気持ちが出るものですが、それだけがすごく上手な人というのもいます。そういう人は、実際に働き出したら難しい面が多いんです。
だから上辺だけではないか、本心で語っているかというのは、面接の質問や実習の中でこちらが見抜いていかないといけない部分だと思っています。
――ご自身が採用担当として、一番大切にしていることは何ですか?
個人的に大切にしているのは、エターナルグループを志望してくれた方々に、夢を持ってもらうことです。面接官としてだと志望者との対話にも限界がありますが、リクルーターとしてイベントに参加したり美容学校に行ったりする立場なので、いろいろ伝える機会も多いんです。真面目に「こういう会社だよ」と話すことも必要ですが、それ以上に「うちに入ったら、こんなにワクワクして面白いんだよ」と伝えられたらと思っています。
とくに学生が興味を持つワードとして、よく取り上げるのは「ヘアメイク」。ヘアメイクを目指したい人のためにどんな取り組みがあるか具体例を出しながら、そのための現実的な大変さを交えて話すんです。また、さまざまなカリキュラムについて説明することで、「そんな可能性もあるんだ」と思ってもらえるように心がけています。
次回は、採用される履歴書について詳しくお聞きします。
取材・文:山本二季