好印象のカギは自分の言葉で伝える力とコミュニケーション力/株式会社エターナル #3
美容師を目指す学生、新天地を目指すスタイリストさんにとって、避けては通れない就職活動。晴れて採用を勝ち取るためには、どんな準備が必要? 心がまえは? そんな疑問を、実際のサロン採用担当者にインタビュー!
前回に続き、就活生からも人気の高い「AFLOAT」を運営する株式会社エターナルの採用担当・守道さんにお話をお聞きします。
#3では、採用に直結する面接時に注意したいポイントをチェック。株式会社エターナルでは、一次面接、サロン実習、最終面接の3回の面接があるそう。それぞれ、どんなところに注目しているのか、教えていただきました。
お話を伺ったのは…
株式会社エターナル 準執行役員/LallYou 渋谷 代表 守道さん
美容学校卒業後、株式会社エターナルに入社。2022年より準執行役員、「LallYou 渋谷」代表に就任。アシスタント時代からグループ内のリクルートチームに所属し、就活生の対応などに関わる。現在はグループ全体のリクルート担当として、リクルートイベント登壇をはじめとする採用活動に携わっている。
一次面接は人間性とコミュニケーション力をチェック
――今回は面接についてのお話をお聞きします。
#1で、エターナルグループでは面接に力を入れているとのことでした。
まずは一次面接の流れを教えてください。
一次面接は、30分程の間隔で5~6名ずつ、3テーブルに分かれての集団面接です。面接官側は、各店舗のマネージャーや店長などが3名ずつ入ります。
まずは1人2~3分ずつタイマーをかけて、自己紹介、志望動機、自己PRを一気に話してもらいます。話す順番は決まっていないので、挙手制や並び順など各テーブルで話しながら決めるんです。それを繰り返して、それぞれの話を聞いていくという感じですね。話す内容は基本的にフリースタイルです。
――そこでは、どんなことを見ていますか?
主に見ているのは、その子の人となりと、コミュニケーション能力です。緊張するのは当然なので、うまく話せなかったり、言葉遣いがおかしくなったりするのは、全く気にしていません。ただ完全にパニックになって、3分間何も話せなくなるレベルだと、接客という仕事上難しいかなと判断されることはあります。
逆にプレゼンのように上手にすらすらと話せるのは、度胸があってすごいなとか、しっかり準備してきたんだなと感じますね。また志望動機の内容から「これだけ熱い想いでうちに入りたいのか」と感じられると好感が持てます。フリースタイルな分、いかに自分の言葉でまとめて持ってこられるかというのが大事かなと感じます。
――印象に残っている面接はありますか?
大まかな流れ以外、話す内容はフリースタイルなので、個性が出るんです。全身タイツを着てくる子もいましたし、歌をうたう子、ダンスを踊る子、芸人のようにフリップを持ってくる子もいました。そういった面白いことをするのは、僕が入社する時代から続いています。
だから事前にサロン見学に来た子が先輩にリサーチすると、そういう風習があると言われて本番でがんばった…ということもあります(笑)。面白ければ受かるわけではないけど、やっぱり印象には残りますね。
一緒に働くことになるスタッフ全員で評価するサロン実習
――面接通過後のサロン実習では、どんなところを見てらっしゃいますか?
新卒の採用試験で行うサロン実習では、基本的に学生は美容師免許がないのでお客様には触れられません。そのためサロン業務の中でも、フロアの掃除や材料の準備などを主に行ってもらいます。そういった実際のサロン業務の中で、適材適所な能力と、コミュニケーション能力を見ています。
ここで評価するのは、アシスタントを含めたスタッフ全員。自分から動けるか、次を考えて行動できるか、笑顔で接客ができるか、あいさつがきちんとできるか…といった、サロンワークを一緒にやっていくうえで大切な対人スキルを、スタッフ全員が評価してチェックシートに記入するんです。
――評価が高い人、逆に低い人の共通点は?
評価が高いのは、やはりコミュニケーション能力が高い人。笑顔がすてきだとか、すごく気が利くとか、みんなに丁寧にあいさつができていた、というのは「一緒に働きたい」と思ってもらいやすいですよね。
逆に、中には他の子を蹴落とすような行動や、自分だけが目立てばいいという考えで頑張ってしまう様子が見られたりもします。頑張りが空回りしている状態ですが、ひどい場合は評価が低くなる可能性は高いです。もちろん遅刻してきたり、ずっと笑顔がない、自分から動かず端にずっと立っている…というような、意欲が感じられない様子も評価は低いですね。
すべて集団での面接だから良さも悪さも目立ちやすい
――最終面接は、どういった視点で見ていますか?
そこまでに大まかな評価は出ているので、最終面接は役員的な目線で見ての確認。取締役員たちが気になった内容について質問を投げかけて、最終的な判断をしていきます。だから基本的にはほぼ落選することはありません。
ただ、サロン実習のなかでスタッフでは明確な判断ができなかった子というのがたまにいるんです。「すごく気が利く動きをしてくれたけど、ずっと笑顔がなかった」とか、「笑顔はよかったんだけど、ちょっと立っていることが多かった」とか。そういったスタッフで判断できなかった子たちを、最終面接での質疑の中で判断してもらい、回答にズレがあったりすると落選する可能性もあります。
――面接や実習はすべて集団ですが、その理由は?
単純に人数が多いというのもありますが、比較がしやすいというのも大きいです。すごくいい人材は引き立つし、逆の場合もとても目立つ。また「人の話を聞く姿勢」というのが見られるのもいいところだと思います。自分が話す順番ではないときに、話している人を見て頷けるのか、気を抜かず姿勢よく座っていられるかというのも、結構大切なところですから。
面接は数分間のコミュニケーションで
どれだけ好印象を与えられるか
――面接の中で必ずする質問はありますか?
最近多かったのは、「美容室に入ったら、何が一番大切だと思いますか?」という質問です。正解はないんですが、その人の考え方がわかるんですよね。「売り上げです」と言われれば「貪欲なタイプなのかな」とか、「お客様への対応です」という子は「接客を重視しているのかな」とか。そういった人間性がわかる質問は、何かしら入れていると思います。
――「正解はない」とのことですが、好感を持った回答はありましたか?
美容師になったら自分がサロンの一員だというプロ意識を持つこと。技術や接客、普段の行動も含めて学生とは変わってくること。そういった意識が感じられる回答は好感が持てます。新入社員として入社したときからできることは、挨拶や返事といった子どもでもできるような内容なんです。そこをちゃんと理解しているかは大事かと思います。
――面接で好感が持てる服装を教えてください。
パッと見の服装は、面接時のチェック項目にも入っていますが、とにかく「清潔感があるか」につきます。服装のジャンルは問わないし、スーツでなく私服でOK。ただ「面接を受ける」という意識を持って、身だしなみを整えてくるのは必要なことです。お客様の前に立ったとして、全員から好感を持たれるようなファッションがいいと思います。
――逆にNG行動は?
遅刻や無断欠席は論外ですが、あとは服装に清潔感がない、声が小さすぎる、無表情、失礼な言葉遣いなどでしょうか。緊張してタメ口が出てしまうのは仕方ないんですが、「フランクなコミュニケーション」を間違えて解釈して喋っている子もいるので、そこは気をつけて欲しいです。
集団面接では1人あたり数分しかコミュニケーションがとれないので、どうしても第一印象の良さは必要になってきます。だから身だしなみは重要ですし、面接している30分間どれだけ笑顔でいられるかというのは大切なことで、そこが欠けていると難しいのかなと思います。
採用される面接時のポイントまとめ
1.自分の言葉で想いを伝える準備をする
2.笑顔できちんとコミュニケーションをとる
3.第一印象に影響する身だしなみや表情を意識する
次回は、採用したい人材の特徴について詳しくお聞きします。
取材・文:山本二季