「Le Belles Femmes」は、私の“理想”を詰め込んだサロンです 私の履歴書 【サロンオーナー/エステティシャン 高山加奈子さん】#2

フランス語で「美しい人」という意味をその名に冠した、大阪府大阪市のエステサロン「Le Belles Femmes(ル・ベルファム)」。「年齢を重ねるごとに美しく咲き続ける」とのコンセプトを掲げ、一人ひとりに合った1対1による施術と、最初から最後まで優雅な時間を提供する女性専用の完全プライベートサロンです。

このサロンのオーナー兼エステティシャンである高山加奈子さんは、某大手化粧品会社での勤務を経て、エステティシャンに転身されたという異色の経歴をお持ちの方。前編では、化粧品会社でのキャリアを経てエステティシャンとして転身するまでを伺いました。

後編では、エステティシャンとしてのキャリアや自身の理想を形にしたサロンを構えるまでのお話に加え、エステに関するもう一つの仕事や家庭との両立などについてお話いただきます。

「いつかは自分のサロンを持ちたい」。そのために現場を経験

「化粧品会社でのエステのインストラクター時代、大手から個人のサロンまで様々なサロンを見る機会に恵まれたのは、いい経験になっています」(高山さん)

――エステティシャンへ転身されてからのキャリアは、いかがでしたか?

関西圏にあるエステサロンを数店舗巡り、現場経験を積みました

まずは化粧品会社時代、エステのインストラクターをしていた際に担当していた、兵庫県の芦屋にあるエステサロンに入社しました。施術メニューの種類も豊富で集客力もあり、メディアへの露出も多くオーナーさんも素敵な方で、トレンド感がある印象でしたね。その人気の秘密を知りたい、学ばせていただきたいと思ったのが選んだ理由です。

――そこで学んだことはありますか?

施術メニューのことや技術、接客面などのエステに関することで学べたことはたくさんありました。加えて思い知ったのは、現場スタッフの絶え間ない忙しさと努力の積み重ね。本当にすごいと思いました。昼食が夕方になることもしばしばで、営業後にはミーティングに技術レッスン。毎日が体力勝負で、想像以上に大変でした。それでも強く思ったのは「やはり現場は楽しい!」ということ。お客様からご指名をいただけた時には、特にやりがいを感じました

――芦屋のサロンの後は、また別のサロンに?

はい。大阪府の帝塚山のサロンと、わずか数カ月ですが南船場のサロンなどを巡り経験を積みました。芦屋を含め、いずれも美容感度の高い地域にある、高級志向のエステサロンです

化粧品会社でのエステのインストラクター時代から抱いていた「いつかは自分のサロンを持ちたい」という思いを軸に現場経験を積むつもりだったため、あまり長い期間は勤めなかったですね。外部のエステサロンで修行したのは、トータルで大体1年と数カ月くらいだったと思います。

私のエステは、最初から最後まで「優雅」でありたい

幅広い年齢層から長く支持される、高山さんのサロン。その秘密に迫る(高山さん提供)

――独立開業されたのは、いつ頃ですか?

最初から今の場所ではなく当時はマンションの一室を借り、2008年10月にスタートしました。リーマンショックもあり不景気な時期だったので周りからは心配されましたが、私の中では「今しかない!」という気持ちだったんです。

お店のPOPや掲示、ホームページの構成に施術メニューの作成など、全部私一人でやりました。こういったスキルは、化粧品会社時代の業務経験で培ったもの。人生に無駄なことはないのだな、と思いましたね。

私の良心に反することもあり、以前の勤め先でのお客様への勧誘等は基本的に行いませんでした。指名してくださるお客様には、勤務先のサロンを辞める旨をお伝えした際に、その後のことを聞かれたらお答えする程度に留めていました。同じく友人や知人にも、特に声はかけませんでしたね。周りに頼っていては、長続きしないと思ったからです。そのため、集客も1からのスタートでした。

エステはある程度通い続けることで結果が出やすいのは事実ですし、次の来店につなげやすいこともあって、コース契約や化粧品のキープ制度などといった手法がエステ業界では一般的になっています。

しかし、私は常々この手法を疑問に思っていました。だから私のサロンでは、施術メニューは基本的に都度払い制度にしています。お客様が「良かった」と思ったら、また来てくださると信じているからです。もちろん、エステには来店推奨頻度があるのでご案内はしますが、お客様が来たいと思ったときに来ていただけるシステムがいいなあって。

無理に営業や勧誘をしない、回数を縛らないといったこの方針は、開業時から今までずっと貫いているスタンスです

――営業や勧誘をせずに一から始めて、苦労することもあったのでは?

それが、そうでもないんです。改めて振り返ってみて、自分の当時の考え方は正しかったんじゃないかと思います。

月々の場所代含め経費の支払いも問題なく、不景気で立ち行かなくなる同業者も少なくない中、サロンの運営とは別にアルバイトなどもせず生活できていました。

お客様にも恵まれ、長いお付き合いの方もたくさんいらっしゃいます。喜ばしいことに、その方のお母様や娘さんなどといったご家族の方がいらっしゃることもあるんです。

お店は今年で16周年を迎えましたが、自分の「理想」を形にしたサロンを貫いてきて正解だったと、胸を張って言えます。

――プライベートサロンにこだわっているのはなぜですか?

私の中でエステとは、日常の中で「非日常」を感じられる場所であって欲しい。お客様がサロンに足を踏み入れた瞬間から施術中、そしてサロンを後にするまでの最初から最後まで、徹底して優雅であるべきです

これは化粧品会社でのエステのインストラクター時代、様々なエステサロンと関わっていく中で、自然と芽生えていったイメージでしたね。こんな働き方がしたいな、と思って。

だから、一人ひとりのお客様との時間を大切にできるよう、またお客様と長くお付き合いしていけるよう、プライベートサロンのスタイルにこだわっています。

死ぬまで現役でいたいんです。今の仕事が、大好きだから

家庭や子育てとエステの仕事を、見事に両立している高山さん。その姿は、多くの女性たちのお手本になるはず(高山さん提供)

――結婚・出産・子育てとライフステージが変わる中で、働き方も変わっていきましたか?

変わりましたね。マンションの一室でサロンを開業した当時は独身だったこともあり、日曜日しか休みがなく、遅い日には夜23時くらいまで仕事をしていることもありました。

しかし、夫が「妻にはなるべく家にいて、家や子どものことを任せたい」という考え方だったんです。しかし私も仕事は続けたかったし、彼も私の仕事は応援してくれていました。その結果辿り着いた最適解が、自宅でエステの仕事をすることでした。

結婚のタイミングで一軒家を建て、その一室を私のサロンルームにしました。居住スペースとは玄関も別々にして完全に分けることで、生活には侵食しないように工夫しました。エステは、比較的小さな場所からでも始めやすいというのもメリットですね

自分がオーナーのサロンなので、予約の管理も出産や育児との兼ね合いで調整することができました。出産後、育児が落ち着いてきてからは、週1などの無理のないペースで復帰していきました。お客様が離れてしまわないかという不安はもちろんありましたが、復帰後に少しずつ戻ってきてくださり、胸を撫で下ろしたのを覚えています。

うちは子どもの学校や習い事が忙しく、お弁当や送迎が必要なものも多いんです。エステの仕事に子どもの世話や家のあれこれで、今でも1日があっという間に過ぎてしまいます。目まぐるしい毎日ですが、これが“充実している”ということなのかな。

――多忙な日々を送られている中で、エステティシャンとして施術を行う上で心がけていらっしゃることはありますか?

毎回、前回と同様もしくはそれ以上のパフォーマンスを維持し続けること。長く通い続けていると、だんだんと馴れ合いのようになってしまうこともあると思うんです。これは私が客の立場として経験したことですが、その時に自分を戒めました。前回の施術がよかったからとまた来店してくださっているお客様に対して、さらにご満足いただけるように心がけています

実は、サロン運営の傍ら、このようなエステに関する話を学生のみなさんにお伝えする仕事もさせていただいているんです。

――それは、どのような仕事ですか?

2009年の春から、大阪樟蔭女子大学で非常勤講師として教壇に立ち、「エステ論」と「エステ実習」という講義を任せていただいています

化粧品会社にてエステのインストラクターをしていた時の、得意先からのご縁でオファーをいただいたんです。ちょうど2008年の独立開業時にこのお話をいただき、自分のサロンを始めたばかりの当時の私にとっても、大変ありがたいお話でした。

今年で15年目になりますが、受講生の中には、実際に何人かエステティシャンになった方もいるそうです。

高山さんが担当されている、座学の「エステ論」と実技の「エステ実習」の資料。特別に少し見せていただいた

――多岐にわたりご活躍されている高山さんですが、今後の展望はありますか?

3つあります。1つ目は、できるだけ長く、お客様と共に歳を重ねていくこと。また、私は死ぬまで現役でいたいと思っているので、自分の健康管理をしっかりすることが2つ目。そして3つ目、具体的に決まっているわけではありませんが、“人に教える”ことを今までとはまた違った形で始めてみたいですね。

――美容業界を目指す方へ、何かアドバイスをお願いします。

大学の講義でも話していることですが、美容のお仕事というのは、所謂女性にとっての「手に職」。いつかどこかで役に立つ日が来るかもしれない、学んでおいて損のないことです。お客様が喜んでくださる姿を目の前で見られてやりがいも大きく、長く楽しめる仕事なので、私としてはとてもおすすめです!

――高山さんにとって「働く」とは?

「大好きなこと」。「今の私から仕事をとったら、何が残るの?」というくらい

自分がやりたいと思えることしかできない私は、この価値観を度外視して生活のためやお金のために働く、といったことはきっとできません。

おいしいものを食べる、欲しいものを買う、旅行へ行くのもいいし、大切な人のためにお金を使うのもいいでしょう。それらを、私は誰かが稼いだお金じゃなく、自分で稼いだお金でやりたいんです。

何にも依存せず、自分が自分らしく自由であるためには、自分だけの世界が必要だと感じています。私の場合は、それが仕事なのでしょうね。

高山加奈子さんの成功の秘訣

1. 自分のやりたいことに一途である

2. 目標に向けてひたむきに努力できる

3. 芯の通った独立心を持っている

撮影/斎藤大地
取材・文/勝島春奈

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Salon Data

Le Belles Femmes
住所:大阪府大阪市住吉区我孫子4-6-5
電話:090-4297-9887(完全予約制)

 

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