「子育て世代」なら絶対に行きたくなる工夫で、リピーター続出! 世田谷の美容室『ALPHA Cherie』が始めた画期的な取り組みとは?
『ALPHA Cherie』がある三軒茶屋駅の周辺は、美容院の両隣が美容院、ということも珍しくない激戦区。しかし、同サロンはそんな厳しい環境においても開店時から安定した経営を続け、2019年に始めた『ある取り組み』によって、新規顧客とリピーターを大きく伸ばしました。
前編ではオーナーの関谷はるみさんに、お客さまに選ばれ続けるさまざまな秘密や安定したサロン経営のコツを伺います。
安心して子どもを預けられる「子育て支援員」がいるサロン
————さっそくですが、『ALPHA Cherie』の強みはなんでしょうか?
「当サロンでは、ママさん・パパさんが施術を受けられている間、子どもの世話をするプロが子どもたちの相手をしています。スタートしたのは2019年からで、サロンのお客さまに『子育て支援員』という保育関連の免許をお持ちの方が偶然いらっしゃり、定期的に来ていただくことができるようになりました」
————キッズスペースのあるサロンは増えましたが、子どものお世話をしてくれる人がいるサロンは珍しいですね。
「うちでも6年前からキッズスペースはあったのですが、すでにそういうサロンは多いので、あまり差別化になっていませんでした。さらに、お子さま連れのお客さまがいらっしゃっても、お子さんがキッズスペースからママのところに来てしまい、なかなかママがリラックスできない状況もよくあったのです。私たちからしても、お子さんが来てしまうとママの姿勢が崩れて髪型に影響し、思い通りのバランスがとれなかったり、施術時間がかかってしまう問題がありました。今回、専門家の方がお子さんを見てくれるシステムを導入することができ、非常によい効果が出ています。今後はさらに充実させたいですね」
————子育て支援員の方は、どれくらいのペースでいらっしゃるのですか?
「毎週木曜日の10時30分から14時30分までお願いしています。現在、ホームページやインスタグラム、ツイッターで告知するほか、店頭に『子育て支援員がいます』という看板を出しているのですが、とくに『看板を見ました』というお客さまが多いです。サロンが面している茶沢通りはもともと人通りが多く、日曜・祝日は13時から17時まで歩行者天国になるため、さらに人通りが増えます。だから看板の宣伝効果はかなり高いですね。看板の別面に『子供カット』の料金表示をしているのですが、歩行者天国の日は『今からできますか?』という子供カットの飛び込みのお客さまが多いです。日曜・祝日は予約のお客さまで混み合うため、あまりお受けできないのですが、そういう風に一度興味を持っていただくと後日また来ていただけますね」
「子どもの来店」という接点が生み出すリピーター
————「子育て世代」という切り口が、非常に効果的だったのですね。
「当サロンには、最初は『お子さんのカットだけ』というお客さまもいらっしゃいます。これはキッズカットの価格をあえて安くしているためですね(未就学児1,650円。小学生1,950円。シャンプーなし)。ママ・パパには、『親子カットというメニューもありますから、ぜひ次回は保護者の方も』とお声掛けするようにしており、次回からかなりの保護者の方が施術を受けられます」
————子育て支援という取り組みを始められて、どのような変化がありましたか?
「繰り返しになりますが、『キッズスペースあります』という宣伝をしていた頃より、はるかに新規のお客さまが増えました。さらに実際に来店されて、お子さんを支援員さんに見ていただくと、保護者の方は非常にリラックスして施術を受けられています。さらに、来ていただいている支援員さんが『子どもたちの様子を施術後にしっかり伝えてくれること』も大変評判がいいですね。また、お子さんたちが保護者の方に連れられて来店すると、お店の階段を自分で昇って、まっすぐにそのスペースに行くほど『遊べる場所』というイメージができているらしく、お子さんたちが『あの美容院に行きたい!』と言ってくれているそうです」
————それは強烈なリピートの動機になりますね。
「6年前にこのお店をオープンした時は、今ほど大きなキッズスペースはなく、小さなサークルしか用意していませんでしたが、子育て支援の取り組みを始める前に支援員の方の意見でキッズスペースを大きく広げました。畳やマット、おもちゃを増やし、周囲も本を入れたボックスで囲いました」
「自分自身の経験」と「お客さまへの思い」から生まれた「子育て支援の店」というコンセプト
————「子育て世代に優しいサロン」を作った背景を教えてください。
「当初から明確に『子育て支援のお店』を目指したわけではありません。ママたちにリラックスしてもらいたくてキッズスペースを作ったものの、お子さんが出て来てしまったらリラックスできず、泣き出してかえってお客さまに気を遣わせてしまうこともあったり。そんなワチャワチャした状況では100%の髪型でお客さまをお帰しできませんし、それが悩みでした。そんな時に周囲の方たちのアドバイスや『子育て支援員』の方との出会いがあって、実現することができました」
————お客さまを大切にすることから、現在のお店のコンセプトが生まれたのですね。
「私や店長が担当するお客さまの多くが、まだ若い時からお付き合いが始まって、彼氏・彼女ができ、結婚・出産を経て、お子様連れで通ってくださっています。そして私自身もお店に子どもを連れて来ているという状況で、『子育て支援』というコンセプトは自然にできてきたものでした。お子さまをプロの方に見ていただくことは、私たちらしい差別化になるのかな、と思っています」
激戦区で新規顧客・リピート顧客を生み出す極意
急速に増える「子育て中の共働き世代」を支える『ALPHA Cherie』。その新規顧客の獲得とリピーター増加の極意をまとめると下記の3つでした。
1.顧客の特性に合わせた、「子育て支援サロン」というコンセプトの設定
2.独自の強みを発揮するために「子育て支援員」を置き、「環境」を整えた
3.サロンの立地を踏まえた広告・宣伝方法を行なう
後編ではスタッフの教育や、リピーターを生み出す独自の価格設定などに迫ります。
▽後編はこちら▽
「子育て世代に優しい」だけじゃない! 世田谷の美容室『ALPHA Cherie』のもう1つの武器とは?>>