高木琢也 interview#2:難しい、難しいって、その先入観が物事をよけいに難しくさせていないか?

――挫折が高木さんを強くしたとは言えますか?

「攻めてナンボだっていう気持ちは中学校の頃から思っていて、今も変わっていません。高校受験するときに『90%第一志望の高校は落ちます』って言われましたけど、合格の可能性が10%でもあるなら受験したいと。その代わり落ちても先生のせいにしないし、自分の実力が足りなかっただけだから。受けないで諦めることがイヤでした。それで落ちて、スポーツ推薦のところへ行きました。大学受験するときも、高校の成績はよかったし、学級委員もやっていたので、指定校推薦がいくつか取れていたんです。でも指定校に行くのは安パイすぎるなと思って、自分の中でギリギリ受かるか受からないかくらいのレベルの法学部だったら行きたいと思ったんです。それでダメだったら、大学は諦めると。挑戦してダメだったときに、失敗して後悔するのは自分じゃないですか。そうじゃないと納得できないんです」

――常にギリギリのところで勝負したいと。

「安パイを選ぶ人生って平凡でしょ! 攻めないと」

高木琢也さん

――転職や就職で悩むRejob読者に向けて言いたいことがあるとすれば、“攻めろ”ということですか?

「そうですね。僕は攻めこそ最大の防御だと思っているので、攻めまくることで自分を守っているといったら、そのとおりかもしれません。スポーツでも攻めていたら、相手は攻撃できないじゃないですか。僕は、やりたいことがあるんだったら攻めないといけないと思っています。やりたいことって簡単にはつかめないし、誰かが与えてくれるものでもない。っていうのは、うちのスタッフたちには言っています。学生の人たちからも『どうしたらいいですか』とよく聞かれるんですが、『自分のキャラを押し出して攻めていくといいよ』と答えています。守りに入ることは誰にでもできるけど、攻めることに対してみんなが臆病になるのなら、絶対に攻めたほうがいいだろうと」

――今は全体の風潮として弱気になっていますよね。

「最近の若い人たちの口グセで気になるのが『難しい』という発言です。『カットって難しい』『パーマって難しい』『美容師って難しい』……。難しいという言葉は誰でも言えるし、それをみんなが難しいと思うんだったら、自分ひとりは『簡単だ』と言えたほうがカッコイイじゃないですか。『僕は不器用だから難しい』なんて聞くと、お前のその先入観が難しいものにしていないかって。『簡単そうだな』と思って始めたほうが、僕の経験上、よっぽど成長スピードがはやいです。例えば、ハサミって絶対にまっすぐなので、切り方や切る角度がちょっと違うだけの差なんです。それをポジティブに捉えるか、ネガティブに考えるかだけ。無理だと思うのなら、自分が簡単に理解しやすいように解釈すれば、もっと伸びると思うんです。アドバイスされて、怒られたと取るか、教えてもらったと取るかといっしょで、受け取る側の気持ちの弱さがダサイなって思います」

高木琢也さん

――そうなると、経営者の立場として採用したい人材はやっぱりポジティブな人ですか?

「やる気や覚悟は大前提です。あとは自分自身を客観視して、自分にはこういう強みがあると、自信を持って言える人はやっぱり採りたくなります。顔はカッコよくなくてもいいんです。おもしろいでもいいし、ていねいでもいい。ただし、ヘアサロンはやっぱり気遣いとチームワークが大切なので、それができなさそうな人は外しますけど」

――OCEAN TOKYOの新卒の面接でお店の前に行列ができたというのが話題になりました。

「僕らってお客さまと関わっていく仕事をしていて、人と人とのつながりを大切にしているはずなのに、何を偉そうに書類審査するんだよっていうのがあったんです。だったら、直接会って感じてみたい。ただ、大人数なのでひとりあたり1分間しかないよみたいな。熱意のある人たちが前日の昼から並んでいたのには、僕も驚きました」

高木琢也さん

――OCEAN TOKYOに入れなかった人に向けて、言えることってありますか?

「うちは新卒で落ちても、中途で入ってくる人たちがけっこういるんですよ。だから、何度か落ちても頑張った結果、入社している人は何人もいます。ただ、なんて言うか、1つ落ちたくらいでヘコんでいるような人は、だから落ちるんだよって言いたくなりますね。そういうのをはねのけて、やっぱあいつを採っておけばよかったって、後悔されるようになれと思います」

――最後に、今後の目標はありますか?

「美容室という枠を飛び越えたいと思っています。髪を切る、ものを売るだけじゃなくて、例えば、事務所みたいにしてアーティストの発掘やプロデュースとかそういうこともやってみたいです」

高木琢也さん

――それは今までにないスタイルですね。

「3Bって言葉、知っていますか?」

――初めて聞きました。

「美容師、バーテンダー、バンドマンが結婚できない3Bと言われているんですよ(笑)。休みがちゃんとないとか、給料が安いとか。そういうものを覆して、美容師ってスゲーって憧れられる職業にしたいです」

Profile

高木琢也さん

高木琢也さん

美容師
出身地・千葉県
OCEAN TOKYO代表取締役
座右の銘:攻め

早稲田美容専門学校卒業後、都内1店舗を経て、中村トメ吉さんと共に2013年9月にOCEAN TOKYOを設立。現在は3店舗。2015年3月、『個人月間技術売上1200万円』の偉業を成し遂げ、2016年5月、最年少の美容師として日本武道館でのヘアショーに出演。美容界トップクラスの指名数、リターン率を誇り、発信するスタイルはすぐさま流行を創り出す。今、メディアから最も注目を集める美容師。また、サロンワークだけでなく、TV・CMの出演、一般紙・業界紙・ヘアショー・セミナーなど活躍の場を広げている。美容師向けのセミナーでは申し込みが殺到し、200人以上のキャンセル待ちも発生。『最高の似合わせ』を武器に、男女問わず多くの芸能人、モデルなどから絶大な支持を集める。止まることを知らない美容界の風雲児。

Information

高木さん書籍

『OCEAN TOKYOのメンズヘアBOOK』(エイ出版)

OCEAN TOKYO 全面プロデュースのヘアカタログ。これぞOCEAN TOKYO というスタイルがたっぷり載って、さらにはスタイリング法もしっかりまとめられている。その他にも、ヘア×ファッションのコーデ術やスタッフのプライベートまでもが凝縮。これ1冊でOCEAN TOKYOのすべてが丸わかり。880円(税抜)

Salon

OCEAN TOKYO

住所/東京都渋谷区神宮前5-27-7 アルボーレ神宮前4F
電話/03-6427-5323
営業時間/12:00~21:00 土日祝11:00~20:00
定休日/月曜
http://www.oceantokyo.com/

OCEAN TOKYO Harajuku

住所/東京都渋谷区神宮前4-32-13 JPR神宮前432 6F
電話/03-6455-5076
営業時間/12:00~21:00 土日祝11:00~20:00
定休日/月曜

OCEAN TOKYO Shibuya

住所/東京都渋谷区神宮6-16-13 Naias神宮前7F
電話/03-6427-3841
営業時間/12:00~21:00 土日祝11:00~20:00
定休日/月曜

高木琢也 interview#1:今どきガツガツしているヤツは珍しい。ことなかれ時代の真逆を行く“異端児美容師”>>

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