パパ美容師『美容師に必要なものって、子供が持っていたりするんです。』
今回のパパ美容師は「Mano」代表の杉田誠さん。しっかりとしたスタイリング哲学と柔軟性を兼ね備えた若き経営者にしてパパ美容師。山野美容専門学校、中央大学を経て、原宿の「ACQUA」で7年勤務。現在は地元の千歳烏山、仙川で「MaNO」「Lmano」の2店舗を経営。地域を愛し、愛されるサロン経営者が考えるパパ美容師とは。また、父親になることで、どう変化していったのか。お話をお伺いしました。
――美容師になったきっかけ、独立したきっかけを教えてください。
「小学生の時から、ムースをつけて学校に行っていたくらい、子供の頃から髪の毛を触るのが好きでした。やっぱり「好きに勝るものはなし」といったところでしょうか。美容師になってからも、シャンプーもままならない入社1年目の時から「独立するには」みたいな本を常にリュックに忍ばせていましたね笑。
原宿の「ACQUA」で7年間修行を積んだ後、元同僚との共同経営で自分のお店をスタートさせました。美容室ってやっぱりお客さまが「ホッとする場所」であるべきだと思うんです。そういう意味で場所は迷わず地元をセレクトしました。地域密着の温かさがありつつも、都会的なハイセンスなデザインが融合した「ハイブリットサロン」を目指しています。」
――杉田さんご自身の、スタイリストとしてのこだわりを教えてください。
「「再現性」と「ひらめき」と「慣れないこと」です。
「再現性」というのは、その人がどういう生活を送っているかをリアルにイメージすること。接客中に、お客さまのちょっとした動作の中でも、利き手が左右どちらか、どんな癖がある方かなどを常に見落とさないようにしています。さり気ない会話の中でも、この方は自転車によく乗られるだとか、子供がいらっしゃって朝はなかなか時間が取れないなど、少ない情報から妄想を最大限に膨らませて、リアルな日常に落としたスタイリングをすることを大事にしています。
「ひらめき」というのは、その再現性を高めるためのプロとしてのご提案。プラスでメニューをご提案したり、相性のいいスタイリング材をお教えしたり、必要であれば他店のワックスであってもお教えします。
最後は「慣れないこと」。1日の最初に来るひとり目のお客さまも、最後に来る10人目のお客さまも、同じ質のサービスが提供できるように、常に心がけています。」
――プロ意識が高いですね。お仕事と子育てとのバランスはいかがでしょうか?
「子供との時間の両立は決して簡単なわけではありません。休みの日もセミナーに行くこともありますし、平日休みなので、土日にパパがいなくて寂しくないかな?と心配になったりします。
でも大事なのは時間の使い方だと思います。毎朝必ず一緒にご飯を食べるようにしていますし、休みの日にはおままごとをしたり、公園で一緒に遊んだり、なるべく子供との時間を作るようにしています。
そういう思いから、ウチの店は平日は18時CLOSEにしています。閉店後に勉強するもよし、飲みに行くもよし、家族と過ごすもよし。夏季休暇、冬季休暇はそれぞれ8日間の連休を与えています。みんなしっかりオフを楽しみ切ってから戻ってくるので、顔がスッキリしていますよ。そうすることで、スタッフのみんなには、時間を有効に使うことを覚えて欲しいし、家庭がある人には無理なく仕事と両立して欲しい。自分が今まで経験した強い思いからです。」
――素晴らしいですね。杉田さん自身、子供がいてよかったなと思うことは?
「すべてです。まず、スタッフへの教育の仕方がワンランク上がったと思います。より親目線で、教育者としてスタッフを育成できているようになったという実感がありますね。たとえば、評価の仕方も「お前はこれだからダメだ」みたいに白黒はっきりつけるのではなく、あえてグレーゾーンを作ってあげる。今の若い子ってよく根性が足りないみたいな言われ方をされるんですけど、逆にいいところはなんだろう?という視点で見てあげると、チーム力が高かったりするんですよね。そうやって、長所を見つけて伸ばしてあげる。これは親になったからこそ分かったことです。私自身はもともとは根性論タイプなんですが(笑)、親になって完全に変わりました。無償の愛というのは大事です。
お子様がいらっしゃるお客さまも増えました。子供という共通の話題を共有することで、より幅広い年齢層の方に付かせていただく。そうすることでさらに自分の経験が広がるので、うれしい限りです。」
――お子さまのカットもされているのですか?
「お客さまのお子さまもカットしますし、自分の娘もお店でカットしています。少しでも子供との時間をつくりたいのと、働いている父親の姿を見せることも大切だと思っています。」
――最後に未来の“パパ美容師”にひとこと!
「美容師は接客業。人対人で、人に選ばれる仕事です。だからこそ、最終的に選ばれるのは人間力なので、経験の幅が広がるという意味で、親になることはおすすめです。「気に入っているかな」「本当に納得しているのかな」相手の本心を読み取ることは、ホスピタリティの原点です。これは子供もお客さまも一緒。そういう意味で、美容師に必要なものって、実は子供が持っていたりするんですよね。私もまだまだこれからですが、これからも子供と一緒に成長していけたらなと思っています。」
profile
美容師
MaNO代表出身地:東京都山野美容専門学校、中央大学を経て、原宿「ACQUA」に入社。7年にわたり、高い基準のスタイリングを学ぶ。その後2011年に千歳烏山に「MaNO」を開業。2014年には隣駅の仙川に2店舗目となる「Lmano」をオープン。地域密着の温かさ×都会的なセンスのいいデザインのハイブリッドサロンを目指す。お客様とスタッフを大切にする若き経営者・トップスタイリストにして3才の娘を持つ1児の父でもある。
Information
https://www.youtube.com/channel/UCUssoRW-QTuk_q232vyzYkAkamigatazukan
https://www.instagram.com/kamigatazukan/
Salon Data
MaNO
住所:東京都世田谷区南烏山6-7-18 丸杉ビル2F
京王線千歳烏山駅より徒歩1分
電話:03-5315-5770
営業時間:火〜金/9:30〜18:00 土日祝/9:30〜19:30
定休日:月曜日(祝日の場合もお休み)第1・3・5火曜日
http://www.manodesign.jp/mano.html
Lmano
住所:東京都調布市仙川町2-17-11 kururu仙川1F
京王線仙川駅より徒歩4分
電話:03-5315-5960
営業時間:火〜金/9:30〜18:00 土日祝/9:30〜19:30
定休日:月曜日(祝日の場合もお休み)第1・3・5火曜日
http://www.manodesign.jp/lmano.html