高いクオリティで発信し続けるサロン!『CIECA.』
数々のファッション誌やヘアカタログにも掲載されるサロン『Garland』から生まれた別ブランド『CIECA.』。カフェをイメージした外観や内装が目を引く、ユニセックスな雰囲気のサロンです。今回は、統括ディレクター/CIECA.代表の野口和弘さんに、集客や教育、情報発信についてお話を伺いました。
技術で負けないサロンへ
――前編ではスタッフさんはSNSも自主的にされているとのことでしたが、お店としてもSNSに力を入れているのでしょうか。
「やはり集客については、昔と様変わりしてきています。だからと言ってSNSで有名になるよりも、今は教育に力を入れようと考えています」
――それは、なぜでしょうか。
「やはり一度お越しいただいたあと、どうリピーターになっていただけるか、他の人を連れてきていただけるかというのを重視しています。繰り返してお越しいただけるロイヤルカスタマーを重視しています。そのためにも技術で他のサロンに負けない土台を作る必要があるので、スタイリストに対して技術のベーシックなところから見直すためのレッスンを行っています。ベーシックがあってこそ、時代に合ったトレンドに対応できるんです」
提案力や人間力…技術以外の力も重視
――カット技術以外に、教育で力を入れていることはありますか。
「スタッフに人間力をつけて、いい人材になってもらうことを目標にしています。教育者をどう育てるか、リーダーとして上に立てるよう、考え方を伝えています。また、髪のプロとしてお客さまの悩みをどう引き出すか、提案力も重視しています」
――提案力とは具体的に、どのような内容を想定されているのでしょうか。
「継続して悩みに応えていくことで、お客さまと信頼関係を築いていくことはもちろんのこと、初めてお越しいただいたお客さまに『ここが気になりますか?』と経験則を感じさせるアプローチをちゃんと行うようにしています。たとえ、それがはずれてもいいんです。それよりも、会話のなかでどんどん提案したほうがお客さまとの信頼関係を築くことができますから」
――なるほど。アシスタントについては、教育面で気をつけていることはありますか。
「アシスタントの1~3年目は辞めやすい時期なんですよね。だからこそ、しっかりとビジョンを見せてあげることを大切にしています。こうしないと10年後ないよ、と話すようにしているんです。なかには自分は向いてないという人もいますが、そんなときは、向いているからうちのサロンに受かったんだよ、と伝えています。入りたいといって誰でも入れるわけじゃないんです。初心を忘れているよ、と言うのを伝えるようにしています」
SNSはクオリティの高いものだけを発信
――SNSよりも技術を重視されていますが、それでも発信は重要ですよね。
「そうですね。SNSには新しいスタイルがあふれています。ついつい、同じようなモノを作りがちです。だからこそ、逆の考え方、逆の発想を大切にしています。またお客さまは、クオリティが高いものを多く目にすることで、見る目が肥えてきているのも事実です。だからこそ、技術的に完成度の高いものだけを意識して発信しています」
――スタッフのSNSもチェックしているのですか。
「そうですね。スタッフが出すものについても、クオリティ管理はしっかりしています。また雑誌などでの活動も、発信のネタになったり、スタッフのモチベーションにつながるので、積極的に行うようにしています。何より自分自身は発信する側である、と意識してもらいたいですね」
――最近は雑誌を見ない若い人も多いそうですね。
「美容師業界でも、業界誌を見ない学生が多いと聞きます。でも、だからこそ業界自体を盛り上げるようにしていきたいですね。できればスーパースターをサロンから育てていきたいです。憧れる存在が出てくることで業界も盛り上がってくると思います」
――今後はどのような展開を考えていますか。
「店舗展開も考えていますが、やはり人の育ち方次第ですね。Garland時代は10年で10店舗と考えていましたが、今は店舗を増やすことがいいことかわからなくなりました。それよりも人をどう育てていくかに重きを置きたいですね」