真・グローバル時代の美容師 Salon Ryu・京極琉さんの美の極め方 #2

今、美容業界で最も注目したい美容師の一人が京極 琉(きょうごく りゅう)さん、23歳です。12歳のとき中国・上海から来日。日本の中学・高校を卒業後、ヘアサロンで働きながら夜間の美容学校で美容免許を取得。その後、カット専門の会社で半年間修業し、退社後はロンドンへ。
現地のアーティストとともにフォトシューティングを重ねて帰国後、2017年7月には、赤坂のビルの最上階にサロンを立ち上げます。若干22歳(当時)。このスピード感の背景に、どんな想いがあったのか? #1に続いて、こちらのインタビューをご覧ください。

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“生きる力”が試されたロンドン修業時代

「ロンドンでは作品を撮り続けました。フェイスブックで現地のフォトグラファーに呼びかけ、僕自身がチームを組んで撮影していました。みんな現地人、イギリス国籍の人ばかりです。

英語はもともと得意ではなかったですが、僕は中国籍で日本に帰化していないので、イギリスのビザ取得の条件として渡航前に英語の試験が課せられたんです。カット専門店時代から準備はしていたので、無事、試験に受かり6か月間のビザを取得できました。

その半年間にはヴィダルサスーンをはじめ、トニー&ガイ、サンリッツなどのアカデミー(短期研修)に参加しました。日本でかなりお金を貯めていたのと、あちらでは一般のモデルさんを無料でカットしても、チップ(日本でいう心づけ)がもらえるし、

“仕事”として、一部の撮影ではギャラがもらえました。最も強く感じたのは、一般の人でも美容師を美のクリエイターとして認めてくれている風土があったし、VOUGEのようなハイファッション誌でも、まったく無名な僕らが持ち込んだ作品を いい!と思ったら掲載するなど、クリエーションを応援してくれる環境がありました」

Salon Ryu
Salon Ryu
琉さんが率いるクリエイティブチームが創り出す作品のインパクトは群を抜いている。そのベースにあるのは彼のカット力と圧倒的な画面構成力。そしてブレないディレクション能力だろう。カット専門店での修業時代のたった半年間をベースに基礎を磨き、さらにはロンドンでの体当たり的な武者修行が、彼のクリエイティブ能力を飛躍的に高めたと言える。

“置かれた場所”で、強みを最大限に伸ばす

――サロン修業時代からこれまで、たった3年でここまで来られた理由は何だと思いますか?
「中学・高校時代の6年間がもったいなかった!という後悔ですね。そのときのロスを取り戻したくて、必死に美容を追究していました。

中でもカット専門店での修業時代は今も僕のベースになっています。研修施設があって 先生もいて、同期が13人いて、それぞれ年齢もバラバラでしたが、みんないろんな事情で
ここで働いている。

練習ではウィッグを毎日12~13台も切るんです(笑)材料は全部、会社持ちでしたが、ハンパない量ですよね。でもそれだけでは足りないので自主練ではカット本を片手にウィッグを切っていました。

僕のカットの先生はDADA Cubicの植村(隆博)さんとファイバーズームの井上(和英)さんです(笑)。このお二人の本からたくさんのことを学びました。

店では男性客が中心なので、とにかくハサミとバリカンでのショートカットを攻めまくりました。10分間のフルカットを1日平均32人。10時から19時までの法定勤務時間内なのでこの人数が限界。研修でも実践でもとにかく量を切るので、手がハサミ? という感覚になるまで切っていましたね。

ハサミの安定度や速度など、ハサミとの相性があるなら、僕はここで鍛えられたと思っています。8か月と短い期間でしたが働きながら学べたことは今でも本当に感謝しています」

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夢の中国国内出店に向けて、来春始動!

――琉さんの作品はカラーのインパクトが大きいですが、いつカラーリングを学んだんですか?
「カラーは独学です。毎日、自宅で本を片手にウィッグにカラーをしてデータを取っていました。材料費はもちろん自腹で、休日はモデルを自宅に呼んでカラーをしたり、美術館や展覧会に行って“感性を磨きました。ウィッグを中心に、コンテストにもガンガン挑戦していましたから、今考えたらちっとも遊んでいなかったですね(笑)」

インタビューの途中で、筆者の知人で中国・上海在住の日本人美容師で女性経営者のKさんが合流。たまたま帰省中だったKさん。琉さんの作品を見て発した言葉が「上海で一緒に何かやらない?」でした。

琉さんもいつか母国でサロンを開きたいと思っていて、武漢やウルムチなど地方都市でセミナーや美容学校の短期講師をやっているのですが「中国でのブランクが長いので地元・上海でのコネクションが思うように築けなかったんです」とのこと。

さっそく昨今の上海の美容事情を話すKさん。
「琉さんは日本の学校も出ているし日本で働きながら、視点は海外に向いている。若いときに自発的に動いている人は得るものがある。スポンジのように何でも吸収するから」と評価。

琉さんが持つバイタリティとグローバルな視点は、本人が思っている以上に“ダイヤモンド級”のようです。

京極 琉さん
Salon Ryu
穏やかな笑顔とソフトな物腰の琉さん。数々のコンテストへ出場し、結果を出してきました。サロンでは独自のシャンプー、トリートメントも生産。「日本人は他国のものに憧れているけど、それに勝る技術がある。でも周りに気遣いしすぎてしまって、クリエーションに集中できないんだと思います。ちゃんと自分自身を出して一緒にやれる同志を見つけ、アジアからクリエイティブを発信していきたいです」

取材・文/山岸敦子
撮影/田中大三
画像提供/Salon Ryu

Salon Data

Salon Ryu

Salon Ryu(サロン リュウ)

2017年7月、赤坂のビルの1室に京極琉さんがオープン。
黒と白を基調とする近未来的な空間に個室が2つ、すべての施術をマンツーマンで行っている。
京極さん自身は、修業時代から数々のコンテストに出品。
賞を獲得したコンテスターでもあり、ロンドン時代から国際的な感覚でフォトセッションを重ねてきたまさに新しい時代の美容師といえる。
http://www.salonryu.com/index.php

TOKYO☆BEAUTYを極める!Salon Ryu・京極 琉さんの“美容道”#1>>

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