VeLO/vetica・赤松美和さん#2 大切な人から引き継いだ魂

原宿でご主人の鳥羽直泰さんと共に「VeLO」(ヴェロ)/「vetica」(ベチカ)を運営する赤松美和さん。“仕事も人生も楽しくハッピーに”がモットーの赤松さんですが、その背景には大事な人との永遠の別れがありました。
赤松美和さん第二回目のインタビューでは、父と師匠の死に影響を受けた彼女の生き方についてお伺いします。

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経営者の父が教えてくれたひとりの100歩より100人の一歩

――赤松さんが影響を受けた人はどなたですか?
「先ずは父ですね。私が大学生のときに父は50歳の若さで亡くなりました」

――どんなお父様だったのでしょうか
「父は私を自由に育ててくれました。大学に合格したときには“大学っていうのは、勉強するんじゃなくて友達を作りに行くところだよ”なんて言ったり、私がバックパッカーの旅に出たいと話すと二つ返事でOKしてくれるような人で。普通、女の子がひとりで世界を旅するなんて言ったら心配してしまうと思うんだけど、父は“世の中の価値観に振り回されず、自分の心が動くことを探して行いなさい”と言ってくれる人でした」

――素晴らしいお方ですね。きっとお父様もそのように生きてこられたのでは?
「そうですね。父は建設業を営んでいましたから、家には職人さんがたくさんいました。
父の事務所には“ひとりの100歩より100人の一歩”という言葉が貼られていて。父が毛筆で手書きしたものなのですが、これこそが父を表す言葉。思い返せば人の縁に大変恵まれていたんです。

この頃はバブルの時期で建設業者は儲かっていた時代。そんな中、生前の父は“同業の友達はクルーザーや別荘を残しているが、僕の財産は人だから”と言っていましたね。職人さんたちは、口は悪いけど腕で生きているって感じで、私からすると皆さん本当にかっこよかった。そんな人たちをまとめる父は偉大だなぁと、今でも尊敬しています。

死後25年近く経ちますが、今でもお墓に行くと生前の知り合いの方々がお花を供えて下さっていて。人望の厚い人だったと、頭が下がる思いです」

赤松さん
お父様の影響もあって、人に対し愛情の深い赤松さん。写真は愛犬・ミック君と。

師匠の若すぎる死に直面して…

赤松さんが影響を受けた人はもうひとり。独立前まで所属していたDADA CuBiC(ダダ キュービック)の代表・植村隆博さんです。クリエイション力において右に出るものはいないと言われたほどの実力者ですが、2013年、44歳の若さでお亡くなりになりました。

――植村さんは生前、何度もお仕事をさせていただきましたが、美容に全身全霊を込めて体当たりしていた印象です。ロンドンで活躍後、日本でDADAをオープンしたときは、それまでの美容界がひっくり返るほどの新しいムーブメントを起こされて… かっこよくて斬新でした。一緒にお仕事するのが楽しみで仕方なかったです。
「タカさん(植村氏)は情熱と感性で生き抜いた方です。損得を考えない人なのでジャッジがシンプルなんです。やると決めたら、ストイックで…だからタカさんについて行くことは物凄くハード。厳しいし妥協も許さない方だから。当然、ギブアップするスタッフも少なくなかったですね。

ただね、だからこそタカさんのクリエイションは、もう神の領域。彼の下で仕事をしてこられたこと、本当に感謝しています。亡くなる前、いつだったかタカさんに“ありがとうございました”と伝えたことがあって。そうしたらタカさんに“俺じゃなくて、後輩にその言葉を伝えろ”と言われて。タカさんのその精神を、私がちゃんと伝えなくちゃいけないって、思いますね」

――植村さんもまた、人望の厚い方だったんですね…
「はい。教育者としても素晴らしい方でした。アカデミーの活動に積極的でしたが、それは“将来性はあっても、埋もれている美容師は日本中にたくさんいる。彼らをどうにか引き上げたい”という思いがあったんですね。本当にパッションのある方だった」

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人の心に残っている限りその命は滅びてはいない

お二人の若すぎる死を通し、生きていることの素晴らしさを痛感したという赤松さん。だからこそ、この瞬間をハッピーに楽しく過ごしたいという気持ちが強くなったようです。

「なにかの本で“肉体が滅びたときに死ぬのではない。人の心から忘れ去られたときこそが、本当の死である”というような言葉を目にしたことがあって。私、両腕に小さなタトゥーを入れているんですけど、ひとつは父が亡くなったとき、もうひとつは師匠であるタカさんが亡くなったときに彫りました。ふたりが見せてくれた生き様を忘れたくない。自分も恥ずかしくない生き方をしないと、という気持ちになるから」

赤松さん
お父様の死後、左腕に鳥のタトゥーを、植村さんの死後には右腕に星のタトゥーを彫ったそう。仕事をしていても常に目に入るので、守られている感覚になるという。

さらに、「ふたりが早く亡くなったことは悲しいことだけど、今も生きていたら、私の生き方も違っていたかもしれない。だってこんなに早く、命に対しての気付きはなかったと思うから。彼らのメッセージをきちんと受け取って歩んでいきたいですね」

そう語る赤松さんも情熱的でキラキラと輝いている人。これからも“OTOME‐ZA”セミナーを通し、またサロンワークでたくさんの人たちにハッピーを分け与えてくれることでしょう。

取材・文/小澤佐知子
撮影/田中大三

Salon Data

ph7-min
VeLO/vetica

VeLO/vetica(ヴェロ/ヴェチカ)

原宿にあるビルの4階と5階にそれぞれのサロンを運営。VeLOは赤松さんと鳥羽さんが中心となってサロンワークをこなす。
再現性に優れたデザインを心がけていて、セルフスタイリングでもサロンのような仕上がりになれるよう、一人一人のクセに合わせたカットを提案してくれる。
いつも個性的なハイファッションで出迎えてくれる赤松さん。インスタグラムでも毎日その日の衣装をアップし、話題を呼んでいます。
https://www.velovetica.com

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