圧倒的な技術で特殊パーマ界を牽引！『宇宙開発美容所』
今から19年前、1998年に大阪ミナミのアメリカ村でオープンした「宇宙開発美容所」と言えば、ドレッドに代表されるハードパーマ通の間では知らない人はいない有名サロン。サロン名からも他店と一線を画する個性が感じられるように、得意とするスタイルも唯一無二のものばかり。いわゆる“特殊パーマ”と呼ばれるパーマのメニューは独特の技術や手間を要することから扱わないサロンが多数な中で、独自の技術を開発しテクニックを磨いて特殊パーマ界の雄となった「宇宙開発美容所」。今回はオーナースタイリストである畑中さんに、特殊パーマへの思いやスキルアップのための秘訣などを伺いました。
先輩と違うことを、からスタート
――特殊パーマを扱うお店は限られており、またその市場も決して大きいとは言えませんが、オープン当時から特殊パーマを中心にしようと考えていたのですか？
「オープン当初は特にハード系のパーマや個性派カラーを売りにしていたわけではありませんでした。ただ店名が個性的だったせいもあり、店名から変わった髪型をイメージして来られるお客様が多く、オープンから1年しないうちに今の形になってましたね（笑）。僕自身22歳とかなり若い時期に独立したので、先輩たちと同じことをやっていてもダメだ、何か違うことをしなければという思いもあり、他にないヘアスタイルを提案するようにしていました。現在はお客様の約8割がドレッドやハードパーマ、特殊カラーをオーダーされますが、もちろんナチュラルなカットやカラーにも対応していますよ。今の店舗は6年前に同じくアメ村のビルから移転リニューアルしたのですが、お客様はオープン当時からのリピーターの方からSNSや口コミで店を知ったという新規の方までと幅広く、10代から70代までと客層の幅も広いです。」
教わる、ではなく独自の技術を編み出す
――ドレッドにも種類があると伺いました。それぞれ施術方法なども異なると思うのですが、そういった技術の習得はどのようにしたのでしょう？
「当店が特殊系ヘアスタイルの店として認知されている理由に、細かな種類のオーダーにも対応できる点があると思います。ドレッドとひと口に言ってもレゲエ、HIP HOP、ヒッピーと実はその種類は多彩。お客様がどんな音楽を好んでどういった雰囲気のドレッドにしたいのかはもちろん、例えばひと月限定でしたいのか、10年続けたいのかでも施術方法が異なります。特殊パーマの技術は美容学校では教わらないため試行錯誤しながら独学で学び、施術に使用する道具も売っていないので手作りが中心。当店の場合ドレッドの根元のリペア方法だけでも3〜4種あり、ファイバーエクステの加工なども店で行う他、特殊カラーやハードパーマのヘアスタイルに適したシャンプーやスタイリング剤も自作して使っています。東急ハンズなどをブラブラしながら、何かパーマに使える材料はないかと捜し歩くこともしょっちゅうですよ。技術の習得に関してはアイデアと練習あるのみですが、特殊パーマ系のスタイルはオーダーする人も音楽やダンスに詳しかったりそれに携わっている人が多いので、お客様のニーズをちゃんと理解するためにもそういった方面へ常にアンテナを張っておくことが大切。これらは講習や勉強会では学べないので、例えば最新のドレッドをいかに日本人のライフスタイルに合わせてアレンジできるか、いかに自分自身で情報を仕入れるか、がとても重要です」
流行りと呼ばれる流れるものに興味はない
――例えば秋冬のおすすめヘア設定など、シーズンごとのスタイル提案をあえてしない理由は？
「僕自身がその時々の流行のように、流れ去っていくものに興味がないのがひとつ。そして、ドレッドやアフロ、特殊カラーといったスタイルを好まれるお客様は確固たる好みだとかスタイルがある方が多いので、いわゆるトレンドヘアというものは特に意識したことはありません。よく一般的なサロンでは似合わせという言葉を使いますが、ハードパーマの場合は似合うかどうかはその人の心意気で決まるんです（笑）。そういう意味でもお客様には個性的な人が多く、中には台湾から3ヶ月に1度来てくださるリピーターの方もいて、こちらが刺激を受けることも多いですね。」
特殊パーマの技術や道具に既存のものは多くなく、それゆえ何度も試行錯誤を繰り返しながら店独自の技術を確立してきた「宇宙開発美容所」。それらの技術や道具は今も日々アップデートを繰り返し、常にその時にベストの状態の施術を行っているのはやはり特殊パーマ界を牽引する店らしいですね。後編では、スタッフへの教育方針や今後の展開など、店の運営を中心に聞いていきます。
Profile
畑中利光さん
オーナースタイリスト
京都出身。高校卒業後、美容室でアシスタントとして現場で働きながら美容専門学校の通信教育で学ぶ。22歳の若さで独立して以来、唯一無二の個性を持つヘアサロンのオーナーとしてサロンワークを中心に活躍。
