森 拓郎 interview ＃2：効果的なダイエットは、正しい考え方から

今回はボディワーカーの森拓郎さんにインタビュー。キメ細かいボディメイク指導に定評があり、ファッションモデルや女優などの著名人からも厚い信頼を得ています。また、ダイエットにおける食事改善の大切さにいち早く着目し、15万部のベストセラーになった『運動指導者が断言！ダイエットは運動1割、食事9割』の著者でもあります。
そんな森さんに、辛くて挫折しがちなダイエットを続けるポイントや、これまでに指導してきたなかでとくに印象に残っているできごとなどを伺いました。中編では、ダイエット情報を受け取る際に気を付ける点などについても教えていただきました。

少しずつ変化してきた体型を、すぐに変えるのはおかしい

――ダイエット指導の際に心がけていることを教えてください。
「お客さまの意識を変えることです。ダイエットについて正しい考え方を持っていなければ、すぐにリバウンドしますから。たとえば、2ヵ月という短い期間で無理やり体重を落とすと、目標を達成した瞬間に溜まっていたストレスが爆発して、多くの方が暴食してしまうんです。そこで僕は、指導をする際にお客さまが無理をしていないかを、常にチェックしています。『週に3回来た方がいいですか？』という方には、『来年もそのペースで続けられますか？』と聞くんです。モチベーションが高すぎると、いつかはやる気がなくなる時が来ますからね。週に1回でもいいので、自分のペースでじわじわと体を変化させてほしいんです。それまで少しずつ変化してできあがった体型を、すぐにダイエットで変えようとするのはおかしいと思います。『気づいたら変わっていた』と感じるような、無理をさせない指導を心がけていますね」

ほとんどの人は、自分の体を冷静に判断できない

――ダイエットをする時は、どんなことに気を付ければよいでしょうか
「体重を気にしすぎないことですね。引き締まったスリムな体には、ある程度の筋肉が必要なので、トレーニングの過程で一時的に体重が増えることもあります。それでも、体重が減らないと不安に思う方が多いので、周囲から『痩せたね』と言われるほど効果が出ていても、『みんなはお世辞を言っているんじゃないですか？』と僕に言うんです。ほとんどの方は、自分の体を冷静に判断できませんから、僕のようなパーソナルトレーナーが、客観的に今の状態を伝えることが大切だと思っています」

目的や状況に応じて正解は変わる

――SNSなどで情報が溢れていますが、消費者が意識するべきことはありますか？
「すべての人に当てはまる情報は、ほとんどないと知ってほしいです。たとえば、糖質制限についてですが、糖質は運動をする人にとってエネルギーとして必要なので制限することはオススメしません。一方、運動をしない人は体に溜まりやすいので、ある程度抑えたほうがいいんです。つまり、その人の目的や状況に応じて、正解は変わってきます。他にも、『○○医師はこう言っていた。森先生の指導と違う』と言われたことがありました。医師は、病気の人を健康にする目的で話をしていますが、僕はすでに健康の人をさらに美しくすることが目的なんです。したがって、アプローチの仕方がまったく違います。今は、情報が溢れすぎているので、受け手側は正しく判断できる力を身に付けることが大切ですね」

体重は、筋肉、骨、水分、脂肪などが合わさったものですが、ダイエットをしていると体重の増減がすべて脂肪によるものだと思ってしまう方が多いのだそうです。「実は、短期的な体重の増減は水分量の変化によるもので、脂肪はそう簡単には増えません」と森さんは言います。後編では、長年美容業界で働いてきたなかで感じたことなどを語っていただきました。

Profile

森拓郎さん

足元から顔までを美しくするボディワーカーとして、運動の枠だけに捉われないさまざまな角度からボディメイクを提案する。2014年「運動指導者が断言！ダイエットは運動1割、食事9割 ディスカヴァー・トゥエンティワン」が15万部のベストセラーとなり、トレーニング至上主義であるフィットネス業界に一石を投じる。「ダイエットは食事改善こそが最も重要である」という信念のもとに提供するキメ細かいボディメイク指導に定評があり、ファッションモデルや女優などの著名人からの信頼も厚い。

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