千吉良恵子 interview #3:次世代のヘアメイクに求めるもの
今回は、ヘアメイクアーティストの千吉良恵子さんにインタビュー。『VoCE』や『MAQUIA』など、数多くのビューティー誌の創刊から関わっている日本を代表するヘアメイクアーティストです。
「ヘアメイクは天職です」と語る千吉良さんは、今年でデビューから30周年を迎えます。そこで、これまでの経験を振り返りながら魅力的なヘアメイクを生み出す方法や、仕事に対する思いについて語っていただきました。
メイクは、個性を相手に伝えるための道具
――年代別で、オススメのメイク法を教えてください。
「10代から20代前半は、自分に合うメイクを模索している時期なので、いろいろなメイクにトライしてほしいです。ちょっと奇抜になりすぎても若さでカバーできるので。20代の後半から、30代は自分の好みだけではなく、他人の目を意識することが大切です。社会人としてどう見られたいかを考える必要がありますね。そして40代以降は、料理のスパイスのように、自分の個性を引き出すメイクを心がけてはいかがでしょう。ただ、昔のメイク法を続けていては古くさい人と思われてしまうので、少しだけ流行を取り入れるのがおすすめです」
――魅力的なメイクをするためには、どんなことが大切ですか?
「コンプレックスを隠しすぎないことです。隠そうとすると、逆にその部分に目がいってしまうものなんですよ。それに、自分がコンプレックスだと思っているところも、実は他人から見たら魅力的に映っていることもあります。自分の特徴を認めたうえで、それを生かしたメイクを心がけてはいかがでしょう。それに、抜け感のあるメイクの方がその人の内面が見えるようで人との距離感が近くなりますよ。メイクを、コンプレックスを隠すための鎧のように使うのではなく、個性もひとつの自分の魅力としてハッピーにメイクをしてほしいですね」
これからは、本物の技術を持つプロが生き残る時代
――今後の目標を教えてください。
「次世代のヘアメイク業界を担う若手に、私の技術を伝えていきたいですね。これからの時代は、本物の技術を持つプロこそが生き残る時代だと思うんです。今は、SNSを通して簡単に技術が手に入り、また自分の技術を発信しできる時代でもあります。そういった方法も否定しませんが、本当にプロになりたいのならばしっかりとした技術を持っている人の下で学ぶことも大事ですね。私が藤原美智子さんに出会ったように、“本物”に触れた時の感動を味わってほしいのです。長い目でみれば、それが一番の近道だと思います」
どんな辛い時でも、必ず前に進んでいる
――最後に、これから美容業界を目指す若手にひと言お願いします。
「“ポジティブ思考”でいることが大切です。失敗や挫折も、それを楽しもうという意識を持っていれば必ず乗り越えることができると思います。私も、体をこわして辛い経験をしたことがあるんです。それでも、『ずっと辛いわけではない』と数年後の明るい未来を想像してがんばることができました。どんなにうまくいかない時でも絶対に前に進んでいるので、諦めずに続けてほしいですね」
誰よりもヘアメイクが好きだと言う千吉良さん。「自分が好きな仕事を、30年間も続けることができて、本当に幸せです」と笑顔で語ってくださいました。これからも、ヘアメイクとそのポジティブな雰囲気で、モデルを始めさまざま人たちの魅力を引き出していくことでしょう。
Profile
千吉良恵子さん
ヘア&メイクアップアーティスト
LA DONNAに20年間所属したのち、2012年11月1日cheek one設立。女性雑誌のビューティー、ファッションページ、広告撮影など幅広く活躍中。また、講演や化粧品関連のアドバイザーも務める。『千吉良恵子の可能力メイク』『千吉良恵子の効くメイク』他、著書多数。
Information
cheek one inc.
住所:東京都目黒区鷹番3-20-5
TEL:03-6451-0428
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