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特集・コラム 2022-04-23

男性保育士の現状と将来性を紹介|男性ならではのメリットと悩みとは

1999年に全面改定され、2007年にも大改正された「男女雇用機会均等法」に加え、昨今の社会情勢も影響して、雇用機会における男女格差は減少傾向にあります。従来「男性の仕事」「女性の仕事」といわれていたものも垣根がなくなりつつありますが、そのひとつが保育士です。

男性保育士も近年増加傾向にありますが、働き方や勤務条件などの現状はどのようになっているでしょうか。ここでは、将来性も含め、くわしく解説します。

男性保育士の現状は?

保育士は以前保母と呼ばれていた資格で、名のとおり女性しか就けない職業でした。その後、1977年に「保父」という通称で、男性も保育の仕事ができるようになりましたが、1999年の男女雇用機会均等法全面改正にあわせ児童福祉法施行令が改正され、保育士という名称に変わっています。

ここでは、男性保育士の現状を人数や待遇、メリット・デメリットなど、さまざまな面から掘り下げて確認しておきましょう。

男性保育士はどれくらい働いているの?

2022年現在で保育士は登録制となっており、保育士として働く人は保育士登録をしなければなりません。

厚生労働省のデータでは、2020年4月1日時点で8万2,330人の男性保育士が保育士登録をおこなっています。これは保育士全体の5.1%に過ぎませんが、2014年の5万4,423人よりは少しずつ上昇している状況です。

男性保育士の給与はどれくらいなの?|令和2年賃金構造基本統計調査

男性保育士の給与については、2020年の賃金構造調査統計調査のデータでは平均年齢32.4歳、勤務年数が5.7年の場合、月額は平均27万3,800円、平均賞与は年額72万2,500円となっていました。

一方、女性保育士の場合、平均年齢37.9歳、勤務年数が7.8年の人手で月額平均24万8,400円、賞与の年額は平均で74万8,900円です。平均年齢や勤務年数は多少差がありますが、違いを差し引いても、男性保育士の給与は女性より若干高めといえるでしょう。

保育士のお給料についてはこちら

保育士の給料はこれからどうなる?|処遇改善

保育は児童福祉法第二四条にもとづき、各認可保育所は市町村から委託を受けておこなっています。そのなかに人件費相当分も含まれていますが、厳密な使途制限はありません。

そのため、じゅうぶんな人件費を確保できない保育所もあり、これが「保育士の給与は安い」といわれている原因のひとつです。

厚生労働省では保育所等で勤務する保育士の賃金アップを図るため、2種類の処遇改善加算の制度を設けています。

職員の平均経験年数の症状に応じた昇給に対する「処遇改善加算Ⅰ」と、スキルや経験の向上においた賃金アップのための「処遇改善加算Ⅱ」があり、要件を満たす施設で加算が受けられるというものです。

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男性保育士ならではのメリットとは?

保護者に代わって保育をおこない、遊びや活動を通じて子どものすこやかな成長をサポートする保育士の役割は男性であっても女性であっても変わりません。

つづいては、男性保育士が働くことでどんなメリットがあるのかをいくつかご紹介します。

1. ダイナミックな遊びを保育に取り入れられる

男性保育士のメリットとして最初に挙げられるのは、女性保育士との体力差です。男性の場合、女性より一般的に体力があり、なおかつ力が強い人が多いので、ダイナミックな遊びを保育に取り入れやすくなっています。

たとえば、男性保育士ができるダイナミックな遊びとして、子どもたちを腕につかませて遊ぶことも可能です。

2. 防犯面でも活躍できる|いるだけで安心感

男性保育士の存在は、防犯面での頼もしさや安心感にもつながります。体力がある男性が保育士のなかにいるだけで女性だけの場面よりも不審者が近づきにくくなることが期待でき、警備会社プラスアルファの役割としてセキュリティ面の効果をより高められるでしょう。

また、高い防犯効果は「心強さ」など保護者の高い安心材料にもなり、保護者がより安心して子どもを預けられるようになるはずです。

3. 男性の保護者のサポートができる

男性保育士がいることで、男性の保護者のサポートができるようになるでしょう。もちろん女性保育士でも男性保護者に対して親身な対応は心がけていますが、お父さんによっては「同性だからこそ相談できる」ということで、男性保育士に相談に乗ってもらいたいと考える人もいるでしょう。

男性保育士も男性の立場でアドバイスできるため、男性保護者の相談に乗りやすく、より手厚いサポートにもつながるはずです。

4. 男児のトイレ介助がしやすい

男性保育士の場合、同性として男児のトイレ介助やトイレトレーニングがしやすい点もメリットのひとつでしょう。

園内でのトイレ介助はもちろんですが、散歩先やバス旅行で出かけたところなど、園の外では一緒に男子トイレへ入れるため、より安心したトイレ介助も可能です。

5. 女性保育士とは異なる視点で保育に関われる|子どもたちの成長を促せる

男性保育士の存在は、いい意味で男性と女性の意見や見方に違いが生じることもあります。どちらがいい悪いということではなく、意見の相違から新しい考えを導き出すこともじゅうぶんに可能です。

保育に男性目線を加えることで意見の多様性が増し、化学反応を起こすことで思いもつかなかったことが起こり、結果としてよりよい保育につなげることにもなり得るでしょう。

男性保育士ならではの悩みとは?

保育現場において、男性保育士はまだまだ少数派です。反対に、そもそも男性保育士がいないところの方が多いのが実態でもあります。

圧倒的に女性の多い職場である保育園で働く男性保育士の場合、働くうえでどのような悩みを抱えているのでしょうか。ここでは、男性保育士ならではの悩みをご紹介します。

1. 職場環境で悩むことがある|人間関係など

保育現場は、女性職員が圧倒的多数を占める職場です。それはトイレや更衣室といったハード面の問題だけでなく、職場内の人間関係などソフト面の悩みもあります。

職員同士の仲がよいというのは良好な人間関係ができている証拠ですが、親密すぎて仕事以外の個人的交際を疑われることがある可能性も。

そのためにも、男性保育士がいる・いないに関わらず、仕事とプライベートの明確な線引き、親しい仲にも礼儀ありなどの心構えで仕事に臨むことが大切です。

2. 保護者から警戒されてしまうことも

近年、とくに児童に対する性犯罪が増えていることもありますが、多くの被害者は女児です。男性保育士は、仕事上どうしても女児と関わる機会をゼロにはできませんが、女児と接する機会があることを警戒する保護者が一定数いるのも事実です。

問題発生を防ぐために、園側であらかじめ「男性保育士が対応していいのはここまで」というルールをつくるのはもちろんですが、その内容についても保護者としっかりした情報共有をおこなう必要があります。お互いに歩み寄って職場環境を整えることで、男性保育士も安心して働けるようになるでしょう。

男性保育士の将来性は?

男性保育士はまだまだ少数派ですが、男性保育士に対するニーズは高く、仕事の将来性は大いにあるといえます。

防犯性をはじめ多くのメリットがあることはこれまで述べてきたとおりですが、ひとり親家庭、とりわけシングルファーザーの支援策がじゅうぶんでないなか、同じ目線で語れる男性保育士は心強い存在です。

保育の質を上げるという面からも、男性保育士の活躍は大きなプラスになるでしょう。ジェンダーレスが進む現代社会にあっても男性でしかできない仕事があり、女性保育士の専門性と組み合わせることでよりよい保育が可能となります。

これらの点を総合的に考慮すると、男性保育士はこれからの子育て支援策で欠かせない役割を担う重要な仕事といえるでしょう。

保育士は男性にもおすすめのやりがいのあるお仕事!

全国でも数%しかいない男性保育士ですが、絶対的な数だけでなく、男性保育士のノウハウが活きる園長職として活躍する人も少しずつ増えています。

ここまで解説したように将来性が高い男性保育士は、これからの仕事として目指す価値がじゅうぶんにある職業です。資格を取得するためのルートも数多くあるため、ぜひ男性保育士を目指してみてはどうでしょうか。

引用元サイト
厚生労働省 保育士登録者数等(男女別)
e-Stat 政府統計の総合窓口 令和2年賃金構造基本統計調査
内閣府 施設型給付費等に係る処遇改善等加算Ⅰ及び処遇改善等加算Ⅱについて

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