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特集・コラム 2022-04-06

保育士と幼稚園教諭はどこが違うの?|ダブルライセンスのメリットとは

就学前の子どもを対象とする点こそ共通している保育士と幼稚園教諭。このふたつの仕事は、仕事内容や働く場所などさまざまな点が異なります。しかし、両者を混同する人も少なくないのが事実です。

そこで今回は、保育士と幼稚園教諭という仕事の違いについてくわしくご紹介します。

保育士と幼稚園教諭はどこが違うの?

仕事内容や資格、働く場所など多くの違いがある保育士と幼稚園教諭。しかし、共通している点が多いのも事実です。

ここでは、両者を比較しながら、どのような点が違うのかを項目ごとに確認しておきましょう。

1. 資格取得方法と管轄が違う

保育士と幼稚園教諭は、資格の取得方法や管轄する官庁が違うのが特徴です。つづいては、それぞれの根拠法令やルートも含め、詳細を解説します。

保育士の管轄は厚生労働省|保育士試験合格・保育士養成施設卒業など

保育士は「児童を保育する」という役割をもつ児童福祉施設の一種となるため、厚生労働省が管轄します。

保育士の仕事をおこなうには、保育士登録を済ませて、保育士証の交付を受けなければなりません。そのためには、実務経験などの要件を満たした人が受験できる国家試験に合格していること、もしくは指定された養成施設を卒業してから資格を取得したのち、手続きをおこなうことになります。

保育士の資格についてはこちら

幼稚園教諭の管轄は文部科学省|幼稚園教諭1種~3種免許状

幼稚園は文部科学省が管轄する学校に分類されており、幼稚園教諭になるには幼稚園教諭免許が必要です。

その根拠法令は「教育職員免許法」となり、4年生大学や短大などの幼稚園教諭養成機関を卒業することで、養成機関のある都道府県教育委員会から免許状が交付されます。

2. 保育対象・目的が違う|仕事内容の違いとは

保育士と幼稚園教諭の仕事は、その目的だけでなく内容も違います。仕事の流れも含め、具体的に見ていきましょう。

保育士の保育対象は0歳児から|保育を補い基本的な生活習慣を養う

保育の仕事は、「労働または疾病などの事情がある保護者に代わって保育をする」というものです。

保育士は産休明けから就学前の子どもを対象に、基本的な生活習慣を身につけてもらうという重要な役割を担います。

保育士の仕事内容はこちら

保育士の1日の仕事の流れ

保育士の仕事は、保護者の出勤時間に合わせ、子どもを預かるところからはじまります。食事や午睡をはさみながら遊びやさまざまな活動をおこない、勤務を終えた保護者が迎えにくるまで、子どもの世話をするのがおもな仕事です。

幼稚園教諭の保育対象は3歳児から|就学に備えた教育をおこなう

幼稚園は学校に分類されるため、正確には「保育」という呼称を用いません。幼稚園教諭は、就学前の子どもに向け幼児教育をおこないます。

保育士と異なるのは対象年齢で、幼稚園の場合は3歳以上の子どもが対象です。

幼稚園教諭の1日の仕事の流れ

幼稚園は保護者と一緒に登園するほか、送迎バスに乗って登園する子どももいるのが特徴です。日中の活動や仕事内容は保育士とほぼ同じですが、幼稚園の降園時間は14時から15時頃という点が異なります。

そのため、幼稚園では、預かり保育などの例外を除き、午睡の時間がありません。

3. 就職場所が違う

保育士と幼稚園教諭では、就職先にも違いがあります。それぞれの専門性を、より活かせるところを確認しておきましょう。

保育士|保育園・児童福祉施設など

保育士のおもな就職先は認可保育所ですが、ほかにも認可外保育施設をはじめ、さまざまな場所からの需要があるのが特徴です。

とくに児童虐待などが社会問題となるなか、乳児院や児童養護施設などの児童福祉施設からは子どもの専門家として高い役割が期待されています。

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幼稚園教諭|幼稚園

幼稚園教諭という免許が活かされる場はおもに幼稚園となりますが、幼児教育のプロフェッショナルとして、さまざまな職場での勤務が可能です。

たとえば、幼稚園以外の幼児教育施設や認可外保育施設がありますが、一時的に託児サービスを提供するところや学童保育施設など、ノウハウを活かせる場所は多岐にわたります。

4. 給与はどれくらい違うの?|令和2年賃金構造基本統計調査

仕事内容が似ている保育士と幼稚園教諭ですが、給与面の待遇はどのくらい違うのでしょうか。ここでは、厚生労働省が発表した令和2年賃金構造基本統計調査のデータをもとに、実際の数字を確認しておきましょう。

保育士の月給平均や賞与は?

厚生労働省が調査したデータによると、10人以上の事業所に勤務する保育士は、平均年齢が37.6歳。平均月給が24万9,800円、平均賞与は年額74万7,400円となっています。

保育士の給料についてはこちら

幼稚園教諭の月給平均や賞与は?

厚生労働省が調査したデータによると、平均年齢が36.3歳の幼稚園教諭の場合、10人以上の事業所における平均月給は25万3,800円、平均賞与は年額で78万5,200円となっています。

両者を比較しても、さほど変わらないことがわかるでしょう。

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自分に合う仕事はどっち? メリットと注意点を比較

保育士と幼稚園教諭には、どちらも特有のメリットや注意点があります。具体的なポイントを、それぞれの資格の視点で解説しましょう。

保育士として働くメリットと注意点

保育士の仕事内容や給与などを見てきましたが、そのメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。注意点とあわせてご紹介します。

保育士として働くメリット|幅広い年齢層の子どもたちと関われる

保育所は乳児からの保育に対応するため、0歳から5歳まで幅広い年齢層の子どもと関われます。

さまざまな側面から育ちをサポートできるのはもちろん、蓄積されたノウハウが活かされることで、より質の高い保育にもつながるでしょう。

保育士として働く注意点|保育が長時間になりがち

保育所は幼稚園より子どもと接する時間が多いため、ほかの仕事にさける時間は少なくなってしまいます。

おたより帳や指導計画など、作成する書類も数多くあるため、いわゆる事務作業に対する負担はとくに重くなる点には注意しましょう。

幼稚園教諭として働くメリットと注意点

幼稚園教諭として勤務する場合も、メリットや注意点があります。それぞれどのようなものがあるのでしょうか。

幼稚園教諭として働くメリット|子どもたちに教育的な指導ができる

幼稚園教諭は幼児教育のプロフェッショナルとして、遊びや園活動などのなかで子どもに必要な教育をおこないます。

小学校以上のように教科ごと、というスタイルではありませんが、幼稚園での学びを通じ、子どもの健やかな成長を見守れるというのは、幼稚園教諭の大きなメリットです。

幼稚園教諭として働く注意点|子どもたちと関わる時間が少なめ

一般的に幼稚園の教育時間は、保育所の保育時間より短くなります。子どもたちと関わる時間はそのぶん少なくなるため、とくに子どもが好きで幼稚園教諭になる人は頭に入れておきましょう。

保育士と幼稚園教諭資格を両方取得するメリットとは?

保育士資格に加え、幼稚園教諭免許も取得することで、それぞれの長所を活かす働き方が可能です。両方の資格を持つことがどのようなメリットにつながるのか、具体的にご紹介します。

保育教諭として働ける|認定こども園

保育所と幼稚園の両方の特徴がある施設として、認定こども園の施設数は増加傾向です。認定こども園ではたらく人は保育教諭と呼ばれており、保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を持つ必要があります。

就職先の選択肢が増える

保育士も幼稚園教諭も資格を活かせるさまざまな職場がありますが、完全に重複しているわけではありません。両方の資格を持つことで、働く場所の範囲が広がり、より多くの場で活躍できます。

スキルアップが目指せる|教育と保育

子どもを育てる側面の強い保育士と、幼児教育の側面を持つ幼稚園教諭のダブルライセンスを取得すれば、両方の長所を活かした働き方ができます。

また、ふたつの特徴を学び身につけることでスキルアップが目指せる、というのもメリットのひとつです。

ダブルライセンスを目指すにはどうすればいいの?

保育士の資格と幼稚園教諭免許のダブルライセンスを取得すれば、活躍の幅がいっそう広がります。

これから取得を目指す人、またいずれかの資格免許を保有している人は、それぞれどのような方法で目指せるのでしょうか。

これから目指す場合|両方の免許が取得できる大学や専門学校へ進学する

まだどちらの資格も持っていない人は、両方同時に取得できる学校に進学するのが最短の道です。

保育士養成課程のある学校のほとんどが幼稚園教員養成機関の指定も受けているため、必要な科目を同時に履修できます。

保育士を目指すのにおすすめの専門学校はこちら

保育士が幼稚園教諭資格を取得する場合|幼稚園教諭免許状授与の所要資格の特例

保育士の有資格者は、勤務経験など一定の条件を満たせば各都道府県の教育委員会が実施している教育職員検定を受けることが可能です。ここで合格することで、幼稚園教諭の免許状が交付されます。

幼稚園教諭が保育士資格を取得する場合|保育士資格取得特例

幼稚園教諭が保育士資格を取得する方法としては、「保育士資格取得特例という措置を受ける」というものがあります。

一定の要件を満たす幼稚園教諭が保育士試験に合格することで、保育士資格を取得することが可能です。

保育士と幼稚園教諭の違いを押さえて自分に合った仕事を選ぼう!

保育士も幼稚園教諭も、就学前という大事な時期の子どもと接する重要な仕事です。さまざまな面から両者の違いを見てきましたが、可能であればダブルライセンスを取得して、より自分に合った仕事も選びましょう。

引用元サイト
職業情報提供サイト(日本版O-NET) 保育士
職業情報提供サイト(日本版O-NET) 幼稚園教員
全国保育士養成協議会 保育士になるには
e-Stat 賃金構造基本統計調査 / 令和2年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種
e-Stat 賃金構造基本統計調査 / 令和2年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種
内閣府 認定こども園概要
文部科学省 幼稚園教諭免許状授与の所要資格の特例に関するQ&A
厚生労働省 幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例
全国保育士養成協議会 特例制度について(幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例)

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