自分の限界までやっていることが大事! 介護リレーインタビューVol.7【理学療法士 三野弘樹さん】#2
リハビリ職種の理学療法士は、在宅復帰を目指す利用者様にとって絶対に欠かせない存在。今回は、介護老人保健施設で働く理学療法士に直撃しました。お話を伺ったのは「プラチナ・ヴィラ 青葉台」(ツツイグループ)のリハビリ科で主任を務める三野弘樹さん。
前編では、仕事内容や理学療法士に求められること、この後編では、主任としての役割や部下への想いを語っていただきました。毎日リハビリに向き合う部下たちの本気に、三野さんは主任として働きやすい職場に整えることで応えているようです。
《プロフィール》
三野弘樹さん(36歳)…高校卒業後、専門学校の理学療法科に進学。新卒でツツイグループの病院に入社。7年前に同グループの介護老人保健施設に異動。現在は宮前と青葉台の2つの施設でリハビリ科の主任を務める。
主任になるまで、部下を持つ者の役割
どんなに忙しくても、質問されたら手を止めて答える
――理学療法士として15年目ということですが、これまでに辞めたいと思ったことはありませんでしたか?
理学療法士を辞めたいと思ったことはありませんが、病院勤務をしていた頃、天狗になって「自分は何でもできる、一人職場でもいけるんじゃないか」と思って病院を辞めようとしたことがあるんです。2回くらい(笑)。そのときに、上司が「今の君の立ち位置はここで、これからこういうことをしていかなければいけないんだよ」と、僕がここにいる必要性を説いてくれたんですね。結局、新卒からずっとツツイグループにいるわけなんですが、あのとき「辞めない」と選択したおかげで、ここにリハビリ職員が定着してくれて、良いサービスを提供できているんです。
当時は自分一人で何でもできると思っていましたが、やっぱり僕だけで170人ほどの方のリハビリを提供することはできません。それに、一人職場だったら体調を崩しても自分で何とかするしかないし、悩みも聞いてもらえない…。でも、例えば部署に10人いればみんなでサポートしようという空気になるし。誰かしらは悩みを聞いてくれますよ。誰だって失敗したときに愚痴を言う相手は必要で、僕の場合は幸いなことに、上司にしても部下にしても話を聞いてもらえる職員がいるので環境に恵まれているなと感じています。
――統括する立場として心掛けていることはありますか?
リハビリ職種って年齢層が若いんですよ。僕が大学を卒業した頃は、理学療法士や作業療法士は年間合格者数が5000人前後だったのが今では1万人を超えています。実は、理学療法士という職業ができてからまだ50年経っていないくらいで、今やっと定年を迎える世代が出てきたところなんです。だから、多くの職場で理学療法士は20代ばっかりで、中には1~3年目の職員しかいないというところもあります。それが、この業界の課題でもあるのかなと。若い世代がこれから定着してキャリアを積んでいけるように、僕がやらなければいけないことは働きやすさを考えることなんです。
――具体的にはどんなところですか?
「働きやすさ」というのは、、仕事が定時に終わる、有給を取りやすい、産前・産後休暇を取りやすい、産休明けもリハビリ職員としてフルパワーで働けるということで。それから、先ほど若い職員ばかりとお話ししましたが、彼らの世代的に、あと10~15年後には産休だけでなく介護休暇も視野に入れなくてはいけないと考えています。
――人手不足と言われている中で、「多忙」「休めない」という激務のイメージが覆されますね。
「一人休んだらどうしよう!」と焦るような職場ではいけないですね。産休で職員の数が減ったときに、その人数で頑張る! ってだけではなく、ほかの施設と協力体制をつくることが必要です。残った職員の負担を減らせますし、産休に入る人も心おきなく休めますよね。そういう人員体制をつくることが僕の役目ですね。あと、この業界って「このくらいの仕事内容は勤務時間外にやるのが当たり前だよね」というシーンがよく見受けられるんですが、うちでは「庶務業務も勤務時間内でこなす仕事のうちなんだよ」ということを定着させています。
――部下と接する上で気を付けていることはありますか?
部下の中には僕よりも年上で経験のある方もいらっしゃいますが、ベテランに対しても若手に対しても同じように接しています。あと、どんなに忙しいときでも質問されたらきちんと手を止めて、相手の目を見て聞いて答えるようにしています。
後輩に伝えたいこと
理学療法士はみんな同じところからスタート
――取材前、採用面接も担当されることも多いと伺いましたが、面接ではどういうところを見られていますか?
僕たちは説明を求められることが多い職種なんです。だから、面接で大事にしていることは、人の話をきちんと聞ける人なのか、質問の答え方、話し方、雰囲気です。1年目だから、10年目だから、20年目だからという見方はしませんし、技術力は正直関係ありません。というか面接で技術力なんてわかるわけがありません。履歴書を見て「この人すごく経験ありそうだな」と思っても、蓋をあけてみるとびっくり…ということだってありますし。
――ちなみに、地域の健康体操教室などの外部活動にも三野さん以外で取り組んでいるスタッフさんはいますか?
いますよ! 僕だけではなく、ほかの職員の経験を積ませていきたいですね。外で、介護認定が下りる前の方々の様子を見ておくことや体操指導って必ず良い経験になると思うんです。だから、時期が来たら世代交代するつもりです。
――後輩へメッセージをお願いします。
僕はこの仕事を選んで後悔したことはないんです。やっぱり、はっきり言えることは「理学療法士って良いですよ」ということだけ。生まれ変わっても理学療法士をしたいなと思っています。若い子に伝えたいのは、「まずはやってみようよ」ということ。でも、その一歩って難しいですよね。特に理学療法士ってまずは学校に入らなきゃいけないですしね。よく「理学療法士は専門職種で国家資格だから勉強が大変なんでしょ」と言われますが、大丈夫ですって。逆に高校生までの知識はいらないんですから。みんな同じところからスタートなんですよ。やる気と興味があれば何とかなります。
――最後に、三野さんが理学療法士として大事にしていることを教えてください。
利用者様第一のリハビリをすること。僕は色々な施設に出向きますが、どの施設にも「利用者様一番のリハビリをしようよ」と言っています。僕がリハビリしても、20年目の先輩がしても、1年目の子がしても、リハビリにかかるお金も、それに時間も一緒。悩んでいる若手にいつも伝えるのは、「あなたが今ここまでできるんだったら、常にそこまでしなさい」ということ。自分の限界値までやっているんだって自信を持って言えるような仕事をしなさいと。もしかしたら、ほかの職員ならあなた以上のところまでできるかもしれない。でも、自分にとって最大限のことができていればそれでいいんじゃないかなと思うんです。あとは、彼らに雑念が入らないように、常に職場環境を整えるのが僕の重要な任務ですね。
【老人介護施設で働く理学療法士のココが魅力!】
1.これから介護を受ける方を導く存在
2.自分の全力に利用者は応えてくれる!
3.スタートラインはみんな一緒
【編集後記】
今回の取材で、三野さんが一貫して伝えていたことは「自分の持っている力をフルで使っているかどうか」。どんな経験や技術を持っているかというよりも、利用者様と向き合っている「今」という時間にどれだけ力を出せるかが大事なんですね。熱くガッツあふれるお言葉をたくさんいただきましたが、精神論だけで終わらせず、職員が力を出しやすく、働きやすい職場にしようと奮闘しているようです。そんな三野さんから、主任としてあるべき姿を教えていただきました。
▽前編はこちら▽
どんなときも公正公平で適切なリハビリをする 介護リレーインタビューVol.7【理学療法士 三野弘樹さん】#1>>
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プラチナ・ヴィラ青葉台
住所:神奈川県横浜市青葉区鴨志田75-1
電話:045-963-0056
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