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特集・コラム 2023-01-18

放射線技師になるには?必要な資格や仕事内容を徹底解説!

放射線技師は、医療従事者の中でも医師や歯科医師を除いて、患者の身体を傷つけずに放射線を用いた検査ができる唯一の資格です。放射線技師として患者の役に立ちたいと考える人がいるでしょう。

本記事では、放射線技師になるために必要な資格・仕事内容などを徹底解説します。

そもそも放射線技師とは?


放射線技師は、医師が検査の必要があると判断した場合、医師の指示に基づき患者に対して放射線を用いた検査をします。

国家資格を持つ医師、もしくは歯科医師と放射線技師のみが放射線での検査を認められています。放射線技師は、放射線機器を安全に取り扱うために普段から点検や安全管理などもしています。

放射線技師になるために


放射線技師になるために必要な免許や、どのようなルートがあるのかなどをチェックしてみましょう。

放射線技師は、国家試験を受けて合格する必要があるため、試験の開催月や概要などについても詳しく解説します。

診療放射線技師免許を取得する必要がある

放射線技師になるには、国家資格である「診療放射線技師免許」を取得する必要があります。診療放射線技師免許の受験資格を得るには、高校卒業後に放射線の課程がある専門学校もしくは大学などへ行き、修了しなければなりません。

そこでは、3年以上に渡って知識や技能を身につけていきます。その過程を経て、診療放射線技師免許の国家試験を受けられるのです。

診療放射線技師国家試験について

診療放射線技師国家試験は、毎年2月中旬ごろに実施されています。試験科目は主に以下の通りです。

・基礎医学大要
・放射線物理学
・放射線生物学(放射線衛生学を含む。)
・放射化学
・医用工学
・エックス線撮影技術学
・診療画像機器学
・診療画像検査学
・医用画像情報学
・画像工学
・核医学検査技術学
・放射線計測学
・放射線治療技術学
・放射線安全管理学

問題は1問1点からなっており、全部で198問となっています。令和4年度の第74回診療放射線技師国家試験の合格率は全体で86.1%です。

放射線技師の仕事内容とは?


放射線技師の仕事内容は、放射線を利用した検査の他にどのようなものがあるのでしょうか。

具体的には、放射線を使用した検査の他に、放射線での治療・検査で扱う機器の安全確認・管理などの仕事があります。それぞれの仕事の内容について解説していきます。

医療機関にて放射線を利用した検査を行う

1つ目の仕事内容は、医療機関で医師の指示のもとおこなう、放射線を使った検査です。放射線を利用した検査をすると、病気の早期発見に繋がりやすくなります。

触診だけでは気づくのが難しい病気でも、放射線を用いた検査をすることで、病気を見つけやすくなるでしょう。検査の際は患者が安全に検査できるように、安全管理や被ばく管理、事故防止の対策などを実施します。

診療放射線技師が行う検査の内容</4>
放射線検査の種類は以下です。

・一般撮影検査(X線を使って肺・口腔などを撮影)
・CT検査(内臓・骨格・体の断面・血管の3D画像などを撮影)
・MRI検査(体の断面を撮影)
・骨密度検査(X線を照射もしくはかかとから超音波を当てて測定)
・血管造影検査(造影剤を投与して血管内腔を撮影)
・消化管造影検査(バリウムの流れを連続でX線を照射して撮影)
・RI検査(核医学検査)(臓器の働き・形を検査できる)
・超音波検査(心臓・甲状腺・腹部・乳房・乳腺などをエコー画像にする)

検査したい部位や内容によって適切な放射線検査を選択して検査します。

放射線治療を行う

放射線治療は、医師に指示を受けた放射線技師がおこなうもので、メスを入れずに治療ができます。放射線の特性を生かして細胞のDNAに損傷を与え、がん細胞を破壊します。

放射線機器の進歩により年々精度が高まり、がんへの効果が期待されている治療方法となっています。

がんの治療では三大療法と呼ばれているものがあり、抗がん剤治療と手術、放射線治療がそれにあたります。放射線治療では、放射線技師が患者への治療の説明やケアなどの業務をすることもあるでしょう。

放射線機器や被ばくの管理

安全に放射線機器を使用できるよう、管理や点検を実施するのも放射線技師の大切な仕事の1つです。放射線量の管理は、日々徹底しておこなわれ、記録もします。被ばくのリスクを抑えて、安全に検査ができるようにしっかり管理されているのです。

病気の早期発見に繋げるため、放射線技師として専門的な知識をもとに、機器や被爆の管理をおこなっています。

放射線技師の就職先とは


放射線技師の就職先には、いくつかの選択肢があります。放射線技師としてどのように活躍したいかによって就職先を選ぶことが大切です。

以下では、総合病院・クリニック・健診センター・医療機器関連の一般企業など、4つの就職先について解説しているので参考にしてみてください。

総合病院で勤める

放射線技師の就職先として総合病院という選択肢があります。総合病院では、さまざまな病状の患者が来院することから、放射線技師としての経験を多く積める環境が整っているのです。

病院の規模にもよりますが、総合病院ではさまざまな種類の放射線検査を経験できます。学会や研究の機会も得られ、教育制度も充実していることから成長にもつながります。

クリニック

クリニックでは、診療科目によって検査の内容が異なるでしょう。総合病院と比べると小規模で、少人数で働くような職場環境になります。

少人数で運営しているクリニックの場合、放射線検査以外の事務作業や患者の案内などの仕事をする場合も。しかし、当直はないことがほとんどで比較的働きやすい環境です。

健診センター

健診センターでは、CT検査・MRI検査・消化管造影検査・胸部X線撮影・乳房X線撮影などをします。健診に来た人が受ける項目に沿って検査する仕事です。

健診を外部で実施する場合、健診センターだけでなく、検診車で回ることもあるでしょう。健診センターでの仕事は基本的に残業は少なめで休みも週2日で取れることが多いです。

医療機器関連の一般企業

放射線検査をする仕事以外に、医療機器関連の一般企業で放射線技師の知識を生かして就職するという選択肢もあります。

専門知識を活用して、病院が放射線機器を導入する際の支援をしたり、放射線技師が使う機器の販売・開発のサポートをすることもあります。

放射線を扱う企業

放射線を扱う職場である、原子力に関する企業や研究室、電力会社などで働くこともあります。ここでは、放射線測定などの仕事や、非破壊検査と呼ばれる、構造物の有害な傷・機械の部品などを破壊せずに検出する作業などをします。

このように放射線技師の就職先にはさまざまな選択肢があります。

放射線技師の年収について


放射線技師の年収は、厚生労働省の「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、企業規模が合計10人以上、男女合計で年齢がおよそ42歳時点の平均年収は約547万円でした。

働く場所や規模によっても異なり、役職や夜勤の有無などによっても年収は変動するでしょう。この年収額から所得税・健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料などが差し引かれた金額が手取り年収となります。

放射線技師は医療技術者として専門性の高い仕事ができるのが魅力!


今回は、放射線技師になるために必要な国家資格の概要や仕事内容・給料などを紹介しました。

放射線技師は専門的な知識を用いて患者の検査をする仕事で、病気の早期発見に繋げる大切な役割があります。放射線機器の管理や保全もおこなっており、安全に放射線検査をするために現代の医療にとって欠かせない存在であるといえるでしょう。

引用元
厚生労働省:診療放射線技師国家試験の施行
厚生労働省:第74回診療放射線技師国家試験の正答・合格発表の訂正とお詫び
厚生労働省:令和3年賃金構造基本統計調査
厚生労働省:放射線治療の研究について
厚生労働省:職業情報提供サイト・診療放射線技師  

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