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特集・コラム 2023-03-17

認知症介護実践リーダー研修とは? 概要と受講のメリットを紹介

認知症は、年をとるほどなりやすいと言われています。さらに、将来高齢化の人口増加が予測されているため、認知症高齢者の対応は増えるでしょう。その対策として、認知症の方への対応力を向上するために、研修が行われています。

今回の記事では、認知症介護実践リーダー研修について、研修の概要や受講するメリットをご紹介します。

認知症介護実践リーダー研修とは?

認知症介護実践リーダー研修は、認知症介護実践者研修で得た知識や技術を深め、さらに認知症ケアの知識や指導方法を学習する研修です。研修は、各都道府県が指定する事業所で実施されているため、お住まいの自治体のホームページで確認するようにしましょう。

ここでは、東京都を例に認知症介護実践リーダー研修を受講するための要件など、概要をご紹介します。

研修の目的とは?

認知症介護実践リーダー研修は、主に認知症支援のチームリーダー育成を目的としています。認知症支援の質を向上させるための方策を展開する力や、地域の社会資源を活用して、認知症の方を支援するための方策を実践する力を身につけることできます。

認知症支援のチームリーダーとして中心的な役割を担い、認知症の方が自立した日常生活を送れるように支援したいという方にはおすすめの研修です。

研修を受講するための要件とは?

認知症介護実践リーダー研修を受講するためには、5つの要件をすべて満たさなければいけません。東京都福祉保健局が提示している受講要件を引用します。

(1)東京都内の介護保険施設・事業所(居宅介護支援事業所を除く)に従事している介護職員等
(2)認知症介護実践者研修(旧「痴呆介護実務者研修(基礎課程)」でも可)を修了し、1年以上経過している方
(3)原則として、認知症の人の介護業務に5年以上従事した経験を有している方
(4)各介護保険施設・事業所において介護・看護のチームリーダー(主任・副主任・ユニットリーダーなど)の立場にあるか、または、それらの方々を指導する立場にある方
(5)区市町村または地域での事業者連絡会等において、認知症支援の質の向上について役割担うことができる方またはその意欲がある方

各都道府県によって受講資格が異なるため、研修を受ける自治体のホームページを確認するようにしましょう。

引用 東京都福祉保健局:東京都認知症介護研修の概要

認知症介護実践者研修とは?

研修を受講するための要件のひとつとして、認知症介護実践者研修を修了しておかなければいけません。

この研修を受講するためには、東京都の場合、介護保健施設や事業所で働く介護職員(原則、足立・豊島区の方は各区が実施する研修に申し込む)であることに加えて、認知症介護の経験が2年程度以上必要です。

「事務職・施設長・生活相談員等の経験のみでは認知症の介護経験と見しません。」とありますので、経験年数に注意してください。

認知症介護実践者研修は、認知症介護実践リーダー研修同様に自治体によって受講要件が異なるため、お住まいの自治体の要項を確認するようにしましょう。

引用 東京都福祉保健局:東京都認知症介護研修の概要

研修期間と受講料は?

東京都が実施する認知症介護実践リーダー研修は、受講料が無料です。研修は、eラーニング・講義・演習、他施設実習、自施設実習の4つで構成されており、それぞれ以下の研修期間が設けられています。

・eラーニング 330分
・講義と演習 6.5日間
・他施設実習 5日間
・自施設実習 約4週間

研修期間や受講料は、各自治体によって異なります。

認知症介護実践リーダー研修の受講費用はどれくらい? 受講に必要な要件とは?

研修の難易度はどれくらい? 試験はあるの?

認知症介護実践リーダー研修は、基本的に修了試験がなく、すべての研修を受講することで、修了認定をもらうことができます。しかし、地域によっては課題の提出を求められる場合があります。

求められる課題には、合格点などボーダーラインが設けられているわけではないため、受講要件を満たし、定められている期間きちんと受講すれば修了認定をもらうことができるでしょう。

認知症介護実践リーダー研修ではどんなことを学ぶの?

認知症介護実践リーダー研修は、1ヶ月以上の期間におよんで行われます。実際、研修ではどのようなことを学習するのか気になる方もいるかもしれません。そこで、認知症介護実践リーダー研修の学習内容についてご紹介します。

認知症介護実践リーダー研修で学ぶ内容やカリキュラムは、各都道府県に異なりますが、概ね以下でご紹介する内容で行われます。

1.認知症介護実践リーダー研修総論

認知症介護実践リーダー研修総論では、以下の1科目を学習します。

研修の理解では、講義時間が90分のなかで、実践リーダーの役割や研修概要の理解、リーダーとしての課題の明確化など、これから研修を進めていくために研修についての理解を深めます。

認知症介護実践リーダー研修を進めていくために、リーダーとはなにかをきちんと知っておきましょう。

2.認知症の専門知識

認知症の専門知識は、以下2つの科目を学習します。

これらの科目では、認知症ケアに関する専門知識を学びます。ここできちんと学習しておくことで、次にご紹介する認知症ケアにおけるチームケアとマネジメントの理解をより深めることができます。

3.認知症ケアにおけるチームケアとマネジメント

認知症ケアにおけるチームケアとマネジメントでは、以下4つの科目を学習します。

これらの科目では、先ほどご紹介した認知症ケアの専門知識を活かしたチームケアやマネジメントに必要な知識やアプローチを学びます。介護現場で能力を発揮するための基礎知識になります。

4.認知症ケアの指導方法

認知症ケアの指導方法は、以下の科目を学習します。

いままでの科目では、主に認知症ケアやチームケアに必要な知識やマネジメント方法でした。認知症ケアの指導方法では、認知症ケアのほかに職場内の職員を指導するための理解や実践方法を学びます。

認知症介護実践リーダー研修は、認知症ケアの知識やマネジメントだけでなく、職場内の教育も業務のひとつであることを覚えておきましょう。

5. 認知症ケア指導実習

講義・演習に加えて認知症ケア指導実習が1ヶ月以上の期間をかけて行われます。学習科目は以下のとおりです。

認知症ケア指導実習では、最後の総復習として、実際に現場で認知症介護実践リーダーとして働くことを想定した実習が行われます。より実践的な業務を体験することがで、仕事に就いた際に、効率よく業務を遂行できるでしょう。

認知症介護実践リーダー研修を受講する4つのメリットとは?

認知症介護実践リーダー研修は、受講要件を満たす必要があるうえに、4週間以上の研修期間があるため、受講を迷っている方もいるかもしれません。しかし、認知症介護実践リーダー研修を修了することで、認知症介護のサービス向上だけでなく、さまざまなメリットを得ることができます。

最後に、認知症介護実践リーダー研修を受講するメリットを4つご紹介します。

1. 認知症ケアのスペシャリストになれる

認知症介護実践リーダー研修は、eラーニング・講義・演習・実習を通じて、認知症支援の質を向上させるための方策を展開・実践する力を身につけることができます。

さらに、この研修は、ほかの職員へ指導や調整など、チームケアの中心的な役割を担うことも目的とされているため、質の高い認知症支援のサービス提供者・認知症支援のチームリーダーとして活躍することができます。

2. 認知症関連の施設で需要が高い

認知症の支援を行う施設は、事業内容によって、厚生労働省が指定している研修修了者の配置が義務付けられている場合があります。以下、東京都福祉保健局では、認知症介護実践リーダー研修の修了が義務について紹介されています。

指定認知症対応型共同生活介護事業所において、短期利用認知症対応型共同生活介護を行う場合には、認知症介護実践リーダー研修(旧「痴呆介護実務者研修(専門課程)」でも可)の修了が義務付けられています。

また、研修修了者を雇用することで認知症専門ケア加算の対象となることができるケースがあります。そのため、施設は認知症介護実践リーダー研修の修了者を募集要件に提示している場合があります。

そのほかにも、認知症支援のリーダーとして活躍が期待されているため、需要は高いといえるでしょう。

引用 東京都福祉保健局:東京都認知症介護研修の概要

3. 認知症ケアの体制・取り組み整備に協力できる

認知症介護実践リーダー研修では、認知症介護に関する知識・人材育成のための技法・チームケアのための事例演習のほか、実習を通じて専門的な知識と技術を習得することができます。

認知症支援の中心的な立場として、認知症ケアの体制・取り組み整備など、介護保険施設や事業所のマネジメントに関わり活躍することができます。

4. キャリアアップにも役立つ

認知症介護実践リーダー研修は、認知症介護実践者研修を修了しなければならず、主に指導者の育成を目的としているため、主任や副主任、ユニットリーダーなど、キャリアアップに繋がります。

また、認知症介護実践リーダー研修を修了することで、認知症介護研修事業の企画・立案、講師を行う指導者になれる「認知症介護指導者養成研修」の受講要件をひとつ満たすことができます。講師など指導者を目指す方は、認知症介護実践リーダー研修を修了しておきましょう。

認知症介護リーダー研修を受けてスペシャリストになろう!

今回の記事では、認知症介護実践リーダー研修の概要や受講するメリットについてご紹介しました。研修を受けるためには認知症介護実践者研修を修了しておく必要があります。そのほかの要件については各自治体によって異なるため、お住まいの自治体のホームページなどを確認しておきましょう。

認知症介護実践リーダー研修を受講することで、認知症介護に関する知識や技術、チームマネジメント能力を養うことができます。介護施設や事業所で中心的な役割を担い、活躍するために認知症介護実践リーダー研修を修了しましょう。

引用元
厚生労働省:認知症
東京都福祉保健局:東京都認知症介護研修の概要
東京都福祉保健局:令和5年度に向けてのカリキュラム改訂について
厚生労働省:認知症介護実践者等養成事業の円滑な運営について
認知症介護研究・研修センター :認知症介護実践リーダー研修 新カリキュラム改訂にともなう各科目シラバス変更のポイントと運用のヒント

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