社会福祉士が精神保健福祉士になるには? 目指す方法や仕事内容・給与の違いを紹介
社会福祉士として働く人のなかには、精神保健福祉士になりたいと考える人もいます。では、なりたいと思ったらすぐになれるかというと、残念ながらそうではありません。そこで、社会福祉士から精神保健福祉士に転身するにはどうすればいいのかを理解しましょう。
社会福祉士が精神保健福祉士になるには?

社会福祉士と精神保健福祉士は、別々に資格が存在する職業です。そのため、社会福祉士が精神保健福祉士になるには、まず精神保健福祉士の国家資格を取るための養成施設で学び、受験資格を手に入れる必要があります。
なお、社会福祉士として登録している人は、一般課程(1年以上)より短期間(6カ月以上)で受験可能です。
引用元
社会福祉振興・試験センター:精神保健福祉士国家試験 受験資格(資格取得ルート図)
短期養成課程ではどんなことを学ぶの?
養成施設にはさまざまな学校があり、ソーシャルワークや精神医療などについて学びます。一部の内容はスクーリングが必要ながら、多くを自宅学習およびレポートで行える通信課程でも資格取得を目指せることが特徴です。
基本的に実習が必要ですが、所定の実習の履修経験がある場合は、ソーシャルワーク実習が免除されるケースもあります。
精神保健福祉士の試験内容とは?

精神保健福祉士の試験内容(科目)には、どのようなものがあるのでしょうか。令和7(2025)年に行われた第27回試験では、下記の通りでした。
【共通科目(12科目)】
・医学概論
・心理学と心理的支援
・社会学と社会システム
・社会福祉の原理と政策
・社会保障
・権利擁護を支える法制度
・地域福祉と包括的支援体制
・障害者福祉
・刑事司法と福祉
・ソーシャルワークの基盤と専門職
・ソーシャルワークの理論と方法
・社会福祉調査の基礎
【専門科目(6科目)】
・医学と精神医療
・現代の精神保健の課題と支援
・精神保健福祉の原理
・ソーシャルワークの理論と方法(専門)
・精神障害リハビリテーション論
・精神保健福祉制度論
このように共通科目と専門科目があり、合計18科目です。
引用元
社会福祉振興・試験センター:精神保健福祉士国家試験 試験概要
社会福祉士試験との共通科目は免除される
前項で「共通科目」というものがあり、気になった人もいることでしょう。実は、社会福祉士の資格所持者は精神保健福祉士との共通科目が免除されるという待遇があります。免除を受けたい人は、受験の申し込みの際に必要書類を提出しましょう。
なお、通常の受験料は24,140円ですが、免除を受けられる場合は18,820円と費用も安くなります。
引用元
社会福祉振興・試験センター:精神保健福祉士国家試験 よくあるご質問
社会福祉士と精神保健福祉士の違いとは?

そもそも社会福祉士と精神保健福祉士とはそれぞれどんな職業なのでしょうか。
社会福祉士は、病気・障害をお持ちの人や家庭に問題を抱える人など、さまざまな事情を持つ幅広い人々に対して相談援助を行う仕事。一方、精神保健福祉士は、心の病や精神障害をお持ちの人を対象に相談援助を行う仕事です。
では、両者の違いをさまざまな面から見ていきましょう。
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社会福祉士と精神保健福祉士はどこが違うの?|ダブルライセンスを目指すには
引用元
厚生労働省:社会福祉士・介護福祉士等
厚生労働省:精神保健福祉士について
1. 仕事内容の違い
まずは仕事内容の違いをチェックしましょう。
社会福祉士の仕事
社会福祉士の大きな仕事は、困難を抱える人やその家族からヒアリングを行い、アドバイスをしたりどんな支援が必要かを考えたりすることです。医療機関や福祉施設、行政などと連携を取りながら、相談者が少しでも生活しやすくなるように福祉サービスを提供します。
相談者の年齢層も幅広く、子どもから高齢者まで多くの人がサービスの対象です。
精神保健福祉士の仕事
精神保健福祉士の仕事は、精神的な問題を抱える人やその家族に対して、社会福祉士と同じようなサービスを提供するという内容です。社会福祉士よりは対象者の範囲が狭いですが、精神的な病に関する深い知識が求められます。
精神病院や施設への入退院・入退所の手続き、リハビリテーション、地域での日常生活など、多くの面で支援を実施することが特徴です。
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精神保健福祉士の仕事内容と資格についてご紹介!実務経験は受験資格の対象になる?
2. 給与の違い
社会福祉士と精神保健福祉士では、給与に違いがあるのでしょうか。
社会福祉士の給与
令和2年度に発表された令和元年の就労状況調査の結果では、社会福祉士の平均年収は403万円でした。
また、job tagのデータによると、ハローワーク求人データでの月額賃金は22万5,000円、「令和5年賃金構造基本統計調査」の結果に基づいた福祉ソーシャルワーカー(社会福祉士を含む)の年収は、425万8,000円です。
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社会福祉士として活躍できる就職先とは?最新の平均給与と仕事のやりがいも紹介
引用元
社会福祉振興・試験センター:社会福祉士就労状況調査実施結果報告書
job tag:福祉ソーシャルワーカー – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
精神保健福祉士の給与
社会福祉士と同じ年の就労状況調査の結果によると、精神保健福祉士の平均年収は404万円でした。
また、job tagのデータによると、ハローワーク求人データでの月額賃金は22万9,000円、「令和5年賃金構造基本統計調査」の結果に基づいた医療ソーシャルワーカー(精神保健福祉士を含む)の年収は、425万8,000円です。
つまり、実際のデータから判断すると、社会福祉士と精神保健福祉士では給料に大差はありません。
引用元
社会福祉振興・試験センター:精神保健福祉士就労状況調査実施結果報告書
job tag:医療ソーシャルワーカー – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
3. 職場の違い
つづいて、職場の違いを見ていきましょう。
社会福祉士の職場
社会福祉士として働ける職場には、下記のようにさまざまな場所があります。
・相談支援事業所
・児童相談所
・児童家庭支援センター
・子育て支援地域包括センター
・保護施設
・社会福祉士事務所 など
このように、社会福祉士は、多くの人々の生活を支援する存在として求められている大切な職業です。
引用元
社会福祉振興・試験センター:社会福祉士就労状況調査実施結果報告書
精神保健福祉士の職場
精神保健福祉士が活躍している職場は、社会福祉士と重なるものもありますが、下記のような場所です。
・介護医療院
・身体障がい者更生相談所
・児童相談所
・障がい児施設
・精神科病院
・都道府県庁 など
引用元
社会福祉振興・試験センター:精神保健福祉士就労状況調査実施結果報告書
4. 試験難易度の違い
社会福祉士と精神保健福祉士、それぞれの国家試験の難易度はどの程度なのでしょうか。
社会福祉士の試験合格率
社会福祉士の国家試験の合格率は、令和6年2月に実施された第36回では58.1%でした。近年の推移を見てみると、第32〜34回は30%前後でしたが、第35回に44.2%まで上昇し、今回さらに高くなっています。
引用元
社会福祉振興・試験センター:第36回社会福祉士国家試験の合格発表について
精神保健福祉士の試験合格率
精神保健福祉士の国家試験の合格率は、令和6年2月に実施された第26回では70.4%でした。近年の推移では60%を超えてだんだん上がっており、第25回は71.1%まで上昇。今回はやや下がりましたが、社会福祉士よりは高めの水準を保っています。
引用元
社会福祉振興・試験センター:第26回精神保健福祉士国家試験の合格発表について
働きながら合格を目指そう! 試験勉強のポイントを紹介

社会福祉士として働くかたわら、精神保健福祉士試験の合格を目指す人もいるはず。そこで、試験勉強のポイントを押さえて効率よく学習を進めましょう。
1. スケジュールを立てて勉強しよう
いくら共通科目が免除されるといえど、6科目は必修です。そのため、きちんと勉強する時間を確保することは非常に重要。仕事に行く前・昼休憩・帰宅後・寝る前などの貴重な時間をむだにしないために、スケジュールを組んで勉強するとよいでしょう。
また、空き時間を有効活用するだけでなく、集中できる環境に身を置くことも大切です。静かな場所や適度な明るさの場所、余計なものが置かれていない場所など、自分にとってはかどりやすい環境で勉強しましょう。
2. 過去問を活用する
効率的に勉強を進めるためには、過去問を活用しましょう。類似した問題が出ることが多いので、傾向を知るためにも繰り返し解いて慣れておくと安心です。しっかり対策しておけば、本番も自信を持って臨めるでしょう。
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精神保健福祉士の資格を取得して福祉のエキスパートを目指そう!

社会福祉士が精神保健福祉士になるには、専門の資格を取得することが必要です。養成施設で最低6カ月間勉強して所定の課程を学び、国家試験に合格すれば取得できます。
仕事内容や職場の違いなども理解したうえで、ダブルライセンスで福祉のエキスパートを目指しましょう。
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※リジョブ経由で採用された1,242名を対象に実施した満足度自社調査より(実施期間:2023年2月8日〜2023年3月8日)












