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特集・コラム 2021-09-19

社会福祉士の受験資格とは? 資格取得ルートを解説|一般施設・短期養成施設を紹介

社会福祉士は、身体や精神に障害がある人や環境的な原因によって日常生活を送ることがむずかしくなった人に対して助言や指導をおこない、保険医療や福祉サービスとの連絡・調整・支援をするのが仕事です。

今回は、社会福祉士国家試験を受験するまでにどんなことが必要なのかご紹介します。

社会福祉士国家試験の受験資格取得ルートを解説!

社会福祉士受験資格を取得するためには、12個のルートがあります。

大きくわけると、「福祉系大学・短大で指定科目を履修し、修了するルート」「短期養成施設等を修了するルート」「一般養成施設等を修了するルート」の3つです。ここでは、これら3つのルートについてくわしく見ていきましょう。

短期養成施設・一般養成施設とは

短期養成施設はすでに基礎科目を履修済みであったり、社会福祉士登録されていたりする人を対象にした施設で学ぶルートです。

一方、一般養成施設は福祉系ではない4年制大学を卒業したり、指定施設で相談援助の実務を4年以上経験したりしている人を対象にした施設のことです。ルートによって、行くところが違います。

社会福祉士の養成施設についてはこちら:社会福祉士の養成施設とは? 一般養成施設と短期養成施設の違いを解説!

1. 福祉系大学・短大ルート

福祉系大学・短大に入学して、受験資格を取得するルートです。指定科目を履修しているかどうかによって、ルートが変わるので注意しましょう。

ここでは、こちらのルートについて詳しく解説していきます。

指定科目・基礎科目とは?

指定科目とは、「社会福祉士に関する科目を定める省令」で定められた18科目のことで、基礎科目とは同省令にて定められた12科目のことです。

上記それぞれの科目で、以下の内容となっています。

<指定科目>
・人体の構造と機能及び疾病、心理学理論と心理的支援、社会理論と社会システムのうち1科目
・現代社会と福祉
・社会調査の基礎
・相談援助の基盤と専門職
・相談援助の理論と方法
・地域福祉の理論と方法
・福祉行財政と福祉計画
・福祉サービスの組織と経営
・社会保障
・高齢者に対する支援と介護保険制度
・障害者に対する支援と障害者自立支援制度
・児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
・低所得者に対する支援と生活保護制度
・保健医療サービス
・就労支援サービス、権利擁護と成年後見制度、更生保護制度のうち1科目
・相談援助演習
・相談援助実習指導
・相談援助実習

<基礎科目>
・人体の構造と機能及び疾病、心理学理論と心理的支援、社会理論と社会システムのうち1科目
・社会調査の基礎
・相談援助の基盤と専門職
・福祉行財政と福祉計画
・福祉サービスの組織と経営
・社会保障
・高齢者に対する支援と介護保険制度
・障害者に対する支援と障害者自立支援制度
・児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度
・低所得者に対する支援と生活保護制度
・保健医療サービス
・就労支援サービス、権利擁護と成年後見制度、更生保護制度のうち1科目

福祉系大学等4年ルート

こちらのルートは、大学・大学院・4年制の専修学校が含まれます。指定科目を履修できる学校を卒業すれば、試験の受験資格を取得することが可能です。

基礎科目を履修できる学校の場合は、卒業後に短期養成施設などで6カ月以上学んだのちに、受験資格を取得できます。

資格条件を満たす範囲は、以下のとおりです。

・大学
・大学院への飛び入学
・大学院
・修業年限4年以上の専門課程がある専修学校

福祉系短大等3年ルート

こちらのルートでは、3年制の短期大学・専修学校などが含まれます。夜間授業の課程や通信教育の課程は含まれないので、注意が必要です。

指定科目を履修できる学校の場合、1年間の相談援助実務をおこなえば、受験資格を取得できます。基礎科目を履修できる学校の場合は、卒業後に1年間の相談援助実務をおこない、さらに短期養成施設などで学べば、受験資格を取得可能です。

資格条件を満たす範囲は、以下のとおりです。

・修業限3年以上の短期大学

・修業年限4年以上の専門課程がある専修学校
・修業年限3年以上、大学に入学することのできる者を入学資格とする各種学校

福祉系短大等2年ルート

こちらのルートでは、2年制の短期大学・専修学校などが含まれます。指定科目を履修できる学校では、卒業後に2年間の相談援助実務をおこなえば受験資格を取得することが可能です。

基礎科目を履修できる学校の場合、卒業後に2年間の相談援助実務をおこない、さらに短期養成施設などで学ぶ必要があるでしょう。

資格条件を満たす範囲は、以下のとおりです。

・短期大学
・修業年限2年以上の専門課程がある専修学校
・修業年限2年以上、大学に入学することのできる者を入学資格とする各種学校

2. 一般大学・短大ルート

ここでは、一般大学・短大ルートの概要と受験資格を取得するまでの流れを解説していきます。福祉系大学・短大と違いは、一般養成施設にて学ぶ必要があるのが特徴です。

一般大学等4年ルート

こちらのルートでは、4年制大学や大学院、専修学校など、多くの学校が対象です。

このルートの場合は、学校を卒業後に一般養成施設などで1年以上学んだのちに国家試験の受験資格を取得できます。

資格条件を満たす範囲は、以下のとおりです。

・大学
・大学院への飛び入学
・大学院
・修業年限4年以上の専門課程がある専門学校
・大学評価・学位授与機構から学士、修士または博士の学位を授与された者
・高等師範学校の専攻科
・修業年限1年以上の研究科がある高等師範学校
・修業年限1年以上の研究科がある女子高等師範学校
・中学校
・高等女学校
・修業年限5年以上、旧専門学校入学者検定規程による者を入学資格とする専門学校
・修業年限1年以上、修業年限4年以上の専門学校に置かれる専門学校の研究科
・防衛大学校
・防衛医科大学校
・水産大学校
・水産講習所
・海上保安大学校
・職業能力開発総合大学校の長期課程
・職業訓練大学校の長期指導員訓練課程、長期課程
・中央職業訓練所の長期指導員訓練課程
・職業能力開発大学校の長期課程
・気象大学校大学部

一般短大等3年ルート

こちらのルートでは、3年制の短期大学や専修学校、また特別支援学校も対象です。

このルートの場合は、学校を卒業後に1年間の相談援助実務をおこない、さらに一般養成施設等にて学んだのちに受験資格を取得できます。

資格条件を満たす範囲は、以下のとおりです。

・修業年限3年の短期大学
・修業年限3年以上の専攻科がある高等学校
・修業年限3年以上の専攻科がある中等教育学校
・修業年限3年以上の専攻科、旧盲学校、聾学校、養護学校がある特別支援学校
・修業年限3年以上の専門課程がある専修学校
・修業年限3年以上、大学に入学することのできる者を入学資格とする各種学校
・訓練期間3年以上の専門課程がある職業能力開発総合大学校
・職業能力開発総合大学校の応用課程
・訓練期間3年以上の専門課程がある職業能力開発大学校
・職業能力開発大学校の応用課程
・訓練期間3年以上の専門課程がある職業能力開発短期大学校

一般短大等2年ルート

こちらのルートでは、2年制の短大・専修学校・特別支援学校などが対象です。

このルートの場合、学校を卒業後に2年間の相談援助実務をおこない、さらに一般養成施設等にて学んだのち、受験資格を取得できます。

資格条件を満たす範囲は、前述した一般短大等3年ルートと同じです。

3. 社会福祉主事養成機関ルート

社会福祉主事とは、都道府県・市町村に設置された福祉事務所のケースワーカーなどとして任用されるための資格です。このルートの場合は、社会福祉主事養成機関を卒業後に2年間の相談援助実務をおこない、さらに短期養成施設など学んだのち、受験資格を取得できます。

4. 実務経験4年ルート|福祉事務所の査察指導員など

児童福祉司・身体障害者福祉司・査察指導員・知的障害者福祉司・老人福祉指導主事として4年以上の実務経験があれば、短期養成施設に入学することができます。

その後、受験資格を取得することが可能です。

5. 実務経験4年ルート|相談援助業務

児童分野・高齢者分野・障害者分野・そのほかの分野にて4年以上の相談援助業務をおこなった場合は、一般養成施設で学んだのちに受験資格を取得することができます。

各分野で対象となる施設や職種が多くあるため、その一部をご紹介しましょう。なお、対象施設で働いていても実務経験として認められない職種もあるので、注意が必要です。

児童分野

児童相談所・母子生活支援施設・児童養護施設・障害児入所施設・児童家庭支援センターなどでの実務が該当。上記の実務経験が4年以上あれば、受験資格を取得できます。

高齢者分野

介護保険施設・地域包括センター・指定通所介護をおこなう施設・指定短期入所をおこなう施設などでの実務が該当します。これらの実務経験が4年以上あれば、受験資格を取得することが可能です。

障害者分野

身体障害者更生相談所・精神保健福祉センター・知的障害者更生相談所・障害者支援施設などでの実務が該当します。これらの実務経験が4年以上あれば、受験資格を取得できます。

そのほかの分野

この場合は、保健所・病院・診療所・救護施設・更生施設・福祉事務所・刑事施設・少年院・更生保護施設などでの実務が該当し、これらの実務経験が4年以上あれば、受験資格を取得可能です。

受験資格があるかどうかわからない…

ここまで社会福祉士国家試験の受験資格取得方法について解説しました。たくさんのルートがあり、受験資格を取得するにあたって自分がどれに該当するかわからない方もいるでしょう。

そんなときには、以下の受験資格をチェックできるページを確認してチェックするのがおすすめです。

社会福祉振興・試験センター

一般養成施設・短期養成施設の例を紹介!

現在の日本国内には、数多くの一般養成施設や短期養成施設があります。昼間に通う学校もありますが、通信もしくは夜間での課程が多いです。

ここでは、具体的にどのような学校があるか、一般養成施設と短期養成施設を2校ずつご紹介していきます。

【一般】NHK学園|社会福祉士養成課程一般養成科(1年コース)

東京都にある短期・一般養成施設です。9カ月コース・1年コース・1年6カ月コースの3種類があります。1年コースは、すでに大学や短期大学などで「社会福祉に関する科目」を一部履修済みの方、精神保健福祉士の受験資格がある、もしくは資格を持っている方が対象。

学習方法は、通信でのレポート学習・本校を含む全国7カ所でスクーリング学習・福祉現場での相談援助実習となっています。スクーリングは土日におこなわれるため、社会人の方でも通いやすいでしょう。

【一般】大原医療秘書福祉保育専門学校|社会福祉学科(夜間1年制)

東京都にある一般養成施設です。対象は、大学などを卒業した方や実務経験のある方が対象となります。授業は対面形式で1年制の夜間課程です。

オリジナルの問題演習や確認テストをこなし、知識を定着させて、効果的な国家試験対策をおこなっています。国家試験直前には、本試験形式の模擬問題演習も実施。また、日中でも個別学習相談・補講・就職ガイダンスにも対応してくれます。

【短期】東京福祉専門学校|社会福祉士短期養成通信課程

東京都にある短期・一般養成施設です。昼間の過程と通信過程があり、通信課程には9カ月の短期養成通信課程と1年9カ月の一般養成通信課程があります。

学習方法は、インターネット上の課題提出や土日に開講されるスクーリングによる面接授業(修了まで7〜8日程度)です。

【短期】全国社会福祉協議会中央福祉学院|社会福祉士通信課程(短期養成コース)

神奈川県にある短期養成施設です。スクーリングにて授業を実施していましたが、2021年より全日程をオンライン研修の通信課程に変更。また、土日開催のため平日に働いている方には学びやすい環境です。

入学対象は、全国社会福祉協議会中央福祉学院の社会福祉主事通信課程を修了し、2年間の相談援助実務を経験した人となります。

社会福祉士の受験資格を満たして国家試験に臨もう!

社会福祉士の受験資格を取得するためにはさまざまなルートがあり、非常に複雑です。おもに「福祉系大学・短大等で指定科目を履修し、修了するルート」「短期養成施設等を修了するルート」「一般養成施設等を修了するルート」があります。

ほかにも、学校を卒業後に実務経験が必要なパターンなどもあります。そのため、自分がどのルートに当てはまるか、どのルートで受験資格を取得すればよいのか、事前にしっかりと確認したうえで試験に臨んでみるのがおすすめです。

引用元:
厚生労働省 社会福祉士の資格取得方法
公益財団法人 社会福祉振興・試験センター 社会福祉士国家試験
社会福祉法人 全国社会福祉協議会 福祉の資格
NHK学園 社会福祉士養成課程
大原医療秘書福祉保育専門学校
東京福祉専門学校
中央福祉学院

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