社会福祉士の月収・年収は高いの?平均月収や年収、収入アップを目指す5つの方法を紹介
社会福祉士は介護・福祉の相談業務に従事し、要介護者に最適なアドバイスをしたり、関係機関と連絡を取り合ってサポートをしていく仕事です。しかし、社会福祉士としての仕事内容や具体的な収入金額について、よくわからないという方も少なくないでしょう。
今回は社会福祉士の平均月収・収入や、高待遇なことが多い3つの理由、給料をアップさせるための方法、収入が高い傾向にある職場について紹介します。
社会福祉士の収入を増やす方法を知って、平均収入よりも多く稼いでいきましょう。
社会福祉士とは
社会福祉士の仕事内容は、福祉関連の相談業務がメインです。「ソーシャルワーカー」と呼ばれることもあります。職場は福祉の事業所や病院などで、なかには社会福祉士の資格を持ったうえで支援相談員・生活相談員として活躍する方もいるでしょう。
身体的・精神的・経済的に困難である状況の方に対してサポートしたり、解決策を考えたりする仕事です。また、他の福祉のプロフェッショナルと連携して仕事を行います。
社会福祉士の給与・平均年収はどれくらい?
国家資格であるため社会的信用性が高く、社会福祉士の資格を持っていれば医療や介護・福祉など、さまざまな分野で専門性を発揮できます。では、社会福祉士の給与・平均年収はどのくらいなのでしょうか。
ここでは、厚生労働省統計の「令和4年度介護事業者処遇状況調査結果」のデータをもとに紹介します。平均給料を把握することで、資格を取得し、働きだしてからの生活をイメージしやすくなるでしょう。
常勤の社会福祉士の平均給与は約35万
厚生労働省の令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果によれば、ベースアップ等支援加算を取得している事業所で勤務している常勤の社会福祉士の平均給与は35万2,560円で、介護職全体平均の31万8,230円よりも高い水準です。
社会福祉士の実際の給与は職場環境や労働条件によって異なりますが、介護職の中では平均給与が安定して高い職業の一つだといえます。
常勤の社会福祉士の平均年収は約420万
上記の給料を12カ月分で賞与なしと考えると、平均年収が423万円ほどになります。賞与が3カ月分出る場合は、合計で15カ月分となり、約529万円とさらに上がります。
社会福祉士のニーズは、高齢化社会が進む日本において高まってきており、今後さらに活躍の場が広がることが見込まれます。年収だけでなく、待遇UPなどの改善も今後期待できると考えられる将来性のある仕事だといえるでしょう。
非常勤の社会福祉士の平均給与は約13万
時給で働く非常勤の社会福祉士の平均給与は13万4,350円となっており、実働労働時間の少なさの影響もありますが、常勤の社会福祉士よりも22万円ほど低い水準になっています。ただし、全体平均である12万330円よりは高い水準にあるのが特徴です。
施設別の違いを紹介|介護老人福祉施設・訪問介護事業所など
社会福祉士の平均給与は、下記のように勤務形態や勤務場所によって大きく異なります。
常勤の場合 | 令和4年 | 令和3年 |
介護老人福祉施設 | 38万1,170円 | 36万570円 |
介護老人保健施設 | 33万4,430円 | 32万3,870円 |
介護療養型医療施設 | – | – |
介護医療院 | – | – |
訪問介護事業所 | 33万4,380円 | 30万8,850円 |
通所介護事業所 | 31万9,620円 | 32万3,620円 |
通所リハビリテーション事業所 | 34万1,030円 | 32万830円 |
特定施設入居者生活介護事業所 | 34万9,040円 | 32万7,740円 |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 36万4,380円 | 33万1,670円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 33万3,190円 | 31万9,620円 |
非常勤の場合 | 令和4年 | 令和3年 |
介護老人福祉施設 | – | – |
介護老人保健施設 | – | – |
介護療養型医療施設 | – | – |
介護医療院 | – | – |
訪問介護事業所 | – | – |
通所介護事業所 | 15万2,090円 | 13万8,470円 |
通所リハビリテーション事業所 | – | – |
特定施設入居者生活介護事業所 | – | – |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 13万6,830円 | 13万6,370円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | – | – |
介護老人福祉施設と小規模多機能型居宅介護事業所で勤務する社会福祉士の平均月給が高く、通所介護事業所で働く社会福祉士の平均月給は相対的に低いのが特徴です。
社会福祉士の月給・年収が高待遇なことが多い理由
社会福祉士の月給・年収は、他の介護・福祉系の職業よりも高い水準にあります。社会的なニーズの高まりや資格手当の充実度合いなど、具体的な背景について確認しましょう。
給与は年々アップしている
前述した令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果を見てもわかる通り、平均月収・年収は令和3年度から上昇しており、収入アップの傾向が顕著です。具体的には、常勤の社会福祉士の平均給与額は、33万4,820円から35万2,560円に増加しています。
社会的な介護サービスのニーズの高まりから、高待遇な職場も増えているのです。
資格手当をもらっている人が多い
福祉・介護制度に精通していて、適切な相談業務を行える介護・福祉施設にとっては社会福祉士は貴重な人材です。資格手当をもらえるケースも少なくありません。
資格手当の平均額は1万円前後で、場合によっては2〜3万円ほどもらえる職場もあります。資格手当がついて収入の水準が高くなるのが社会福祉士の給料の特徴です。
資格保有が昇進に役立つ場合もある
介護・福祉施設では、社会福祉士のような難関資格の取得・保有が昇進の条件になっている場所もあります。社会福祉士の資格を保有していることで、専門知識が豊富にあり、相談業務に従事できるスキルを証明できるため、勤務先へのアピールに役立ちます。
何らかの役職に就くことで、将来的な年収アップを目指せるでしょう。
社会福祉士が給料をUPさせる5つの方法
ここからは、社会福祉士が給料をUPさせるには、どうしたらいいのかについて紹介していきます。社会福祉士は資格手当などもつき、安定した給料を受け取れることの多い職種ですが、給料に満足できていない方もいるでしょう。
今の事業所のまま簡単に給料UPが見込める方法の1つとしては、夜勤に入るという方法があります。それ以外は以下で紹介していくので参考にしてみてください。
1. 役立つ資格を取得してキャリアアップ
社会福祉士の資格以外に、新たな資格を取得することでさらなる相乗効果が期待でき、給料UPにつながります。
代表的な資格としては、精神保健福祉士・介護支援専門員(ケアマネジャー)・介護職員初任者研修などです。これらの資格を取得することで、現場でできることが広がり、仕事の役割も増えていくことから自ずと給料UPにつながります。
2.より待遇のいい職場に転職する
社会福祉士が活躍できる場は広く、働く場によって収入が大きく異なります。現在の職場で給料UPを目指すことがむずかしい場合は、より条件のよい職場に転職することもひとつの方法です。
ただし、年齢を条件としている施設もあるため、注意するようにしましょう。
3. 経験を活かして独立開業する
社会福祉士は独立開業でき、その際の条件や年齢制限はとくにありませんが、独立開業は収入が不安定になったり、責任が重くなったりなどのデメリットもあります。
ですがその一方で、仕事の自由度が増し、自分の能力や希望に合った仕事や地域に密着した仕事ができるというメリットも。さらには、成年後見人の業務を行うなど、業務の幅を拡大していくことで給料UPも可能です。
以下の記事では社会福祉士の独立について解説しているので、気になる方は参考にしてみてください。
独立型社会福祉士とは? どんな仕事をするの?|社会福祉士として独立するメリット・デメリット
4. 成年後見人としても活動する
成年後見人は、認知症や知的障害、精神障害などの理由により、判断能力が十分ではない人を保護し、支援する役割を有しています。
具体的には、財産の管理や身の回りの世話、施設へ入所する際に必要な契約手続き、さらには悪徳商法への被害を防ぐことも役割です。社会福祉士として経験を積み、より専門的な知識や技術を持つことで成年後見人として活動できます。
5. 副業をする|セミナー講師など
現在の職場に身を置きながら、セミナー講師などの副業をすることで収入をUPできます。社会福祉士の知識や経験を活かしてセミナー講師を行えば、幅広い分野の人に発信できるでしょう。
ただし、まずは現在勤めている職場の就業規則を確認することが重要です。そして、副業が禁止されていないことを確かめるようにしましょう。
社会福祉士として働くより給料の高い職場とは
社会福祉士として新しい場所でキャリアや給料をUPさせる方法があり、ここでは、給料UPに繋がりやすい勤め先などについて、具体的に解説します。社会福祉士と一言で言っても、さまざまな働き口があります。
介護の事業所だけでなく、他にもどのような場所で働けるのかや勤め先による給料の差を事前に知ることで、就職活動を行う際に役立つでしょう。
社会福祉士の具体的な働き口
社会福祉士の就職先には介護・福祉・医療・教育施設があります。具体的には下記のとおりです。
・高齢者や障がい者関係:介護施設、居宅サービス事務所
・児童・母子関係:児童相談所、保育所、保護施設
・生活保護関係:保護施設、無料低額宿泊所
・地域福祉関係:福祉事務所、社会福祉士事務所
・医療関係:病院、診療所、クリニック
・学校教育関係:小学校、中学校、高校、大学、短大
・司法関係:矯正施設、厚生保護施設
・行政機関:市役所、町村役場
自分自身のスキルに見合った職場で、給料や福利厚生がいい職場を選びましょう。
1番給料の高い事業所は介護老人福祉施設で約38万円
社会福祉士は事業所によっても給料の違いがあります。令和4年度における厚生労働省のデータによると、1番給料の高い事業所は、「介護老人福祉施設」で約38万となっています。
社会福祉士として働くのに、給料の高い事業所がいいと考える場合は、この「介護老人福祉施設」が今現在もっとも平均給与が高いと認識しておきましょう。
役所や児童相談所などの公的施設で安定的に勤める
安定的な給料を得られる職場として、役所や児童相談所などの公的施設が挙げられるでしょう。社会福祉士の資格に加えて、役所や児童相談所などで働くときは、公務員試験を受けて合格することで、「公務員」として働くことができます。
給料は公務員給与規定に沿って支払われるため、安定した給料を得ることができるのが良い点だといえるでしょう。
給料UPにおすすめの資格を紹介
社会福祉士としてさらに給料をUPしていくために、おすすめの資格を紹介します。社会福祉士とは別に、介護系の違う資格を取得することで、仕事の幅が広がり、さらなる給料UPに繋がることも。
ここでは、給料UPに繋がりやすいケアマネジャー・認定社会福祉士・認定上級社会福祉士の資格について紹介していきます。どのような内容の資格か確認してみましょう。
ケアマネジャー|介護支援専門員
ケアマネジャーは、保健医療福祉分野での実務経験が5年以上、かつ900日以上ある人を対象とした資格です。介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、さらに実務研修を修了すれば資格を取得できます。
ケアマネジャーのおもな役割は、要介護者や要支援者をサポートすること。訪問介護やデイサービスなどの介護サービスを受けられるように、まずは要介護者や要支援者の状態や要望などを把握します。
そのうえで、ケアプランの作成や市町村・サービス事業者・施設との橋渡しの役割を担います。介護保険サービスを受けるためには、ケアマネジャーの作成したケアプランが必要となります。そのため、ケアマネジャーは介護保険のプロともいえる職種です。
社会福祉士とケアマネジャーの資格を持っていることでさらに仕事の幅が広がり、給料がUPする可能性が高まるでしょう。
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認定社会福祉士
認定社会福祉士は、専門知識やスキルを身につけて、他職種との連携、地域福祉などへの取り組みなどの実践力を認定する資格です。所属する組織で高度な知識を用いて相談業務に従事し、複数ケースへの対応の可否やリーダーシップの有無などを証明します。
高齢分野、障害分野、児童・家庭分野、医療分野、地域社会・多文化分野の、各分野で認定福祉士としての認証が行われます。
引用元
認定福祉士認証・認定機構:認定社会福祉士」「認定上級社会福祉士」とは
認定上級社会福祉士
認定上級社会福祉士は、高度な専門知識やスキルを身につけて、相談業務や地域福祉の増進などに関する業務に従事し、人材育成において指導的な役割を果たせる資格です。
関係機関と協力しながら、権利擁護の仕組みづくりやサービス開発にも貢献します。
社会福祉士としてさらなる月給・年収アップを目指そう!
社会福祉士の平均月収・年収は他の介護職より高い水準にあります。社会的なニーズの高まりから、高待遇な仕事が増えており、資格手当がもらえる職場も多いです。また、社会福祉士の資格を保有していることで、昇進につながる可能性もあります。
給与アップを狙うなら、社会福祉士以外の資格も取得したり、より待遇のいい職場に転職したりするのがおすすめです。また、副業をはじめたり、成年後見人として活躍したりなど、社会福祉士にプラスアルファの仕事をはじめるのも選択肢の一つでしょう。
給与アップにおすすめの資格はケアマネジャーや認定社会福祉士・認定上級社会福祉士など、同じく相談業務における専門性やスキルを証明できる資格がおすすめです。
社会福祉士として、さらなる月給・年収アップを目指していきましょう。