【介護レクリエーションvol.6】認知症の進行を予防する!「足を動かすレクリエーション」
現場で取り入れやすいレクリエーションのアイディアをご紹介する「介護レクリエーション」の企画。
日常生活の中で非常に重要となる「足の動き」。しかし、脚力が衰え、1日の活動量が低下すると、脳への刺激の低下にもつながり、認知症の進行を早める原因になってしまいます。そこで今回は、認知症の進行を緩やかにすることを目的とした「足を動かすレクリエーション」をお教えします。
ひざ掛け
【対象者】健常者、片まひの方、すべての方が対象
【レクの目的】下肢筋群の筋力強化、バランス感覚の向上、注意力の向上、脳の活性化
【人数】1人~多数
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】新聞紙(ハンカチやタオルでも可能)、音楽CD、ストップウォッチ、椅子
【制限時間】歌を導入する場合は「1番」だけ、動作だけの場合は新聞紙が落ちるまで
【レクリエーションの内容】太ももの上の新聞紙を落とさないように、音楽に合わせて足踏みをするレクリエーションです。下肢筋群の筋力向上が期待できることに加え、歌を歌いながら体を動かすことで脳活性度アップも見込めます。
レクを始める前の準備
・参加者の椅子を用意しておきましょう。
・新聞紙を四つ折りにします。(ハンカチ・タオルの場合は、両太ももにかかる大きさのものを選びましょう)。
遊び方
1.上図のように姿勢を正して座ります。
2.太ももの上に新聞紙を乗せ、落とさないように注意しながら音楽に合わせて足踏みをします。
進め方のコツ
・音楽を聴きながら、もしくは一緒に歌いながら楽しみましょう。
・参加者の状況を見ながら、新聞紙の枚数を増やしていきましょう。
・何秒落とさずに足踏みできるか、タイムを競って楽しみましょう。
注意点
乗せているものが膝から落ちた際に、自分で取ろうとする動きがあります。自身で取れる方は良いですが、前傾姿勢になることで転倒リスクが上がる方は、スタッフがしっかり見守り、状況に応じてサポートしましょう。
新聞たたみ
【対象者】健常者、片まひの方、すべての方が対象
【レクの目的】下肢筋群の筋力強化、バランス感覚の向上、注意力の向上、脳の活性化
【人数】1人~多数
【実施に好ましい場所】ホール
【必要な道具】新聞紙、椅子
【制限時間】最長2分程度
【レクリエーションの内容】足を使って新聞紙を畳んだり元に戻したりすることで、下肢筋群の筋力強化やバランス感覚の向上などを図るレクリエーションです。
レクを始める前の準備
・個々で出来る範囲に差が出るため、スタッフは事前にやり方を学習しておき、参加者のレベルに合わせたフォローができるようにしておきましょう。
遊び方
1.上図のように姿勢を正して座ります。
2.新聞紙1枚を足元に広げ、その上に足の裏を乗せます。
3.両足を使って新聞紙を半分(1/2)に折ります。
4.3をさらに半分(1/4)に折ります。
5.4をさらに半分(1/8)に折ります。
6.両足を使って広げた状態(2の状態)に戻します。
応用編
「折る」という行為が難しい場合は、両足で新聞紙を挟んで持ち上げるだけでもOKです。その際は、床と足が水平になるように持ち上げ、そのままの状態を5秒キープします。
進め方のコツ
・スタッフは参加者の小さな変化を見つけて、前向きな声かけを積極的に行いましょう。
注意点
車いす利用の方がチャレンジする際は、フットサポートに引っ掛かり、皮膚剥離等を発生させる可能性があります。可動域や皮膚の状況を把握した上で行うように気を付けて下さい。
「転倒」「骨折」が認知症に直結すると言っても過言ではないほど、認知症と脚力の効果は非常に密接な関係にあるそう。だからこそ、転倒・骨折を未然に回避する運動を積極的に行って筋肉量を増やすことが、とても大切になるんですね。日々のレクリエーションで楽しく運動しながら脳の活性化を図り、認知症の進行の緩和につなげましょう!
イラスト:SMILES FACTORY
文:小沼奈央(レ・キャトル)
教えてくれたのは…
大野 孝徳さん
合同会社A-assist代表、介護福祉士、介護予防指導士、レクリエーション・インストラクター。学生時代は子ども会集団指導者講師として岐阜県内でレクリエーション指導に従事。そこでの経験が評価され、介護業界に入職。介護職・相談員・管理職、在宅・施設両面での介護業務と、介護現場において幅広く活躍。2016年に独立し、A-assistを設立。訪問型介護予防体操教室やレクリエーションサポート活動を展開。現在も現場に入り介護福祉士として従事する傍ら、「え~(良い)アシスト」を提供するべく全国を対象に事業を展開している。