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特集・コラム 2020-09-01

スポーツインストラクターになる方法とは? 仕事内容や必要な能力を分かりやすく解説

近年、健康維持やストレス発散、ダイエットなどさまざまな目的でスポーツを日常に取り入れる人が増えています。このような人たちに向けて、スポーツを安全かつ効果的に指導を行う専門家が「スポーツインストラクター」です。

今回は、スポーツインストラクターになるための方法や仕事内容などについてご紹介します。スポーツに関わる仕事をしたい人、スポーツを通して何かを教えたい人は、本記事をぜひお役立てください。

スポーツインストラクターになるためのルート

スポーツインストラクターになるには、具体的にどのような方法があるかをお伝えします。

まずスポーツインストラクターに必要な資格はありませんが、人を指導する立場である以上、プロになる前に専門的な知識を学んでおくことをおすすめします。下記は、スポーツインストラクターになるための一般的なルート図です。

入職者の多くは、体育系の大学や短期大学、もしくは専門学校の卒業生です。スポーツインストラクター養成を目的とした学科やコースでは、体やスポーツに関する専門知識を学ぶことができます。体の仕組みから栄養管理、ケガの応急措置の方法まで、現場で役立つ幅広い基礎知識を習得できるでしょう。

卒業後は、スポーツクラブやフィットネスクラブのスポーツインストラクターとして就職するのが一般的ですが、市区町村が運営する体育館や福祉施設、高齢者向けの健康増進教室などで働く選択肢も広がっています。

スポーツインストラクターは、スポーツの知識や技術だけでなく、利用者の運動能力に合わせた指導力、さらに信頼を構築するためのコミュニケーション力が求められるでしょう。また、施設のマネジメント能力があると、より優遇されやすくなります。実際に高いマネジメント能力を期待され、スポーツとは関係のない学部の卒業生が入職してくるケースもあります。

もし学生時代から就職希望の施設でアルバイト経験を積んでおけば、そのまま採用につながる可能性もゼロではありません。

スポーツインストラクターとはどんな職業か?

スポーツインストラクターとは、スポーツにおける技術や知識の指導を行うエキスパートです。スポーツに多くの種目があるように、インストラクターにもいくつかの選択肢があります。ここでは、その種類について触れていきましょう。

スポーツインストラクターの種類とは?

スポーツインストラクターになるには、下記の2つの種類があることを理解しておくことが大切です。

・スポーツクラブタイプ
・フィットネスクラブタイプ

スポーツ種目を取り入れたスポーツクラブタイプは、初心者からベテランまで個人のレベルに応じたスポーツの指導を行います。具体的には、「テニスインストラクター」「スイミングインストラクター」「ダイビングインストラクター」「スキーインストラクター」などです。

その一方で、フィットネスクラブタイプは介護予防やダイエット、生活習慣病予防に役立つ運動を目的としています。ヨガやストレッチなどを室内で教える「スタジオインストラクター」や、マシンを使って筋肉トレーニングの指導を行う「マシンジムインストラクター」が、このタイプに該当します。もしダイエットを指導する場合、トレーニング方法に追加して食生活に関する知識も必要になるかもしれません。教えたいジャンルを明確にすればするほど、働く場所を絞りやすくなるでしょう。

スポーツインストラクターに必要とされる能力・知識

スポーツインストラクターになるには、どのようなスキルを身につけると良いのでしょうか。ここでは、特筆したい3つの能力・知識についてご紹介します。

利用者の目的や体力に合わせた指導力

ダイエット・体力の向上・健康維持など、スポーツを始める目的は人によってさまざまです。筋力や運動能力も人によって異なるため、スポーツインストラクターは利用者の目的やペースに合わせて、適切な指導を行う必要があります。

また必要な人には、食事メニューや生活習慣のアドバイスをします。指導力を上げるには、あらゆる視点から知識を吸収しておくことが大切です。

スポーツインストラクターはこうした知識を大学などで学んでから就業することも多く、実際スポーツインストラクターとして働く人の53.8%が、大学を卒業しています。

包括的なコミュニケーション能力

トレーニング指導において、利用者とのコミュニケーションは必要不可欠です。伝えたい情報を分かりやすく説明する「説明力」、利用者の話にじっくりと耳を傾ける「傾聴力」、仕事に関する文書などを正しく理解する「読解力」の3つが重要なスキルとなります。

顧客や対人サービスの知識

スポーツインストラクターは利用者がいてこそ成り立つ職業であり、顧客のニーズを正確につかみ、満足度を上げながらサービスも向上していく工夫が必要です。一般的な情報をただ伝えるだけでなく、個々に合わせたトレーニングメニューを作成して的確なアドバイスをするなど、きめ細やかなケアが求められています。

また、学歴よりもスポーツが好きな人が重宝されやすく、利用者が楽しくスポーツを学べるような工夫や努力を続けていける人が向いていると言えます。

スポーツインストラクターの労働条件と仕事内容

平成27年国勢調査によると、スポーツインストラクター全国に70,330名。うち半数程度が女性です。また平成30年賃金構造基本統計調査では、平均年齢は36.1歳、労働時間は月166時間、年収は380万円となっています。

24時間営業を行っているフィットネスクラブなどは、会員が利用する時間帯に合わせてスタッフの人数を調整しながら交代制で働いています。また就業者のうち、女性が半分を占めていることも特徴です。

雇用形態としては、正社員または契約社員という形で企業に属するか、フリーランスとしての働き方が選択できます。

正社員や契約社員の働き口としてしては、全国各地のスポーツクラブやフィットネスクラブ、その他のスポーツ施設です。主な業務内容は運動やスポーツの指導が基本になります。ただ組織に属している場合、スポーツ教室の企画・立案や実施、マニュアルに沿ったトレーニングメニューの作成など、与えられる業務が自分の意に沿わないこともあるでしょう。

フリーランスの場合は、フィットネスクラブやスポーツクラブで業務委託として働いたり、利用者の自宅で出張レッスンを行ったりするなど、幅の広い活躍ができます。個人の専属パーソナルトレーナーとして働く方法もあります。

フリーランスは時間の融通が利きやすい、仕事を選べることがメリットですが、自ら仕事を獲得していくスタンスが求められます。また、お金の管理や知識も必要となります。

いきなりフリーランスを目指すより、20代から30代は組織の中で経験を積み、独立するパターンが多いです。体力が必要な仕事なので、なるべく若いうちに多くの経験を積んでおくことをおすすめします。フリーで収入を安定させるには、他のインストラクターにはない指導方法を確立させたり、個人の影響力を高めたりする努力が必要になるでしょう。

スポーツインストラクターの仕事内容

水泳やヨガ、エアロビクスのレッスンや、機械を使ったトレーニング指導など、スポーツインストラクターの仕事は実にさまざまです。基本的の業務としては、安全第一で個人に合った運動やトレーニングを行うための指導・アドバイスを行います。

ダイエットや健康維持を目的とした利用者には、食事のメニューや生活習慣についてのアドバイスを行うこともあります。また、最近は著しい高齢化に伴い、老人福祉施設や介護保険施設などで高齢者を相手に指導を行うインストラクターの需要も高まっています。

下記に、業務内容の一部をまとめたので参考にしてください。

・実演を交えたスポーツ指導
・利用者のトレーニングメニューの作成
・ケガや事故のリスクを減らすための安全指導
・スタジオや施設内の手入れ、後片付け
・運動器具や訓練器具の使い方の説明
・器具の点検や調整
・食事メニューや生活習慣に関するアドバイス

スポーツトレーナーとの違い

最後に、よくスポーツインストラクターと混同されがちな「スポーツトレーナー」との違いをご説明します。

スポーツトレーナーが指導する対象とするのは、スポーツ選手です。選手が最高の状態で競技ができるよう、栄養指導からメンタルケア、競技中の応急処置までマルチにサポートします。

スポーツインストラクターは一般の人に技術指導を行うことが主な仕事で、自身も体を動かすことが多いため、スポーツトレーナーよりも高い運動能力が求められます。

似ているようで全く異なる職種なので、自分が目指したい方向を明確にして、行動を起こしていきましょう。

おわりに

スポーツインストラクターには、機械を使用したトレーニングからヨガ、ダンスに至るまで、多彩な活躍の場所が用意されています。スポーツや人に何かを教えることが好きな人は向いている職業と言えるでしょう。自分が得意なスポーツを教えることで、人の役に立っているような実感も湧いてくるはずです。

スポーツインストラクターを目指すなら、まずは指導に必要な専門知識や技術を習得した上でプロになることをおすすめします。

参考元:
スポーツインストラクター|職業情報提供サイト(日本版O-NET)
スポーツインストラクターになるための道のりとは?|福岡医健・スポーツ専門学校
スポーツトレーナーとスポーツインストラクターの違いとは|浦和大学
スポーツインストラクターになるには|浦和大学
業種別開業ガイド スポーツインストラクター|独立行政法人中小企業基盤整備機構

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