高齢者レクリエーションの目的とは? どんな種類がある?|実施のポイント5つを紹介
多くの高齢者施設では、利用者に対してさまざまな形のレクリエーションがおこなわれています。
この記事では、高齢者レクリエーションを実施する目的やレクリエーションの種類、また高齢者を相手にレクリエーションを実施する際に気をつけるべきポイントをご紹介しましょう。
- 高齢者レクリエーションの目的とは? なぜおすすめなの?
- どんな種類がある? 介護施設におすすめのレクリエーションとは
- 1. 体を動かすレクリエーション・ゲーム
- 2. 手先を使うレクリエーション・ゲーム|ぬりえ・折り紙など
- 3. 頭を使うレクリエーション・ゲーム|なぞなぞ・トランプなど
- 4. リラックス目的のレクリエーション・ゲーム|音楽を楽しむ・森林浴など
- 利用者さんに楽しんでもらいたい! レクリエーション実施のポイント5つを紹介
- 1. 難易度を調節する|自尊心を傷つけない配慮を
- 2. 安全には充分に配慮する|体を動かすレクはとくに注意
- 3. 参加は無理強いしない|利用者さんの意志を尊重する
- 4. 説明や進行は大きな声で分かりやすく|聞き取りやすさを重視
- 5. コミュニケーションのきっかけづくりも忘れない
- ポイントを押さえて楽しいレクリエーションを実施しよう
高齢者レクリエーションの目的とは? なぜおすすめなの?
高齢者レクリエーションは、高齢者のみなさんが集まって、無理のない運動や知的ゲームなどを楽しむことです。
老人ホームやデイサービスを利用している高齢者に対して、レクリエーションをおこなう目的について解説していきます。
1. 身体機能や脳機能の維持・活性化|運動不足の解消
体に無理のない運動を取り入れることで、身体機能の維持や向上を図れます。とくに施設に入居している高齢者は運動不足になりがちなので、適度な運動は効果的です。
また脳を使うカンタンな知的ゲームの実施は、脳機能の活性化や認知症の予防にもつながります。
2. コミュニケーション促進|社会生活の維持
高齢になり、体の機能が衰えて家から外に出る時間が減るなど、施設に入居している状態が長く続くと、他者とのコミュニケーションの機会が減ってしまいます。
レクリエーションをおこなうことで、他者とのコミュニケーションや社会性の向上、また孤独感を減少させるなどの効果が期待できるでしょう。
3. 気分転換でストレス解消|心身をリフレッシュ
介護が必要になった高齢者の場合、自宅から出られずに引きこもりがちな生活になることもあります。デイサービスなどのレクリエーションに参加することは、それだけで気分転換になり、心身をリフレッシュできるでしょう。
施設に入居している高齢者にとっても、施設内の日々の生活にメリハリをつけることができます。
4. 生活の質の向上|生きがいや楽しみの提供
高齢者にとって代わり映えのしない単調な生活は、心身のストレスや意欲の減少などにつながります。場合によってはメンタルの不調が起こってしまうこともあるでしょう。
レクリエーションへの参加は、身体機能や脳機能を活性化させるだけでなく、社会性も向上できるので、生活の質そのものが向上します。高齢者施設や介護の現場では、高齢者がいかに楽しみと生きがいをもって暮らせるかという点を考えることが重要です。
どんな種類がある? 介護施設におすすめのレクリエーションとは
介護施設でおこなわれるレクリエーションには数多くの種類があり、それぞれのレクリエーションによって得られる効果やメリットも異なります。ここからは介護施設でおすすめのレクリエーションをご紹介します。
1. 体を動かすレクリエーション・ゲーム
体を動かすレクリエーションで、道具を使用せずにおこなえるものとしては、ラジオ体操、ダンス、ジェスチャーゲーム、フルーツバスケット、園芸・家庭菜園など。
道具を使用したものでは、玉入れ、玉蹴り、お手玉、ボーリング、輪投げ、トントン相撲などが挙げられます。
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風船バレー
風船バレーは、一般の高齢者から車椅子の高齢者まで参加可能なレクリエーションです。バレーのボールを風船に代えて、チームで得点を競います。
1チームは2~6人で構成し、1~1.5m間隔で椅子に座り、ネットを隔てて向かい合います。先行のチームが相手陣地に風船を打ち込み、打ち込まれたほうは床に落ちないように相手陣地に返します。この際、風船には何度触ってもOKです。
風船を床に落としてしまったら相手チームの得点になり、総合得点で勝敗を決めます。
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2. 手先を使うレクリエーション・ゲーム|ぬりえ・折り紙など
手先を使うレクリエーションは、指先の器用さや思考力が求められます。おもなものは、折り紙、塗り絵、書道、生け花、手芸、お菓子作り、小物の工作など。手先を使うレクリエーションのよさは、高齢者がレクリエーションを通して「作る喜び」を感じることができる点です。
3. 頭を使うレクリエーション・ゲーム|なぞなぞ・トランプなど
頭を使うレクリエーションは脳を活性化させるので、認知機能の維持・向上や認知症予防の効果が期待できます。また、体を自由に動かせない高齢者でも可能な点もポイントです。
カンタンなものとしてはパズルゲーム、トランプ、なぞなぞ、オセロ、花札、かるたなど。より頭を使うものとしては、将棋、麻雀、クロスワードパズルなどがあります。
4. リラックス目的のレクリエーション・ゲーム|音楽を楽しむ・森林浴など
高齢者レクリエーションには身体機能や脳機能を活性化させるものだけではなく、リラックスや心身のストレス解消を目的としたレクリエーションもあります。
体を動かしておこなうものとしては、森林浴、ヨガ、動物とのふれあい(アニマルセラピー)、カラオケなど。体を動かさないものとしては、音楽を聞く、瞑想、深呼吸、ハンドマッサージ、アロマセラピーなどがあります。
利用者さんに楽しんでもらいたい! レクリエーション実施のポイント5つを紹介
高齢者施設などでレクリエーションを実施する際、利用者さんに楽しんでもらうためには多くの点で注意を払う必要があります。
ここでは、高齢者レクリエーションをうまく進めるポイントや、利用者さんとの正しい接し方についてみていきましょう。
1. 難易度を調節する|自尊心を傷つけない配慮を
難易度の高いレクリエーションだと、人によっては楽しめないこともあります。できるだけすべての利用者さんが楽しめるように、難易度を調整しましょう。
ただし、あまりにカンタンすぎる、子どもっぽすぎるレクリエーションだと、まるで馬鹿にされたような気持ちになってしまう利用者さんもいます。また個人戦をおこなうと、負けたときにプライドが傷ついてしまうこともあるでしょう。
レクリエーションの実施では、利用者さんの自尊心を傷つけないことが大切です。「子ども扱いされている」と感じて嫌気がさしてしまうような言動は控え、「年上を敬う気持ち」をもって接しましょう。
2. 安全には充分に配慮する|体を動かすレクはとくに注意
高齢者レクリエーションで最初に注意すべきは、安全への配慮です。とくに体を動かすレクリエーションでは転倒によるケガ、体調不良、持病の悪化などに繋がる可能性があります。また、ハサミや針などを使うレクリエーションも、万が一のことが起きないように充分な配慮が必要です。
どのようなレクリエーションであっても、事前の徹底した安全配慮と利用者さんの動きに目を離さないようにしましょう。
3. 参加は無理強いしない|利用者さんの意志を尊重する
高齢者レクリエーションは、利用者さんを強制的に参加させておこなうものではありません。利用者さんが乗り気でなかったり、体調が優れないのに無理に参加させると、かえってストレスが溜まったり、体調が悪化したりする可能性があります。
高齢者レクリエーションを実施する前に、必ず本人に参加するかどうかの意思を確認しましょう。
4. 説明や進行は大きな声で分かりやすく|聞き取りやすさを重視
レクリエーションの実施には進行役が必要です。レクリエーションの内容や進め方を説明するときは、耳が遠い利用者さんに配慮する意味でも、聞き取りやすいように大きな声を出しましょう。
また、あまり早口でしゃべると内容が理解できない利用者さんもいるので、なるべくゆっくりと、聞き取りやすさを意識して話すことが大切です。
5. コミュニケーションのきっかけづくりも忘れない
レクリエーションに参加する利用者さんのなかには、コミュニケーションが苦手な方もいます。そのため利用者さんが人の輪のなかに自然と入り、打ち解けるように配慮をすることも大切です。
はじめてレクリエーションに参加する利用者さんには、まずは年齢の近い同性の人を紹介するなどして、コミュニケーションのきっかけを作ってあげましょう。
ポイントを押さえて楽しいレクリエーションを実施しよう
施設を利用している高齢者のみなさんにレクリエーションを楽しんでもらうには、レクリエーションを実施する側の適切な配慮が必要です。また、同じ施設の利用者さんでもそれぞれに趣味や個性、考え方の違いがあります。できるだけ個々の性格や人間性を把握し、自尊心を傷つけないように、しっかりと敬意を払って実施することが大切です。
今回ご紹介したポイントを踏まえて、すべての利用者さんに喜んでもらえるようなレクリエーションを計画していきましょう。