ヘルスケア&介護・看護・リハビリ業界の応援メディア
特集・コラム 2022-12-08

介護福祉士から看護師になるには?具体的なロードマップや3つのメリット、資質について解説

「このまま介護福祉士として働いていけるか不安」「介護福祉士から看護師に転職するための方法も知っておきたい」と考えている方もいるのではないでしょうか?

介護福祉士は介護福祉に従事する仕事ですが、高齢者医療や障がい者医療など、医療サービスを提供する職場で働く機会も多く、業務内容には共通点もあります。

介護福祉士としての仕事を続けていくべきなのか迷っている方にとっては、看護師も転職先の候補として選択肢にあがってきやすい職業だといえるでしょう。

この記事では、介護福祉士から看護師になるための受験要件や資格取得までのルート、看護師のメリットや向いている人の特徴について解説します。

介護福祉士から看護師への転職を検討している方は、参考にしてみてください。

介護福祉士から看護師になるにはどうすればいいの?


介護福祉士から看護師になるためには、看護師に必要な資格や役割の違いついておさえておきたいと考えている方も多いはずです。この章では、看護師の仕事と介護福祉士の仕事との違いについて見ていきましょう。

看護師は国家資格|受験資格を満たして国家試験を受験しよう

看護師の仕事は診療の補助と療養上の世話を通じて、病気やケガの治療を受ける人や介護が必要な人などの生活を支える仕事です。このうち、診療の補助は医療行為にあたるため、医師の指示がなければおこなえません。
そんな看護師を目指すためには、まずは看護師の国家資格を取得する必要があります。そのため、まずは看護師の受験資格を満たすことが最優先となるでしょう。ただし、看護師になるための受験資格を満たすルートは複数用意されているため、自分に合ったルートを探すことが大切です。

介護福祉士と看護師の役割の違い

看護福祉士と看護師はどちらも国家資格です。ただし、業務内容においてはいくつかの違いがあります。具体的には、以下のような違いがあります。

・介護福祉士:身体介護・生活介助。生活サポートや相談にのるのがメイン
・看護師:医療サポートがメイン。利用者の相談に乗ったりすることもある

介護福祉士は、要介護者の生活介助や生活上の悩みを聞くのが主な役割。また、関係機関との連絡を取り合い、円滑な介護・福祉サービスを提供するのも大切な業務です。

対して、看護師は医療的なサポートを提供するのが主な役割。患者の悩みを聞いて精神的なストレスをやわらげたり、健康状態の管理をしたりすることも業務に含まれます。

受験資格を取得するには? おもなルートを解説!


看護師国家試験の受験資格を得るためには、以下のいずれかのルートで受験資格を満たしている必要があります。

・大学で学ぶルート(4年間)
・養成所(統合カリキュラム)で学ぶルート(4年間)
・養成所・短期大学・専門学校で学ぶルート(3年間)
・看護の高専で学ぶルート(5年間)
・准看護師ルート(2年間)

試験の受験ルートと看護師を目指せる学校について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。

看護師になるには資格が必要! 受験資格を解説|看護師を目指せる学校を紹介

1. 4年制大学で学ぶルート

まずは4年制の大学で勉強する方法です。文部科学大臣の指定した学校教育法にもとづいた大学で、看護師になるのに必要な学科を修めて卒業すれば、受験資格を取得することができます。

4年生大学には医療系意外にも学科・学部がある総合大学、医療系の学科・学部しかない医療大学の2つのタイプがあります。

総合大学は学校の規模が大きく、専門外の講義も受講可能です。その一方で、医療大学は専門が近い学生と一緒に、医療系の講義を集中的に受講できるという特徴があります。

2. 統合カリキュラムのされた養成所で4年学ぶルート

高校を卒業したあとに、保健師課程と看護師課程が統合されたカリキュラムの養成所で4年学ぶというルートもあります。都道府県知事の指定された看護師養成所を卒業することで、受験資格を得ることが可能です。

3.養成所・ 短大・専門学校で3年以上学ぶルート

高校を卒業したあとに、短大や専門学校、看護師課程のみの養成所で勉強する方法です。養成所で学ぶルートと同様に、3年以上看護師になるのに必要な学科を修めれば、受験資格を取得できます。
保健師・看護師の統合課程の養成所では4年、看護師課程のみの養成所では3年間のカリキュラムを履修しなければいけない点は覚えておきましょう。
または、都道府県知事の指定した短大や専門学校を卒業することでも受験資格を取得することが可能です。

4. 高校・高校専攻科|5年一貫教育校で学ぶルート

中学を卒業したあとに、5年一貫教育校に通って受験資格を取得するという方法です。最初の3年間は、普通教科と看護に関する基礎科目を学びます。その後、2年間専攻科にてより専門性の高い看護に関する知識や技術を学ぶという流れです。
最初の3年間を終了すれば高等学校卒業の資格が与えられるため、ほかの大学へ進学することもできます。しかしこの場合、国家資格の受験資格を取得することはできません。
5年一貫教育校で国家資格の受験資格を取得するためには、5年間のカリキュラムを修了する必要があります。

5. 准看護師ルート|実務経験+養成所2年など

准看護師から、受験資格を取得する方法です。准看護師の免許を取得してから3年以上の実務経験がある人のうち、指定大学、指定学校または指定養成所で2年以上修業した人に受験資格が与えられます。また、定時制の場合は、修業期間が3年間になります。

ちなみに、2年間の通信制カリキュラムを利用して受験資格を得るためには、7年以上の実務経験が求められる点に注意しましょう。

受験資格取得までの期間が短縮? 共通基礎課程とは

現在、日本では「共通基礎課程」という制度の導入が検討されています。この課程が実現されれば、専門職から専門職への資格取得が短縮されるでしょう。現在、最短で3年はかかってしまう受験資格を2年で取得することが可能です。

具体的には、保健・医療・福祉のそれぞれの資格を通じた基本的な知識や技術を習得した専門人材を育てるため、養成課程のあり方を見直すとされています。複数の資格に共通した基礎課程を創設し、資格別の専門課程との、2階建ての養成課程へ再編するのです。

現在は資格を持っている人がほかの資格を取得する場合、その資格の養成課程をすべて終了しなければなりません。しかし、共通基礎課程が設けられれば、この課程を省略することができるようになるため、新たに看護系の資格を取得しやすくなるでしょう。

看護師の人材不足を解消する施策として、導入が前向きに検討されている制度です。
元々は2021年度の実施が検討されていましたが、2022年の11月時点においても具体的な実施予定はわからないままです。

対象となる資格とは?|医療系・福祉系資格

共通基礎課程の対象となる資格は、今のところ看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・視能訓練士・言語聴覚士・診療放射線技師・臨床検査技師・介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士・保育士などです。
ただし、上記の対象資格はあくまで一例となります。今後、変更になる可能性もあるということを覚えておきましょう。

なぜおすすめ? 介護福祉士が看護師を目指す3つのメリットとは


介護看護師から看護師を目指すべき3つのメリットは、以下の3点です。

・収入アップの可能性がある
・就職先の選択肢が増える
・担当できる業務の幅が広がる

それぞれのメリットを知って、看護師を目指すべきか検討しましょう。

1.収入がUPする

一般的には、介護福祉士よりも看護師のほうが収入は多いといわれています。介護福祉士の令和3年の平均給与額は32万8,720円(処遇改善加算Ⅰ~Ⅴを取得している事業所)、看護師の令和3年平均給与額は約36万9,210円(令和3年賃金構造基本統計調査)です。

看護師の平均月収は令和2年度のデータと比較すると約7,000円もアップしていて、年収が増加傾向にあることが読みとれます。

このことから、4万円ほど平均給与に差が出ていることがわかります。地域や施設、勤務先などにより給与は異なりますが、看護師を目指せば収入UPが期待できるでしょう。
また、これは勤務先により異なるため一概には言えませんが、資格手当など看護師の資格を取得しているほうが多くもらっているところもあるようです。

2.勤務できる職場が増える|病院などの医療施設への転職も

介護福祉士の勤務できる職場も数多くありますが、看護師の資格を取得することで、高齢者施設や病院、クリニックだけでなく、保育園・幼稚園や訪問看護事業所など、活躍の場がさらに増えていきます。具体的には、以下のような職場が挙げられます。
・病院やクリニック:患者や医師のサポート業務や受付などに従事する
・訪問介護ステーション:要介護患者の自宅を訪問してサポートする
・老人介護・福祉施設:健康管理や患者のリハビリをサポートする
・看護の教育機関:実務5年+半年以上養成課程で学ぶ→看護科の教諭として働く
・海外の国際協力機関で働く:海外で看護経験を活かして国際協力の分野で働く
現在、施設などに勤務されている介護福祉士の方は、病院やクリニックなどの医療施設への転職も可能となるでしょう。

3.業務の幅が広がる|介護施設で看護師はどう働く?

看護師の業務には、注射や点滴、採血といった医療行為が含まれています。介護施設などでは、健康管理やインスリン注射、経管栄養、点滴管理などが看護師のおもな業務です。

介護施設で働いている介護福祉士が看護師となれば、介護業務に加えて、上記のような業務についても携われるようになるため、できる業務の幅も広がっていくでしょう。

介護福祉士から看護師に転向するのに向いている人の資質


介護福祉士から看護師への転向に向いている人には、以下のような資質があります。

・常に向上心を持っている人
・コミュニケーション能力がある人
・冷静な観察力・判断力がある人

それぞれの資質について知って、自分に当てはまるかどうかを確認しましょう。

常に向上心を持っている人

看護師として働いていくためには、継続的に学習をしていく向上心が大切です。

医療・看護の現場では、日々新しい情報が更新されていくので、知識とノウハウが時代遅れとなってしまうスピードが早いといえます。

試験に合格した後も、日々の業務の中での新しい発見や業界で求められている新しい知識・スキルを、積極的に学ぼうとする姿勢が重要です。

コミュニケーション能力がある人

介護福祉士にも看護師にも共通する要素ですが、コミュニケーション能力が大切です。まず、ほかの看護師と連携して、滞りなく医療サービスを提供していく必要があります。

また、患者一人ひとりと向き合って、コミュニケーションをとっていく中で、最適な看護サービスを模索していかなければなりません。

コミュニケーションが看護サービスを充実させるための基本なので、他人と綿密なコミュニケーションをとれることが重要です。

冷静な観察力・判断力がある人

物事を冷静に分析できる観察力や判断能力も、看護師として働くにあたっては重要な素質のうちの一つです。何らかのトラブルが発生しても取り乱すことなく、問題の原因を見極め、最善策は何か考え、適切に対処していく能力が求められます。

緊張が張り詰めた状況に遭遇する機会も多い看護の現場。冷静な判断と問題に対処するスピード感が、看護師に求められる資質だといえるでしょう。

介護福祉士から看護師になるための道のりと適正について知って、看護師を目指すかどうか判断しよう!


この記事では、介護福祉士から看護師に転向するのに必要な資格や仕事の違い、看護師になるまでの具体的なルートを確認しました。また、看護師になるメリットや看護師に向いている人材の特徴についてもおわかりいただけたのではないでしょうか。

看護師になるまでには、所定の教育機関で一定期間以上のカリキュラムを修了し、看護師国家試験に合格する必要があります。

ちなみに、准看護師の経験がある方が看護師国家試験の受験を目指す場合も、最低でも2年以上の実務経験とカリキュラムを修了する必要がある点を覚えておきましょう。

介護福祉士と看護師を比較すると、看護師の方が収入が高い傾向にあり、就職先や業務の幅も広がる点がメリットです。ただし、コミュニケーション能力や判断力、継続的な学習努力が求められる点は覚えておきましょう。

介護福祉士から看護師に転向するための道のりや自分との適性を確認して、看護師を目指すべきかどうか判断してみてください。

引用元
厚生労働省:看護師国家試験の施行
厚生労働省:看護師になるには
厚生労働省:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果
川崎市看護協会:看護職活躍の場所いろいろ

この記事をシェアする

編集部のおすすめ

関連記事

近くの介護福祉士求人をリジョブケアで探す

株式会社リジョブでは、介護・看護・リハビリ業界に特化した「リジョブケア」も運営しております。
転職をご検討中の場合は、以下の地域からぜひ求人をお探しください。

関東
関西
東海
北海道
東北
甲信越・北陸
中国・四国
九州・沖縄