言語聴覚士は公務員として働けるの? 公務員として働くメリットとは
言語聴覚士の資格を持っている人は、実は公務員としても働けることをご存じでしょうか。今回の記事では、言語聴覚士が公務員になるための方法、言語聴覚士が公務員として働く場合の就職先の種類やそれぞれの仕事内容についてくわしく解説していきます。
また、公務員として働くメリットもあわせてご紹介していくので、民間企業と公務員を比較するうえでの参考にしてみてくださいね。
言語聴覚士は公務員としても活躍できるの?
言語聴覚士と公務員はあまり関係性がない職種に思えますが、実際には公務員として働くことが可能です。ここでは、言語聴覚士が公務員として働くにはどうすればよいか、その内容を解説していきます。
公務員試験を受験して合格しよう!
言語聴覚士が公務員として働くためには、各自治体がおこなう公務員試験(公務員採用試験)や医療機関が実施している採用試験に合格する必要があります。基本的には、医療機関や福祉施設で言語聴覚士の欠員が出た場合などに募集を出すことが多いです。
医療機関では、国が運営する病院がおこなう採用試験に合格すると、公務員として働けます。医療機関以外では、各自治体が運営している福祉施設、教育機関などでも言語聴覚士の職員募集が出ることがあるのが特徴。
具体的な施設を挙げると、医療機関であれば、国立病院、市立病院、行政機関であれば保健所、保健センター、福祉施設であればリハビリテーション施設や障がい者サポートセンター、教育機関であれば特別支援学校などです。
いずれの募集の場合でも、その施設や自治体が実施する採用試験に合格しなければなりません。厚生労働省直属の施設で採用されれば国家公務員、国が管理する施設なら公務員もしくは同等の待遇が受けられるみなし、公務員扱いとなります。そして、各自治体の施設ならば地方公務員として働くことになるのが特徴です。基本的にその施設によって扱いが異なるため、応募前に確認しましょう。
採用試験の内容とは? 受験資格はある?
公務員採用試験の内容や受験資格について、川崎市立病院の医療技術職員採用を例にして紹介していきます。
【川崎市立病院で2021年に実施された採用試験における受験資格と試験の内容】
・受験資格
言語聴覚士免許を有する人、または国家試験により免許取得見込の人。51歳未満の人。
・選考科目
専門考査(記述式100分)、面接考査(20分)
・専門考査の出題内容とは
言語聴覚士として必要な専門知識、見識を問う記述式の用語説明(問題5問および論述問題1問)
・専門考査の出題分野とは
基礎医学、臨床医学、臨床歯科医学、音声・言語・聴覚医学、心理学、音声・言語学、社会福祉・教育、言語聴覚障害学総論、失語・高次脳機能障害学、言語発達障害学、発声発語・嚥下障害学、聴覚障害学など
公務員としての仕事内容とは? どんなところに勤務するの?
言語聴覚士が公務員として働く場合には、どのような勤務先があるのでしょうか。ここでは、各勤務先と、それぞれの仕事内容の違いについて確認しておきましょう。
医療機関や保健所
医療機関における言語聴覚士の仕事は、おもに患者の言語障害や音声障害、嚥下障害などの治療における指導・サポートなどです。また、病院のメディカルスタッフの一員として、医師・看護師・理学療法士などのほかの医療職の人と一緒に協力しながら業務にあたることもあります。基本的に医療機関における言語聴覚士の仕事内容は、公立と民間とでは大きな違いはありません。
それぞれの医療機関の勤務で違いがあるとすれば、各医療機関で経営方針や理念、治療に対する考え方が異なることでしょう。理念や方針が異なると、医療における取り組み方やアプローチの方法にも違いが出てきます。
保健所や保健センターでの仕事の場合は、障がい者福祉サービスのサポート業務、病気に関する相談業務、窓口業務、リハビリ教室のスタッフ業務などです。そのため、どちらかというと事務的な業務が多いのが特徴です。
福祉施設|障がい者の就労支援など
福祉施設のおもな勤務先としては、障害者サポートセンター、リハビリテーションセンターなどです。こちらでは、医療機関と同様の仕事を施設入居者におこなうほか、障がい者の就労支援、職業相談、職業紹介なども担当します。
医療機関での仕事はおもに患者の治療に関したものですが、福祉施設での仕事は雇用促進業務も担うという点で違いがあるようです。
教育施設|特別支援学校での指導など
教育施設での勤務先は、小中学校、特別支援学校、専門学校などがあります。教育施設における言語聴覚士のおもな仕事は、子どもの発達障害、発音障害、言語障害、聴覚障害に対する指導・訓練・支援です。その教育施設に勤務する教師、保育士などと連携して相談をしながら、障害を持つ子どもに対して、適切な指導やサポートをおこないます。
また、なかには言語聴覚士が教育施設の教諭として働くケースもあるようです。この場合、幼稚園または小中高の教員免許、特別支援学校の教諭免許を取得する必要があるということを覚えておくようにしましょう。
言語聴覚士が公務員として働くメリットとは?
言語聴覚士が公務員として働く場合、どんなメリットが挙げられるでしょうか。ここでは、雇用、収入、福利厚生のあらゆる面からそれぞれのメリットをご紹介していきます。
1. 雇用が安定している
民間での仕事と公務員の最大の違いは、雇用の安定度です。民間企業は景気の影響を受けやすいので、その施設の経営状況の悪化によってはリストラが実施される可能性もあります。
一方、公務員の場合は基本的に解雇されることはありません。国や自治体が運営する職場は景気に左右されず、倒産などが起こる心配もないので、つねに職を維持できるという安心感があります。
2. 給与が安定している|ボーナスももらえる
収入の安定も、公務員として働く大きなメリットです。これは雇用の安定と関係していますが、公務員は国や自治体が運営する職場で働くので、職場が倒産、経営難になって給与が下がるといったことが起こりません。
給与はつねに安定しており、ボーナスも民間企業以上の水準が期待できるでしょう。また、公務員の給与は基本的に年功序列形式なので、経験年数によって毎年の給与がアップしていきます。そのため、業績が悪い場合でも下がるようなことはほぼありません。
3. 福利厚生が手厚い
公務員の福利厚生は、中小の民間企業に比べて充実していることが多いのが特徴です。休暇制度でみてみると、結婚・出産・育児による休暇、病気休暇、慶弔休暇、ボランティア休暇、リフレッシュ休暇など幅広い休暇を受けることができます。
また、休暇以外の福利厚生としては、家賃補助や扶養手当、地域手当などが含まれるでしょう。このようなことから、民間企業と比べてもかなり手厚い福利厚生を受けることが可能です。
言語聴覚士は公務員としても活躍できる! 自治体の募集要項をチェックしてみよう
医療・福祉系の給与は、ほかの一般的な職種に比べて低い傾向があります。言語聴覚師として働いているものの、「現在の収入に不満がある」「できるだけ給料をアップしていきたい」「生涯安定の仕事に就きたい」という方は、公務員として働くことを検討してみるのもよいでしょう。
言語聴覚士の公務員採用は、基本的には欠員が出たときに募集が出ることがほとんどです。そのため、いつ募集が出るかはわかりませんので、働きたい自治体や施設で募集がかけられているかどうかを定期的にチェックしてみることをおすすめします。
引用元サイト
川崎市 医療技術職員採用選考
川崎市 令和3年度 川崎市職員採用選考案内