スポーツトレーナーを目指し 夢を追いかけ大学から専門学校へ【もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事 Vol.50 整体師/スポーツトレーナー 正木享輝さん #1】
ヘルスケア業界のさまざまな職業にフォーカスして、その道で働くプロにお仕事の魅力や経験談を語っていただく連載『もっと知りたい「ヘルスケア」のお仕事』。
今回ご登場いただくのは、「カラダファクトリー」のエグゼクティブボディトレーナーとして活躍する正木享輝さん。大学から専門学校へ入り直し、スポーツトレーナーを志して株式会社ファクトリージャパングループに入社したという正木さん。現在は夢を叶え、店舗での整体師の仕事と並行して、スポーツトレーナーとしても活動しています。
前編では、正木さんのこれまでの道のりと、現在の働き方についてお聞きします。
お話を伺ったのは…
整体師/スポーツトレーナー 正木享輝さん
大学卒業後、東京リゾート&スポーツ専門学校でスポーツトレーナーとしての基礎を学ぶ。2014年、株式会社ファクトリージャパングループに入社。店舗勤務で整体技術を学び、2018年より同社にてスポーツトレーナーとしても活動をスタート。社内技術コンテスト 「匠の技コンテス ト」のストレッチ部門において、2019年度に続き2020年度も連続で1位に輝く実力派。社内ランク上位の「エグゼクティブボ ティトレーナー」の称号をもつトレー ナーとして高い技術を提供している。
野球での故障経験から感じた「相談できる人」の大切さ
——まずは正木さんがヘルスケア業界に入ったきっかけを教えてください。
僕は小さいころから野球が大好きで、長年ピッチャーをしていました。でも大学の部活で、いろいろな部位を故障してしまったんです。肘、膝、肩と怪我が続き、長いことリハビリもしたんですが、結局野球を断念することになりました。そのとき部活にはトレーナーがいなくて、怪我のことを誰にも相談できなかったんです。そういう存在がいたら、何かもっと違ったんじゃないかという気持ちがありました。
就職を考えるときに、その経験を思い出して。僕みたいな想いをする人が少しでも減って欲しいなという思いから、スポーツトレーナーを目指してみようと思ったんです。また自分がどうして怪我をしたのか、なぜ回復しなかったのかというのを知りたいという気持ちもありました。それで体のことが学べるスポーツトレーナーの専門学校に入学することにしたんです。
——卒業後、株式会社ファクトリージャパングループに入社された理由は?
会社説明会で、スポーツトレーナーに対しても力を入れているという話を聞いたんです。いろんな会社の説明会に行って、スポーツに力を入れているという会社もたくさんありましたが、ファクトリージャパングループが一番具体的な内容だったんですよね。
トレーナーとしての技術の向上はもちろん、スポーツに従事するための環境として、とても納得できたんです。スポーツトレーナーとして活動するビジョンが見えたので、この会社に入社したいと思いました。
トレーナーになるためには整体術も必要だと気づく
——トレーナーを目指して入社されましたが、最初は整体を学ばれたんですよね。
はい。入社して、まずは店舗に勤務して整体技術を学びました。入社した当初から、上司から「トレーナーはお店で一番できる人材になってから」と言われていたんですよね。トレーナーは会社の顔として外に出る仕事ですから。トレーナー登録まで4年くらい経験を積みました。
——そこにギャップは感じませんでしたか?
入社して先輩方と話していくなかで、トレーナーになるためには整体の技術も必要だと知ったんです。専門学校では、そういうことは習わなかったので…。じゃあ整体もできなきゃダメじゃん!と思って(笑)。整体もしっかりできるようになって、いろんな体の状態が見られるようになってから、改めてトレーナーを目指そうと思うようになりました。
——現在では社内最高ランクのエグゼクティブボディトレーナーだそうですね。ランクごとに、どんな違いがあるんですか?
研修生からスタートして、プロトレーナー、ボディトレーナー、エグゼクティブボディトレーナー、グランドエグゼクティブボティトレーナー、マスターなどのランクがあります。
店舗に来ていただけると分かるのですが、胸についているバッチの色でランクが分かるんですね。ボディトレーナーは銀バッジ、エグゼクティブボディトレーナーは金バッジです。
ボディトレーナーまでは、純粋に技術力や知識の高さによる評価。研修で学ぶことが、全体的にしっかり身につけられているという証が銀バッジです。金バッジになってくると、お客様のお身体の状態を確認し対応できることはもちろん、人間性の高さも評価されるようになります。どんなお客様にも真摯に対応できる、技術力と人間性の両方が高い人が金バッチになれるんです。
僕の場合はトレーナーになるために、まずは「いい整体師だ」と認めてもらえる銀バッジを目指して練習を重ねました。結果、今は金バッジをいただけていますし、社内コンテストのストレッチ部門では2連覇も叶いました。整体師としてもトレーナーとしても認められたと実感できています。
整体師、トレーナーとして幅広く活躍するように
——現在の働き方を教えてください。
店舗での施術をメインに、トレーナーとしての活動が週1~2回あります。
施術内容としては、体のゆがみ調整20分をベースに、コースによってほぐしを入れるかどうか。ほぐしを入れる場合は施術時間が40~60分になります。1日10~15人くらいの方の施術に当たっています。
——トレーナーのお仕事の場合は?
トレーナー活動がある日は、チームとの契約によりますが1日中付きっ切りになることが多いので店舗には入りません。時間はチームによってバラバラですが、今は11~19時。社会人チームなど練習時間が遅めの場合は、夕方から夜がメインになることも。
仕事内容は、多岐に渡ります。選手が来る前の道具の準備から始まり、ウォーミングアップを手伝ったり、しっかり練習に向き合えるようにテーピングを施したり、リハビリのサポートをしたり。あとは練習の疲れをとるためのケアも行います。
トレーナーとして活動し始めて、やっぱり整体のほぐしの技術は必要だったと実感しています。下積みに時間はかかりましたけど、選手にとってもお客様にとっても役立てる技術を身につけられたことは、僕にとって大きな支えになっていると思います。
スポーツトレーナーになるという夢を、カラダファクトリーで着実に叶えていった正木さん。店舗での勤務で培った経験や技術力が、トレーナー経験でも活かされているんですね。次回中編では、正木さんがお仕事に感じているやりがいや魅力、整体師を目指す人へのアドバイスをお聞きします。
取材・文/山本二季
撮影/米玉利朋子(G.P.FRAG)