介護事業主が助かる補助金について
ご存知ですか? 介護事業所を起業する時や、新しく求人を採用する時、新しいサービスの提供を開始する時などに条件を満たすと、返済不要の補助金・助成金を受給できる可能性があるのです。
「申請するのが面倒くさい」という方も少なくないようですが、支給額が高額であるため、面倒くさいという理由だけで申請しないというのはもったいない限りです。ここでは、介護事業に合う補助金制度はどんなものがあるのかをご紹介していきますので、これからの経営予定に合いそうなものがあれば、是非活用してみましょう。
起業時の助成金
助成金の種類 | 概要・要件・助成対象 | 支給額 |
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介護基盤人材確保助成金 | 新規介護事業の創業、または介護事業の拡大に伴い新規特定労働者(※1)を雇用した場合。 | 特定労働者(※1)の1名採用につき最大70万円/半年 |
介護雇用管理助成金 | 就業規則や賃金規定の作成、採用パンフレットの作成、求人サイトや新聞の折り込み等で従業員を募集した時。 | 実際にかかった費用の半額。上限100万円。 |
(※1)特定労働者
1年以上の実務経験がある介護福祉士、社会福祉士、医師、訪問介護員1級、看護師、准看護師。
採用時の助成金
助成金の種類 | 概要・要件・助成対象 | 支給額 |
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試行雇用奨励金 | ハローワークからの紹介により特定の求職者(経験、技能、知識などの理由から就職が困難である者)を一定期間試行的に雇用した場合。(※2) | 一人につき4万円/月 ※最大3か月 |
特定就職困難者雇用開発助成金 | ハローワーク又は職業紹介事業者の紹介により、新たに高年齢者(60歳以上65歳未満)、障害者、母子家庭の母などの就職困難な者を継続して雇用する労働者として雇入れた場合。(※3) | 30万円~240万円 対象者や雇用形態、企業の規模により異なる。 中小企業は受給額が高くなる。 |
高年齢者雇用開発特別奨励金 | ハローワーク又は職業紹介事業者の紹介により、新たに65歳以上の高齢者を雇用した場合。 | 30万円~90万円 雇用形態や企業の規模により異なる。 |
若年者等正規雇用化特別奨励金 | ハローワークの紹介により、25歳以上40歳未満のフリーター、または採用取り消しになった新卒者等を正社員として採用した場合。 | 50万円~100万円 企業の規模により異なる。 中小企業は受給額が高くなる。 |
(※2)対象労働者
・45歳以上の中高年齢者
(原則として、雇用保険受給資格者であるか、被保険者資格喪失日前1年間に6カ月以上被保険者期間があること)
・45歳未満の若年者等
・母子家庭の母親等
・季節労働者(指定地域・指定業種に限定)
・中国残留邦人等永住帰国者
・障害者
・日雇労働者・住居喪失不安定就労者・ホームレス
(※3)以下のすべてに該当する事業主であることが必要です。
・雇用保険の適用事業主
・対象労働者の雇用開始日の前後6か月に解雇等(事業主都合の推奨退職を含む)をしたことがない
・対象労働者はハローワーク等からの紹介以前に雇用の内定があった労働者を雇用したものではないこと
※「中小企業定年引上げ等奨励金」「受給資格者創業支援助成金」は、平成25年3月31日をもって廃止となりました。
福祉機器の購入・職場環境の整備時の助成金
助成金の種類 | 概要・要件・助成対象 | 支給額 |
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介護労働環境向上奨励金 (介護福祉機器等の購入費用に対する) |
労働者の身体的負担を軽減するために、新規介護福祉機器を購入した場合。 例:移動用リフト、自動車用車いすリフト、座面昇降機機能付き車いす、特殊浴槽、ストレッチャー、昇降装置、その他腰痛の予防効果が高いもの。 ※この助成を受けるためには、予め「導入・運用計画」を作成し、都道府県労働局の認定を受けることが必要です。 |
購入費用の半額 (上限300万円) |
介護労働環境向上奨励金 (雇用管理制度導入費用に対する) |
人事賃金制度・能力開発・健康管理など、雇用管理改善につながる制度を導入した場合。 ※この助成を受けるためには、予め「雇用管理制度整備等計画」を作成し、都道府県労働局の認定を受けることが必要です。 |
制度導入に要した費用の半額 (上限100万円) |
短時間労働者・有期契約労働者の処遇改善・正社員化の助成金
均等待遇・正社員化推進奨励金
短時間労働者(パート・アルバイト)の雇用管理改善計画・ルールを設け、実際に適用した場合に助成金が支給されます。その対象となる制度としては次の5つがあります。
助成金の種類 | 概要・要件・助成対象 | 支給額 |
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正社員転換制度 | パート(アルバイト)を正社員にするための試験制度を定め、1人以上を正社員にした事業主。 | 40万円(1人目) 20万円(2~10人目) ※2~10人目は対象者が母子家庭の母等である場合、1人あたり10万円を加算。 |
共通処遇制度 | パート(アルバイト)・正社員共通の処遇制度を導入し、実際の労働者に適用した事業主。 | 60万円 |
共通教育制度 | パート(アルバイト)・正社員共通の教育訓練制度を導入し、1人6時間以上の教育訓練を延べ10人以上に実施した事業主。 | 40万円 |
短時間正社員制度 | 短時間正社員(※4)制度を設け、実際に利用者が1人以上あった場合の事業主。 | 40万円(1人目) 20万円(2~10人目) ※2~10人目は対象者が母子家庭の母等である場合、1人あたり10万円を加算。 |
健康診断制度 | パート(アルバイト)に対して健康診断制度を設け、実際に延べ4人以上に実施した事業主。 | 40万円 |
(※4)短時間正社員とは
所定労働時間が通常の正社員よりも短いが、正社員として適正な評価と公正な待遇・福利厚生が図られた働き方をする人のこと。
条件1:契約期間の定めがない労働契約を締結している
条件2:基本給(月収・時給)、賞与、退職金の算定方法が、同じ事業所(施設)の通常の正社員たちと同等である
上記の条件をどちらも満たしている労働者。
人材育成(スキルアップ・研修制度)時の助成金
助成金の種類 | 概要・要件・助成対象 | 支給額 |
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キャリア形成促進助成金 (訓練等支援給付金) |
労働者のキャリア形成促進のために、「職業訓練の実施」「職業能力開発の支援」をした場合。 | OFF-JT(※5)費の1/3~1/2 OJT(※5)の場合は600円/1時間 |
成長分野等人材育成支援奨励金 | 期間の定めがない従業員を雇用、または他分野からの配置転換し、その従業員に対してOFF-JTを実施した場合。 | 対象労働者1人あたり最高20万円 |
(※5)OFF-JTとOJT
OFF-JT:訓練校など、通常の業務を離れて行う職業訓練
OJT:実際の仕事を通して社内で行う職業訓練
女性のための制度
助成金の種類 | 概要・要件・助成対象 | 支給額 |
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子育て期短時間勤務支援助成金 | 小学校就学前までの子を養育する従業員が利用できる短時間勤務制度を就業規則に規定し、その制度を6か月以上利用させた場合。 | 30万円~40万円(1人目) 10万円~15万円(2人目以降) |
中小企業両立支援助成金 (継続就業支援コース) |
育児休業を取得した従業員を元の職に復帰させ、復帰後1年以上継続雇用した場合。 | 40万円(1人目) 15万円(2~5人目まで) |
中小企業両立支援助成金 (代替要員確保コース) |
育児休業取得者の代替要員(※6)を確保し、育児休業取得者を元の職に復帰させた場合。 | 15万円/人 |
中小企業両立支援助成金 (休業中能力アップコース) |
育児休業者や介護休業者がスムーズに職場復帰できるように、職場復帰プログラムを実施した場合。 | 21万円/人 |
(※6)代替要員
代替要員は以下のすべての条件を満たす必要があります。
1.育児休業取得者と同一の部署、及び職種である
2.育児休業取得者と同一の所定労働時間である
3.3つか月以上勤務する
その他
補助金・助成金以外にも活用できる制度はあります。
助成金の種類 | 概要・要件・助成対象 | 支給額 |
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雇用促進税制 | 企業が事業年度内に採用人数を2人以上(大企業は5人以上)かつ、従業員の10%以上増やした場合。 | 税額控除額 =雇用保険一般被保険者の純増加人数×20万円 税額控除限度額 =法人増額の20%(大企業は20%) |
処遇改善加算 | 介護職員の処遇改善に取り組む事業者。 | 介護報酬総単位数にサービス別加算率、及びキャリアパス要件等の適合状況ごとに定める率を乗じて得た額 |
まとめ
補助金・助成金の制度は介護における労働環境の改善の補助、人材の定着率の上昇など、様々な目的に対しての補助ですので、利用しない手はありません。
しかし、制度によって手続きの方法は様々です。事前に書類で申請しないといけないものなどもありますので注意が必要です。介護事業所を経営するあなたの考え方によって、どの助成金制度を選択するのかよく考えた上で、手続きの方法がわからない場合は、市区町村の助成金センターや開業サポートセンターに相談・問合せをし、法律面などあらゆる方向から一つ一つ助成金について理解するようにし、適正な金額を受給しましょう。