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介護・看護・リハビリ 2020-02-07

介護タクシーとは

『介護タクシー』とはどんなサービス?

介護タクシーとは、福祉自動車を用いたタクシーです。体の不自由な人が快適に利用できるような様々な工夫が施されており、ノンステップ、リフト付き、回転シート、さらには車いすや寝台(ストレッチャー)のまま乗り降りできるようになっている多機能車両もあります。

近年の高齢化に伴って需要が高まり、その台数も着実に増加傾向にある介護タクシー。ホームヘルパー2級以上の資格を持ったドライバーが業務を担当するため、安心して利用できるのが大きな魅力です。類似サービスには「ヘルパータクシー」「福祉タクシー」があります。

介護タクシーサービスの特徴は

介護タクシーのサービス詳細

介護タクシーは、公共の交通機関(バス、電車、タクシー)を一人では利用できない状態の高齢者・障害者を対象とした介護サービスです。通院や買い物など様々な用途に応じて、ドライバーがベッドから車両への送迎、運転、目的地での付き添いといったサービスを担当します。 せっかくなのでヘルパータクシーと福祉タクシーのサービス内容についても簡単に解説します。

ヘルパータクシー

ホームヘルパー2級以上の資格を持っているけれど、第二種運転免許は持っていないというドライバーが提供する輸送サービスです。第二種運転免許のかわりにケア輸送サービスなどの研修を受けることを義務付けられています。

福祉タクシー

身体障害者がタクシーを利用する際に、市町村が料金の一部を負担するサービスです。ただし対象者は高齢者ではなく身体障害者。高齢者向けの「シルバータクシー」のサービスを導入している自治体もあるので、一度確認してみると良いでしょう。

介護タクシーの利用対象者

介護タクシーの利用方法は二種類あります。介護保険を適用する場合と、自己負担で利用する場合です。介護保険の範囲内で介護タクシーを利用できるのは原則、単独での移動が困難な人、独立した歩行が困難な要介護認定1以上の人と、その介助者(家族、看護師、医師など)です。自己負担で介護タクシーを利用する際は、特に限定した対象はありません。

介護タクシーを利用する方法

介護保険の範囲内で介護タクシーを利用するには、少し複雑な手続きが必要となります。「明日使いたい!」ということは難しいので、下記を参考に早めに準備をしておきましょう。

1.まずは、ケアマネジャーに介護タクシーを使いたい旨を相談しましょう。ケアマネジャーが「必要なし」と判断した場合は、残念ながら介護保険は適用されません。

2.ケアマネジャーを通じて介護タクシーの運営会社と訪問介護契約をかわします。タクシー会社の担当者が利用者の自宅まで訪問し、一か月の使用予定表などの数種類の書類を記入することとなります。

3.提出した予定表に沿って、介護タクシーが利用できるようになります。利用予定日の前日にはタクシー会社から確認の電話がくるので、万が一使用しないというときはその際に伝えればOK(ただしキャンセル料がかかることもあります)。乗車後は介護保険が適用された実費を支払い、押印します。自己負担で介護タクシーを利用したいときは、タクシー会社に電話をして予約しましょう。利用者の体の状態などを事前に確認してくれるので、安心して利用できます。

介護タクシーのメリットとデメリット

重度の要介護認定を受けた方は、当然ですが外出の機会が極端に減ります。介護保険を適用させる際は、利用目的が通院や選挙などに限られてしまいますが、自己負担でなら観光や冠婚葬祭、お墓参りなどのレジャーにも利用できます。介護の心得があるドライバーは、目的地についても細やかに介助を行ってくれます。介護タクシーは自宅と病院・介護施設の往復になりがちな要介護者に、様々な活力を与える大きなきっかけとなってくれますし、介護を担う家族の負担も軽減されます。

デメリットを強いて挙げるとすれば、やはり料金がかかるということ(後述)。介護にかかる費用が気になるという方は、利用している介護施設に送迎サービスがあるのであれば、それを主体に利用するだけでもなんとかなります。

介護タクシーの利用料金

介護タクシーの利用料金は、普通のタクシーと比べて少し複雑です。というのも、介護保険が適用されるのは乗車/降車時の介助のみだからです。つまり、乗車中のメーター料金は、一般のタクシー料金と同じだということです(会社によっては少し割安に設定されているところもあります)。介護保険を適用しない場合は指定料や乗降時の介助料金も運賃にプラスされます。タクシー会社によっては、時間貸切りやコース料金を設けているところもありますので、いろいろ調べてみると良いでしょう。

介護タクシーで受けられるサービス

介護タクシーはホームヘルパー2級以上の資格を持つドライバーが乗務を担当するため、幅広い要介護者のニーズに応えられます。どの会社でも受けられるサービスの一つは、ベッドから車までの介助。寝たきりの要介護者を車いすやストレッチャーを使って車内まで輸送してくれます。これは利用者だけでなく、普段の介護を担当する家族にとっても大変ありがたいサービスです。

ただし、利用目的は介護保険適用内か適用外かによっても異なるため注意が必要。介護保険が適用されるのは、利用目的が医療目的の通院や区役所への手続き、選挙であり、サービスの対象は歩行介助や車いす介助、病院での受け付け代行などとなります。介護保険適用外の場合は先に挙げたようにお墓参りや観光、冠婚葬祭、お食事、買い物など、ほとんどの場合に利用可能。サービスは先に挙げたものに加え、買い物の手伝いなどより幅広いものとなります。

介護タクシー業界で働くには

介護タクシーに限らず、タクシードライバーは他業種からの転職組がとても多い職種です。通常のタクシー業務実施経験者が介護タクシー業界に転職することも相当数ある世界です。前職までの知識と実務経験をフルに生かし、魅力的なドライバーを目指しましょう。

介護タクシーのドライバーに必要な資格は、まずは普通自動車免許を所持して3年以上であること。第二種運転免許取得、マニュアル免許取得、ホームヘルパーの資格がないという人のために、資格取得のための費用を負担してくれる職場もあります。求人サイトや人材紹介会社で、希望の職場環境探しをしてみましょう。

また、普通のタクシーに個人タクシーがあるように、介護タクシーも個人事業主として開業することが可能です。この場合は通常の開業手続に加えて介護保険指定事業者の資格も必要となるため、100~200万程度の費用が必要となります。

介護タクシーは普通のタクシー以上に、利用者とのコミュニケーション力、利用者の心身の状態を見てからの細やかな対応力、急発進や急ドライブを極力避けたドライビングテクニックが求められます。また、未経験OKと言えども、介護スキルを日々向上させようという意識がなければ、固定客をつかみ、売り上げを上げることは難しいかもしれません。

介護タクシーの求人を探す時の注意点

職種

介護タクシーを専門で行っている企業もありますが、訪問介護・訪問入浴・デイサービス・介護商品販売業務などと併せて行っている事業所もあります。面接の際に希望の仕事内容を施設長に伝えるようにしましょう。

求人チェック

前述のとおり、介護タクシーの求人数は少ないようですが、その一方で、ある一定数の求人はあるようです。求人サイトの「新着求人」を定期的にチェックし、気になった企業の応募資格を満たしていれば積極的に応募することが採用への近道となるでしょう。

福利厚生

介護タクシードライバーには特有の手当が付く場合があります。介護職を兼務している従業員には介護手当、事故を起こさなかった場合には(ほとんどの場合が無事故ですが)無事故手当が付く事業所もあります。あなたが働く企業にも魅力的な手当があると良いですね。

資格

介護タクシードライバーとして働くためには、前述したとおりホームヘルパー2級以上と、第二種運転免許が必要です。しかし、中には無資格でも応募できる企業もあり、更には資格取得費用を全額負担してくれるところもあります。もし、資格を持っていないのであれば、そういった企業に応募すると良いでしょう。

面接に行く時の交通手段

運転手として面接に行くわけですから、自家用車で行っても良いと思うかもしれませんが、面接を事業所で行うとは限りませんし、マイカー通勤可の事業所だけではありません。面接受ける企業に連絡して車で行っても良いかを確認しても良いですが、基本的には安全策を取って公共交通機関&徒歩で行くことをお勧めします。

介護タクシーで働く時の注意点

気配り

介護タクシーの運転手は通常のタクシーの運転手以上に気配りが必要です。車いすへの移乗や車両への乗り降り、ドアサービスや傘サービス、揺れの少ない運転など、その他にも常に気を使う必要がある仕事です。普段から「気配り上手」と言われるような人が歓迎される職業でしょう。

よくある質問・相談

ここでは、リジョブに寄せられるご意見の中から、介護タクシー関連のよくあるご質問・ご相談について回答していきます。

Q1.私には車いすの父とストレッチャーの母がいますが、二人とも乗れる介護タクシーは存在しますか?
A1.あります。しかし、そのような大型車両を用意している介護タクシーは少ないようですね。ケアマネージャーに依頼して探してもらうと良いでしょう。

Q2.同じコースで同じ走行時間で、以前は利用料が3,000円だったのに、今回は6,000円もかかりました。なぜこんなことが起きるのですか?
A2.要因のひとつとして考えられることは、企業によって料金の設定方法が異なるということです。距離によって金額を決める場合と時間によって決める場合があるので、ある程度の差は生まれます。二つ目は、メーター料金以外の金額です。企業によっては、メーター料金以外に送迎料金や予約配車料などが含まれます。また、タクシー自体は指定した時刻に来たのに、遅れて乗る(例えばタクシーが来て15分してから乗る)場合には遅延料金が発生することもあります。また、介助料金や車いすなどの介護機器をレンタルした場合の料金は必ずかかると思いますが、その際、介護保険を適用できるかどうかによっても料金が変わってきます。予約の際に、大よその見積もりをしてもらうと安心して利用できますね。

Q3.介護タクシーの運転手です。時々、チップを渡されるのですが、受け取って良いものなのでしょうか。
A3.確かにお爺ちゃんお婆ちゃんは、そういったお礼をされる方も少なくないですね。しかし、本来は受け取ってはいけません。だからと言って、せっかくの行為を無下にするのも気が引けます。どうしても押し付けられた場合は、とりあえず受け取って上司に報告するようにしましょう。黙っていて後々問題になってもイヤですからね。当然ですが、運転手の方からチップを要求するのはもっての外です。

Q4.スロープが付いていない自家用車でも、介護タクシーの認可は取れますか?
A4.残念ですが、それでは認可はおりません。介護タクシーの認可を受けるための車両は、車いすやストレッチャーを固定する設備が車内についており、車に乗せるためのリフトやスロープなどの設備があることが必要です。介護軽度者向けで考えられていらっしゃるのかもしれませんが、乗降装置がついていない車では認可は受けられません。

Q5.介護タクシーを開業するためには、何が必要ですか?
A5.この質問はすごく多いですね。ここで手順の全てを書くと、とんでもなく長くなってしまうので、簡単に説明します。

[必要な資格]
第二種運転免許・福祉系資格(ホームヘルパー2級・介護福祉士など)
※運転手に必要な資格であって、事業者本人が運転しない場合は必要ありません。

[必要なもの]
福祉車両
※自家用車を使用する場合は、福祉車両にカスタマイズする必要があります

[必要な許可]
一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送限定)許可・特定旅客自動車運送事業許可・自家用自動車有償運送事業許可・福祉有償運送事業登録

[必要書類]
開業資金の証明、車の売買契約書、車庫前面の道路幅の証明、車庫の登記簿など

Q6.ストレッチャーを使用できる介護タクシーで病院に行きます。病院でそのストレッチャーを使って待っている間、ずっとタクシー料金がかかってしまいますか?
A6.診察中、タクシーに待ってもらっていると、その間の料金は加算されてしまいます。ですので、病院のストレッチャーを借りてそちらに移乗し、タクシーには一度帰ってもらいます。そうするとその間の料金は加算されません。その際、必ず運転手に「○時に迎えに来てください」と伝えておきましょう。

Q7.介護タクシー事業を始めたいのですが、前面道路の幅が4mなんです。車庫入れは容易なのですが許可はおりますか?
A7.車庫要件は6mなので許可はおりません。事業所から2km以内に前面道路が6m以上ある駐車場を借りれば許可がおります。

※介護タクシードライバーとして働く人には、十人十色様々な悩みがあるようです。ここで全ての悩みに回答することはできません。インターネットで検索して、Yahoo!知恵袋や知恵コレ、業界関係者のツイート、シェアされている悩みなどから、自分の悩みに合っているものを参考にしましょう。

介護タクシードライバーとして働く魅力は

高齢化社会の波が訪れつつある昨今の情勢を受けて、介護業界への需要はよりいっそう高まりつつあります。これまでそれほど目立つ存在ではなかった介護タクシーへの注目度も高まり、介護タクシーのサービスを開始するタクシー会社が増えつつあります。そういった意味で、介護タクシー運転手の需要は今後さらに高まるでしょう。

会社にもよりますが、介護タクシーのお客様は、ドライバーを指名することも多々あります。運転中以外の触れ合い・コミュニケーションが多いからこそ、より気持ちいいサービスを提供してくれる人に任せたい……一人の利用者との信頼関係を築ける喜びが、普通のドライバーとは違う、介護タクシーのドライバーならではの魅力と言えるでしょう。

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