百聞は一見に如かず。試しに飛び込んでみるのもあり! 介護業界リレーインタビューVol.2【訪問介護員 佐々田淳さん】#2
介護業界にはどのような職種や働き方があるのか、そして、より具体的な仕事内容をお伝えするべく、現場で働く介護従事者の生の声をお届けする連載企画。
三鷹市や調布市、武蔵野市などの地域で訪問介護サービスを行う「ケアサポートあすなろ三鷹(有限会社あすなろ会)」。訪問介護員の働き方や魅力を教えてもらうべく、現場で働く訪問介護員の佐々田淳さんにインタビューしました。前編で現職に就くまでのお話を伺ったところ、以前は施設で働いていたそうですが、「もっと利用者さんのために時間をかけたい」という想いから訪問介護の道にシフトしたのだそうです。
今回の後編では、訪問介護員にはどのような人が向いているのかをお聞きしました。
《プロフィール》
佐々田淳さん(31歳)…建材メーカーの営業を退職したのち、重度訪問介護従事者の資格を取得。他社でデイサービスと訪問介護を経験し、有限会社あすなろ会に入社。
訪問介護の大変なところ
男性だからこそ身だしなみはとても大事
――訪問介護だと、他に頼れるスタッフさんがその場にいないということに不安はありませんでしたか?
はじめは利用者さんに自分を気に入ってもらえないまま1対1で仕事するのは辛いだろうなという不安はありましたよ。でも、実際はそんなことなかったんですけどね。と言っても、私はただヘラヘラしているだけでしたけど(笑)。
――佐々田さんは、介護業界への理想と現実にギャップは感じましたか?
昔、テレビのドキュメンタリー番組などを見ていて、介護の仕事をしている人って激務で疲弊しているイメージだったんですが、実際はそうではなかったです。人が好きなら、明るく働ける仕事だなと感じています。いいギャップですね。あとは、利用者さんのためにあれこれやって手助けしすぎるのもよくないということですかね。利用者さんができることを私たちがやってしまうと、ご本人が手持ち無沙汰になりますし、できることなのにやらなくなったり、できなくなったりしてしまいます。何でもかんでもこちらがやるものではないということもギャップなのかもしれないですね。
――お話を伺っていると、あまり辛い想いをされたことは少ないようですね
そうですね(笑)。もともと楽観的な性格なので、辛いことはあまり覚えないようにしているんでしょうかね。自分に都合のいい人間なので、楽しかったことしか覚えていません(笑)。
――利用者さんとのトラブルなどは過去にありましたか?
利用者さんに冗談を言ったりして笑わせることがよくあるんですが、それを見たご家族の方が、私に対して何でも冗談を言っていいものだと思ったのか、言葉遣いがだんだん荒くなっていったことがありました。利用者さんともご家族とも仲良くなりすぎたんでしょうね。トラブルというより、利用者さんと接する上での失敗ですね。
――利用者さんからすると、初対面の人から介助されることに警戒してしまう人もいそうですよね。
女性の利用者さんだと、男性スタッフが来ることに身構える人も多いのかなと思います。でも、男性スタッフが伺うという事実は変えられないので、自分にできることは身だしなみには特に気を付けること。ひげは必ず剃るし、爪も整えておくし、不快感を与えないように心がけています。初対面の時には尚のことですよ。
――休日のリフレッシュ方法を教えてください!
キャンプです。仲のいい3人で月に1回くらいの頻度で行くんですよ。遠いところだと青森県の十和田湖とか、飛騨高山とか…。でも、最近は山梨や本栖湖とか近場になってきていますね(笑)。
――アクティブなんですね。
でも、もしかしたらやばい人って思われるかもしれないのですが、夜中に火を眺めていると心が安らぐんですよね。もちろんお酒を飲みながらですけど。
――キャンプだったら利用者さんとお話する時に楽しいネタになりそうですよね。
そうなんです。アウトドア好きの利用者さんもいるので、キャンプをしてきた写真を見せたりしていますよ。料理が上手な利用者さんには「キャンプの時のお酒に合う料理を教えてください!」とお願いすることもあります。
これからの働き方、介護の仕事との向き合い方
やっぱり自分は1対1で向き合いたい
――やはり施設より訪問介護の方がご自分には合っていると感じますか?
そうですね! とてもそう感じています! もちろん施設で働いている人はすごいと思いますし、特に利用者さんと友好的な関係を築けている人は本当に尊敬しています。自分にはそれができなかったので…。私は、介護業界で働いているうちはずっと訪問介護の仕事をしていたいと思っていますよ。
――佐々田さんのお話を聞いていると、今が充実しているという雰囲気が伝わってきますね!
楽しみながらやっていますよ。バイクに乗って利用者さんのお宅に向う時も、「今日はどんなご飯を作ったら喜んでくれるかな」と考えている自分がいるので、やっぱり今の仕事が充実しているんだと思います。
――ちなみに、先ほど「料理」のお話が出ていましたが、佐々田さんは料理も一から勉強されたのですか? 料理が苦手だという男性も多い気がするのですが…
私、実は調理師の専門学校に通っていたんですよ。だから人並みにはできていましたね。でも、料理好きな利用者さんが教えてくれることもあるので、男性スタッフでもよっぽどの料理嫌いでなければ、教えてもらいに行く感覚でこの仕事を目指してほしいですね。
――介護スタッフはやはり女性の方が多いですか?
需要は女性の方が多いですね。現にうちの会社も女性スタッフが多いです。そして、女性が強い職場とも言えますね(笑)。女性も平等に働ける時代になってきているけど、介護業界はその最たるところではないでしょうか。男性スタッフができないことを女性スタッフが助けてくれたりするので、すごく感謝しています。
――男性スタッフも歓迎ですか?
それはもちろん! 若い人も、私と同年代の人も、年配の人でも、楽しく働ける人が増えてほしいですね。一人ひとりの利用者さんによって、合うスタッフのタイプってやっぱりあると思うんです。だから、人材が増えれば増えるほど、利用者さんのニーズに合ったスタッフ、サービスを提供できるようになると思います。そういった意味でも、男性も女性もどちらも増えてほしいですね。
――訪問介護に向いている性格ってありますか?
特にないんじゃないかな。几帳面な人なら利用者さんのことをきちんと観察して、業務もきちんとこなすだろうし、おおらかな人やいつも笑っていられる人なんかは、利用者さんとすごく良好な関係を築けると思いますよ。人が嫌いではなければ、誰でもしっかり務まる仕事だと思っています!
――あすなろさんって、明るい雰囲気の職場ですよね!
そうなんです。うち、本当みんなよく喋るんですよ(笑)。事務所にいる時も、お喋りの度が過ぎて代表に注意されることもよくあります。昼休憩の時は、利用者さんの話もよくしますが、それ以外だと次いつ飲みに行くかだとかくだけた話ばかり。スタッフ数もそんなに多いわけではないので、みんなの名前はもちろん、年齢も趣味も大体知っていますよ(笑)。
――前の職場とは雰囲気がまた違いますか?
全然違いますね。前職では部署ごとに分かれていたので、違う部署の人と話すことはほとんどなかったんです。だから、職場の付き合いとなると先輩、同期2~3人とご飯を食べに行くくらいでした。この会社は、年齢もキャリアも分け隔てなく付き合えるのがいいところですね。この前も代表と2人でご飯を食べに行きましたよ。
――職場の人間関係にも恵まれているのですね! ちなみに、これから挑戦してみたい職種や目標はありますか?
うーん、そういう気持ちはあまりないかな。私はやっぱり利用者さんとは1対1で付き合っていたいんです。「あすなろ」の代表が「1対1で向き合って、利用者さんのために働く」というタイプの人なのですが、そういう代表がつくる施設だったら興味はありますね。そういう施設なら、業務のノルマだけをこなして、次の人、次の人っていう感じの施設にはならないんじゃないかなと思うんです。
――では最後に、介護業界に二の足を踏んでいる人にメッセージをお願いします!
全く経験がなく、甘い考えで介護業界に飛び込んだ自分が、何年かしてこうして楽しんで仕事ができているので、「一回試しに」という気持ちを持つことも大事。介護業界はどうしても「キツい」というイメージが根付いているので、おそらく話を聞いただけではマイナスイメージはぬぐえないと思うんです。だから、最初は軽い気持ちでもいいから一回試しにやってみて!
【介護訪問員のココが魅力!】
1.利用者さんと1対1で向き合える
2.多種多様な介助を学ぶことができる
3.「ヘラヘラ」キャラのままで仕事ができる
【編集後記】
佐々田さんは、とにかくこの仕事が楽しい! という気持ちが、言葉からも表情からも伝わって来る方でした。「介護=激務、暗い」というイメージをよい意味で裏切られ、こちらが戸惑ってしまったほど。また、佐々田さんが取材中によく使っていた「ヘラヘラする」という言葉が、実は訪問介護のキーポイントなのではないかと感じました。訪問介護員にとって、きちんと業務をこなすだけではく、何でもないお喋りをすることだって意義のある仕事なのですね。訪問介護とは、介護を必要とする側だけでなく、介護スタッフにとってもメリットの大きい仕事なのではないでしょうか?
取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/岩田慶(fort)
▽#1はこちら▽
訪問介護は利用者さんと1対1で向き合える仕事! 介護業界リレーインタビューVol.2【訪問介護員 佐々田淳さん】#1>>
Store Data
ケアサポートあすなろ三鷹
住所:東京都三鷹市上連雀8-18-11
電話:0422-40-0196
サービス提供時間:365日 24時間
URL:https://www.care-asunaro.com/mitaka.html