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特集・コラム 2023-04-25

介護事務の仕事内容とは?必要とされる能力や働く3つのメリットについて紹介

事務作業や窓口業務を担当するイメージのある介護事務の仕事ですが、具体的な仕事内容について、よくわからないという方も多いのではないでしょうか?

本記事では、介護事務の仕事の特徴や必要とされる能力、働く3つのメリットについて解説します。また、具体的な就職先とそれぞれの施設の特徴についても紹介しているので、介護事務への就職・転職を検討している方は、参考にしてみてください。

介護事務とはどんな職業か?


介護事務は、介護保険制度が始まった2000年に誕生。介護保険制度ができる前は、市町村がサービスを決定する上に負担も大きく、利用者にとっては使い勝手の良い制度ではありませんでした。

しかし介護保険制度が施行されたことにより、利用者がサービスを選んで利用できるようになり、基本的に負担は1割。また公的なサービスだけでなく、民間のサービスも広く利用できるようになるなど、介護サービスの幅も広がっています。

制度ができた当時の要介護認定者は218万人でしたが、2021年には約686万人とおよそ3倍に増加しており、同時に介護事務の需要も高まっています。

介護事務の労働条件と仕事内容

介護事務の主な業務は介護報酬請求(レセプト作成)を中心とした事務作業と電話・窓口対応、備品管理、出退勤管理や書類の作成などです。施設によっては、ケアマネジャーの補佐や介護サポートを任されることもあり、事務作業だけでなく、実際の介護業務を担当する場合もある点が特徴だといえます。

ここでは、それぞれの業務内容について、詳しく見ていきましょう。

介護報酬請求

介護報酬請求は、介護事務のメインとなる仕事です。

介護保険制度は原則、要介護者が1割負担し、保険者である市町村が残りの9割を負担します。この介護事務が市町村に介護給付費等を請求する作業が、介護報酬請求です。

介護報酬は時代の流れに合わせて、その都度改正されます。基本的にはレセコンが自動で計算を行ってくれるため、介護事務員自身が面倒な計算をする必要はありません。提出もインターネットを介して行うのが一般的です。作成したレセプトは事業所を管轄する都道府県の国保連合会に、翌月10日までに提出しなければなりません。

ただし、大規模事業所になると数百枚という数のレセプトを作成することになるため、事業規模によって負担が大きく違います。そのため大きな事業所ほど、介護事務が専任となる傾向があります。

ケアマネジャーの補佐

ケアマネジャーの補佐として、書類を作ったり連絡作業を行ったりすることも介護事務の仕事です。

ケアマネジャーはケアプランの作成をメインとする仕事ですが、近年では深刻な人材不足が叫ばれています。実際2017年のケアマネジャー試験の受験者は13万1,432人でしたが、2018年には4万9,312人と一気に6割以上も受験者数が減り、2022年も5万4,406人とあまり回復していません 。これを受けて厚生労働省ではケアマネジャーの早急な処遇改善が必要として、具体的な策を検討しています。

こうした人材不足もあり、ケアマネジャーは非常に多忙です。介護事務はケアマネジャーの負担を少しでも減らせるよう、事務仕事全般などを引き受けます。

窓口・電話対応

施設に訪れた人や電話の対応を行うのも、介護事務の仕事のひとつです。利用者に施設やサービスの説明をしたり、問い合わせに応じたりします。外部の人が施設で初めて接触する人物となるため、施設の「顔」としてふさわしい振る舞いが求められます。

その他のサポート業務

介護事務はこのほかにもさまざまな仕事があります。例えば、従業員の出退勤を管理して給与や交通費の計算を行う、備品のチェックを行って必要なものを業者に発注するなどです。基本的には、施設が正常に動くための雑務を引き受け、幅広くサポートを行う仕事であると思っておくと良いでしょう。

介護事務になるためのルート


介護事務には、特に資格や学歴は必要ありません。高校や大学などを卒業後、介護施設等へ介護事務として勤務すればなることができます。実際に介護事務として働いている人を見ても、高卒が32.7%、大卒が30.9%、専門学校卒が32.7%と、学歴はさまざまです。

引用元:介護事務|職業情報提供サイト(日本版O-NET)

介護事務は、レセコン(レセプトコンピューター)を操作することが多い仕事です。レセコンとは「レセプト(診療報酬明細書)」を作成するための機械で、介護や医療の現場には欠かせない機械です。パソコンで操作を行うため、基本的なパソコン操作に慣れていると、就職の際にも有利に働くでしょう。

前述したように資格がなくても働くことはできますが、一般財団法人日本医療教育財団の「ケアクラーク」や技能認定振興協会の「介護事務管理士」、日本医療事務協会の「介護報酬請求事務技能検定試験」など、いくつか介護事務に関する民間資格が用意されています。

介護事務管理士

介護事務管理士は、介護サービスを提供する事業所において、介護報酬請求や窓口、会計業務を行う知識・スキルを証明できる資格です。

試験はマークシート形式の問題で、介護保険制度や介護報酬請求に関する問題が計10問出題されます。その他に実技試験としてレセプト点検問題が2問あります。試験の合格率は70%前後で、そこまで難易度が高い試験ではありません。

2023年3月現在、新型コロナウイルス感染症の蔓延を防ぐために、会場試験は中止されており、自宅受験のみでの受験となっています。

ケアクラーク

ケアクラークは、一般財団法人日本医療教育財団が行うケアクラーク技能認定試験に合格することで取得できる資格です。コミュニケーションや介護報酬請求事務といった介護事務に必要不可欠な能力のほか、居宅サービスや窓口業務において活用できる、社会福祉に関する知識を所有していることを証明できます。

試験日は年に3回(1月・5月・9月)で、自宅で試験を受けられます。

介護報酬請求事務技能検定試験

介護報酬請求事務技能検定試験も、介護事務としての能力を証明できる資格です。

学科試験と実技試験があり、学科では介護保険制度や介護支援サービスについての知識を問われ、実技ではレセプトの作成を行います。試験日は偶数月の第3日曜日で、年に6回受験のチャンスがあります。合格するには、全体の70%程度の点数を取らなければなりません。

こうした資格を取得しておくと、仕事に対する熱意をアピールできます。資格は介護事務の科目がある学校や通信講座などで取得可能です。

介護事務は、場合によってはキャリアアップも期待できます。パートや契約社員として入職した場合でも、懸命に仕事をこなしていれば正社員になることも可能です。支社のある大きな法人では、現場から本社勤務に昇格するなど、頑張り次第で上に行ける仕事と言えます。

また事業所によっては、事務の仕事だけでなく介護の仕事を行うこともあります。特に小規模事業者では、介護職員と介護事務を兼任しているというケースが多いようです。そのため、兼任できる人材を求めている場合、事務のスキルだけではなかなか雇用してもらえないこともあります。介護職員と兼任でも介護事務をやりたいという場合には、介護福祉士や介護職員初任者研修などの資格を持っておくと良いでしょう。

介護保険事務管理士

介護保険事務管理士は、保険機関等への介護報酬請求のスキルを証明できる資格です。取得には指定された教育機関でのカリキュラムの受講が必須となります。

試験では、介護保険法制度論と介護報酬算定理論・実務スキルから出題されます。合格することで、介護報酬請求や経営・サービスに対しての助言ができるでしょう。

介護事務としての就職・転職を円滑に進めるのに、おすすめの資格です。

介護事務に必要とされる能力・知識


介護事務の仕事をするためは、他人との円滑なコミュニケーション能力や最低限のパソコンスキル、同じ作業を繰り返す根気強さが求められます。ここでは、なぜこれらの能力が現場で求められるのか、その理由について見ていきましょう。

コミュニケーション能力

介護事務の仕事は、書類・請求書作成だけでなく、来訪者・利用者に対する対応や電話対応、関係機関との間をとりもつ役割をこなしていかなければなりません。そのため、必然的に他人とのコミュニケーション能力が求められます。

相手の立場に立ったコミュニケーション方法や言葉遣い、気遣いなど、他人とのコミュニケーションを円滑に行える方は、介護事務の仕事に向いているといえるでしょう。

パソコンのスキル

介護事務の仕事は、パソコンを使った事務作業が主な業務内容です。レセプト作成や給与計算、会計業務などには、パソコンを使う施設がほとんど。基本的なパソコンの操作方法やWord・Excelといったソフトの使い方は覚えておくべきでしょう。

同じ作業を続ける能力

介護事務の作業は事務作業がメインで、繰り返しの業務が多い点が特徴です。一日中デスクに座って事務作業をしても、集中力がきれない方におすすめの仕事だといえます。

介護事務の主な就職先


介護事務の主な就職先には、入所施設や介護事業所、訪問介護ステーションがあります。ここでは、それぞれの施設の特徴について確認していきましょう。

入所施設

入所施設は、利用者が入所・入居して施設内に滞在する形式の施設です。有料老人ホームや特別養護老人ホーム、グループホーム、介護老人保健施設などが当てはまります。

入所施設は人手不足な場所が多く、介護現場のサポートを行うこともあります。そのため、利用者の方とも関わりたいという方におすすめです。

介護事業所

介護事業所には、在宅介護や通所介護を行う、デイサービスや訪問介護事業所、訪問看護事業所などが当てはまります。少人数で事業所を回している施設も少なくなく、介護スキルや知識を間近に学びたいなら、おすすめの就職・転職先です。

訪問看護ステーションなど

訪問看護サービスを行う訪問看護ステーション、居宅看護支援事業所などでも、介護事務の方が働ける可能性があります。介護報酬請求や介護保険の知識を活かして、介護・看護の現場をサポートするのが主な業務内容です。

介護事務として働く3つのメリット


介護事務として働くメリットは、、一般的な介護職と比較すると身体的な負担が少なく、やりがいや達成感を感じられ、コミュニケーションをとる機会が多い点です。ここでは、介護事務の仕事の具体的なメリットについて把握しましょう。

体力的な負担が少ない

介護事務のメイン業務は介護報酬請求や窓口業務で、一般的な介護職と比較すると、身体介護や生活援助などの肉体労働は相対的に少なく、身体的な負担は少ないでしょう。ただし、職場によっては介護現場のサポートを任されることもあるため、事前に業務内容を確認しましょう。

やりがいを感じやすい

介護事務の仕事は介護報酬請求など、責任が生じる仕事も少なくありません。ミスが許されない仕事がある一方で、仕事をやり終えたあとの達成感はひとしおです。やりがいを感じられる仕事をしたいという方は、介護事務のメリットを感じやすいでしょう。

他人と密接なコミュニケーションをとれる

介護事務は介護職員や利用者・利用者家族、関係機関のスタッフとのコミュニケーションなど、他人と会話する機会が多い仕事です。人と会話するのが好きで、仕事でもコミュニケーションを重視したいという方にとってメリットが大きいでしょう。

介護事務に向いている人の特徴


介護事務の仕事に向いている人は、事務作業を苦に感じず、コミュニケーションをとるのが好きで、パソコン操作ができる人材です。ここでは、それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

事務作業が楽しいと感じる人

介護事務の作業は事務作業が中心です。書類作成や会計、請求書の作成など、事務作業に苦を感じない方におすすめの仕事だといえるでしょう。

他人とのコミュニケーションが得意な人

介護事務の仕事は、同僚や利用者、訪問者らとのコミュニケーションをとる機会が多いので、他人とのコミュニケーションが得意な方に向いています。

パソコン操作を苦に感じない人

介護事務の業務はパソコンベースの仕事が多いので、基本的なパソコン操作やソフトウェアの取り扱いを苦に感じない方に向いている仕事です。

介護事務は利用者との距離が近く、やりがいを感じられる仕事


介護事務の職場では、介護報酬請求や窓口・受付業務だけでなく、必要に応じてケアマネジャーの補佐や各種のサポート業務も担当しなければならないケースもあります。

介護事務として必要なのは、パソコンスキルやコミュニケーション能力で、事務作業を苦に感じずに、同じ作業を継続できる素質も求められます。

必要に応じて介護事務系の資格を取得しておくことで、介護事務としての就職・転職だけでなく、キャリアアップにつなげることも可能です。

自分との適性を見極めて、利用者との距離が近く、やりがいを感じられる介護事務の仕事を目指してみてはいかがでしょうか?

引用元
介護事務:職業情報提供サイト(日本版O-NET)
医療事務の資格|日本医療事務協会
公的介護保険制度の現状と今後の役割|厚生労働省 老健局
介護報酬について|厚生労働省
JSMC 技能認定振興協会:介護事務管理士 技能認定試験
一般財団法人 日本医療教育財団:技能審査認定 ケアクラーク技能認定試験
審査領域/審査基準|ケアクラーク技能認定試験(ケアクラーク®)
学校法人 三幸学園グループ 日本医療事務協会 :介護報酬請求事務技能認定試験
一般財団法人 日本病院管理教育協会:介護保険事務管理士
厚生労働省:介護保険事業状況報告の概要

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