口コミだけで10年営業!「ネイリスト」であり「トラベラー」という生き方 私の履歴書 Vol.37【MOONLIT by mananails manamiさん】#1
圧倒的な技術力と繊細なアートで大人気のネイルサロンMOONLIT by mananails のmanamiさん。ネイルの作品を載せたInstagramのフォロワー数は、26.2万人を超えるなど、ネイル業界で注目を浴びる存在です。個人のInstagramのフォロワー数も11万人を超え! ライフスタイルにも注目が集まっています。
そんなmanamiさんですが、最初は美容師を目指していたのに、ひょんなことからネイリストへ転身することになったとか。前編では、ネイリストへ転身したきっかけや軸となる旅の話などを伺いました。ネイルを教えてくれる先輩もいない状況の中で、すべて一人で考えて始めたネイリスト人生は必見です!
MANAMI’S PROFILE
幼少期〜専門学校時代
事故による後遺症で美容師からネイリストへ転身
——まずは幼少期について。どのようなお子さんでしたか?
記憶にある限りでは、小さい頃から絵を描いていました。よく女の子の絵を描いていたのは覚えていて、アニメキャラクターを書き写したりしていましたね。今と変わらず描くことに関心がありました。
——ご両親はもともと美容関係のお仕事をされていたのでしょうか。
私が中学生くらいのときに母が美容室の受付を始めたこともあり、自分の中で美容室は近い存在でした。その影響もあり、私も美容師を志した時期があったんです。
——ネイリストではなかったのですね!
中学生の頃は、美容師への憧れから見様見真似で友人の髪の毛を切ってあげていました。高校では、髪の毛を編み込む「コーンロー」が流行っていて、ダンサーだった友達の髪の毛を一晩かけて編んだりしたことも(笑)。その頃は漠然と、ブラックヘアー専門の特殊系美容室に就職したいと考えていましたね。
高校卒業後は、スクーリングしながら就職したいと思っていましたが、高校3年生の頃に事故で足を骨折。就職は諦めて美容師になるため専門学校へ進むことにしたんです。
——専門学校での生活はいかがでしたか?
とにかく負けず嫌い。どんな科目でも技術は絶対に1位を獲るという譲れない想いがありました。誰よりも早く学校へ行き、練習をして、放課後も一番遅くまで居残り練習。性格もありますが、1位を絶対に譲りたくなかったんですよね(笑)。
専門学校卒業後~自宅サロンを開業
新規のお客様を受け付けず、口コミだけで10年以上続けました
——専門学校を卒業した後は美容室へ就職したのですか?
就職したのですが、事故による後遺症で長時間の立ち仕事は難しいとわかりました。当時は、美容師になりたいという想いよりも足の痛みによるツライ感情が勝り、いつの間にか「美容師を辞めたい」と思うように…。
そこでオーナーに「足が限界なので辞めたい」と相談したら、「じゃあうちでネイルやらない? 座ってできるじゃん」とびっくりするような提案をいただいて。あれよあれよという間にネイルを始めることになったんです。ネイルは趣味程度にやっていましたが、プロとして本当に自立できるのか…、と不安になったのを覚えています。
そういう意味では、事故に合ったことが人生において一番のターニングポイントだったとも言えますね。
——ネイリストとしてゼロからのスタート。どのような状況だったのでしょうか?
美容室にはネイリストの先輩がいなかったので、何から手をつけていいのかも、どんな筆を買えばいいのかもわからない。本当にゼロからのスタートでした。塗り方、アートの方法、長さ出しの技術についても、すべて自分で調べることから始まりました。
細かいアートは得意だったのですが、当時流行っていたスカルプの長さ出しや3Dアートは10本終えるのに4時間以上かかったこともありましたね…。
——美容師の仕事も兼務だったそうですね。
ネイルをやりながら、シャンプーやブローなどのアシスタント業務を並行してやっていました。ですが、足が痛くて最後のほうは精神的にも体力的にも疲れていましたね…。
——その後、美容室を退職。自宅サロンを開業したんですよね。
美容室を辞めてからは、休息の期間をとりつつ、友人だけにネイルをしていました。この時、ネイル検定を取得して、ゆくゆくは「どこかのサロンで働けたらいいな」という気持ちでいましたが、友人の間で口コミがどんどん広まりお客様が急増。その頃、旅にも行き始めていたので時間も欲しいし、ネイルサロンへ就職するメリットがわからなくなったのもあって、自宅サロンを開業したんです。
——集客で苦労するサロンが多い中、口コミだけで営業できるとは…!
もともと追求癖があるので、新たなデザインを次から次へと考案することができました。他のサロンがやっていないデザインやキャラクターを描いてあげることで、お客様に喜んでいただき、友人から友人を紹介していただくなどしてお客様を獲得することができましたね。そのおかげもあり、ご紹介以外の新規のお客様は入れず、友人の口コミだけで10年間続けることができたんです。
Instagramにデザインをアップし始めてからは、インスタを通じて知り合った方からもネイルをして欲しいというリクエストいただくことが増えました。それでも知らない人を家に呼ぶのは抵抗があったので、お断りしていましたね。
——自宅サロンにしてよかったことを教えてください。
美容室で働いていたときよりも稼げるし、自由に創作活動をする自分の時間ができたことはとても大きかったです。この頃から趣味である旅もゆくゆくは仕事にしていきたいなと思うようになりました。
トラベラーとしても活躍するmanamiさん。海外旅行数はこれまでに100回以上! 自身が撮影したフォトジェニックな旅の写真をInstagramで発信し一躍有名に。過去にはフォトブック『GENIC TRAVEL vol.01 AUSTRALIA – LOVE & ICECREAM – 』を出版しています。
転機
旅から得たインスピレーションがデザイン考案の源に
——自宅サロンのオープン当初からセミナーを頻繁にやっていたそうですね。
「ネイルパートナー(ネイル問屋)」で働いている友人からの提案でした。アート用の筆を使って施術している私の様子を見て「同じような筆をネイル筆として作ってあげるから、その代わりにセミナーをやってほしい」と、交換条件を出されたのがきっかけです(笑)。
その後、海外からもお声がけをいただき、台湾、マレーシア、シンガポール、アメリカ、中国など各国でセミナーを行いました。
——「海外」というキーワードが出ましたが、セミナー以外にもいろんな国に行かれていますよね。
海外は、専門学校の卒業旅行で友達とハワイへ行ったのが初めてでした。
その旅の道中、試着室でくしゃみをしたら知らない人が「bless you(お大事に)」と言ってくれたので、私もくしゃみをした人に「bless you」と言ってみたんです。そうしたら「Thank you(ありがとう)」と返してくれて。「なんてフレンドリーなんだろう!」と感動したのが、旅を好きになったきっかけです(笑)。
自宅でネイルサロンを始めてからは「年に5回は旅に行く」と目標を立てていましたが、いつの間にか「月に1回は行く」という目標に変わるくらい大好きになっていましたね。
——ネイリストでありながら、プロトラベラー。その生活はどのようなものだったのでしょうか?
当時は観光局からの依頼で旅をしたり、カメラメーカーにスポンサーとしてついていただくことも多かったです。
自分の中で「旅」と「ネイルの仕事」は繋がっていると思っています。よく「デザインをどのように考えていますか?」と質問をいただくのですが、旅で見たその土地の建物や洋服、色の組み合わせなどからヒントをもらうことがほとんどなんです。
——Instagramはこの頃から始めたのでしょうか?
海外の人たちにもネイルを見てもらえるチャンスだと思い、Instagramが流行る前から投稿を始めました。写真の構図をとことん追求したり、ハッシュタグを英語でつけるなど、試行錯誤しながら投稿を続けていましたね。その甲斐あって、徐々にInstagramのフォロワー数も増えていき、自分の知名度が高まってきているかもしれない、と感じることが多くなりました。
——コロナで旅に行けないのはツライですね。
正直ツライです(笑)。だからこそ、去年はオンラインサロンやセミナーを頻繁に開催し、パーソナルジムもオープンすることができました。旅行に行けないからこそ今働いて、旅行に行けるようになったら「一気に休むぞ!」と思っています。「ピンチはチャンスに変えられる」ということに気づけた2020年でした。
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最初は美容師を目指していたmanamiさん。ネイリストを始めた当初は、教えてくれる人がいるわけでもなく、すべて自分で勉強して決断してネイル道を追求。この経験があったからこそ、考える力が身についたと話していました。後編では、自宅サロンから表参道にサロンをオープンしようと思ったきっかけなど、成功を掴んだステップについて伺います。
▽後編はこちら▽
夢は日本の技術を世界へ広めること 私の履歴書 Vol.37【MOONLIT by mananails manamiさん】#2>>
撮影/中村 早
取材・文/梅澤 暁
Salon Data
MOONLIT by mananails
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