無限大のデザインストックは頭の中にある「NailZERO+」塩見隼人さん #1

イチゴ、とうもろこし、紗々ネイル…。他のサロンにはない個性派デザインを次々と生み出している「NailZERO+」オーナー兼ネイリストの塩見隼人さん。モアリジョブ2回目の登場となる今回は、その個性的なデザインがどうやって生まれるのか詳しくインタビューさせていただきます。

塩見さんは、お客さまを悩ませるネイル行程の選択肢をなくし、お客様のいちばんやりたいことをデザインのメインにするとおっしゃいます。そのために、塩見さんの頭の中には膨大なデザインがストックされているのだそう。マッチするデザインをストックから引き出し、さらにお客様との会話から生まれる即興のアイディアをプラスして、お客様を満足させる個性派デザインを完成させます。

お話を伺ったのは…

池袋 ネイルゼロプラスNailZERO+
塩見隼人さん

11,000件以上のネイルサロンを掲載する検索サイト「ネイルブック」で13ヶ月連続1位を獲得。2ヶ月先まで予約が埋まる注目のネイリスト。「楽しくウキウキしてみんなに自慢したくなるネイル」がモットー。個性派をメインに、上品から流行までお客様のリクエストに幅広く応じる。数多くのセミナー講師を務め、TV出演も果たす。お肌つるつる、ダイエット中の現在40才。

応えられないリクエストはない

――SNSで見たとうもろこしのデザインがとても印象的でした。あれは、塩見さんのアイディアですか?

お客様から「夏野菜にしたい」というリクエストをいただいたことがきっかけです。最初は何をおっしゃっているんだろうな(笑)と思いつつ、「分かりました」と返事をしました。画像検索をしていると普通にコーンを描くより、粒粒を作ったらおもしろいかもと思いつき、「では、きゅうり・なす・とうもろこしなどの夏野菜シリーズにしましょう」とできあがったデザインです。

――やっぱり塩見さんの個性的なデザインを求めるお客様が多いのですか?
「かわいい」よりも個性的なデザインを希望される方が多いですね。アニメのキャラクターのモチーフから、トカゲ、フルーツまで幅広く個性的。他のサロンにデザインを持っていったけれど再現できなかったとか、他ではできそうにないから直接来ましたというお客様も多いです。

――デザインの幅がとても広いですが、いままでお客様のリクエストに応えられなかったことはありますか?

時間さえあれば、どんなデザインでもできるはずだと思っているので、基本的にはないですね! ただ、施術時間の中では厳しいリクエストはあるので、「いまいちばんしたいことは何か?」を聞いて、ワンポイントで強調したりデザインのメインにします。他をシンプルにしたりバランスの調整をして時間内でできるだけ要望に合わせられるように対応しています。

――いままででいちばん難しかったリクエストは?
その場でリクエストに対応するので、常に難しいと思っていますよ。でもいちばん難しかったのは、スターウォーズのシーンを描いてほしいというリクエストで、お客様の好きなシーンBEST10を10本それぞれに描きました。

お客様が時間を空けておいてくださったので、期待に応えようと4時間くらいかけて作りました。僕もスターウォーズがすごく好きなんです。ちょうど次回作公開の直前で、こういう展開になったら面白いねと盛り上がりつつ、いつの間にか仕上がっていました。

お持ちになったパンフレットと一緒に完成したネイルの写真を撮られて。お客様にも満足していただけたので僕も達成感がありました。

デザインストックは無限にある

――塩見さんのようにリクエストに柔軟に応えてくれるサロンは他にもあるのですか?

あまりないと思います。多くのサロンでは、既存のコースの中から、色・デザイン・パーツ・パーツをおく場所・コーティングの種類を選ぶスタイルが多いですよね。これだけでも5回はお客様が考えなければいけない場面があるのですが、僕のサロンでは1回、お客様が何をしたいのかを伝えるだけで済みます。「春っぽくして」とか、気になる写真を見せるだけの「ふんわりオーダー」の方も多いですね。詳細は施術しながら相談させていただきますが、煩わしいことがなく2時間後にはネイルが完成している。他のサロンに行くのが面倒になってしまう方もいらっしゃいますね。

――お客様があれこれ考えなくても、個性的なデザインが完成するというわけですね。
その通りです。うちは2時間で1万円。たぶん相場は7~8000円なので少し高いと思いますが、少し値段が高くても面倒くさくないし、あとは座って自分の好きな話をしていればネイルが完成するので、このボリュームでこの値段だったら安いと、ほとんどの方がこちらを選んでくださいます。実は、これもひとつの集客方法だと考えています。

――なるほど。塩見さんの頭の中にあるデザインが現実になるなら、あと2000円出してもいいいかも…
とうもろこしもそうですが、即興で生まれたものが意外と面白かったりします。僕の代名詞になっているイチゴも、立体的なものはすでに作っていたのですが、「切ったイチゴって作れる?」とお客様からオーダーがあり、「断面ですね。やってみましょうか」とその場で作ったのがこれです。現場で生まれるものも多いですね。

――デザインストックを数えたことはありますか?
いやー、わからないですね。お客様がお持ちになるデザインも90%以上は再現できると思うので、デザインストックは無限にあると思います。頭の中には新たなデザインが常にありますし。

――頭の中のアイディアは形に残しているのですか?
いや、してないです。こういうのを作りたいなと思ったら、一応スマホにメモはしますが、そうすると作った気になってしまって、実際に作らないこともあって。最近はチップを作る時間もないですし、アイディアはもっぱら頭の中ですね。

――チップにしているのは、これがすべてですか?
そうです。でも、頭の中にはこの何十倍というデザインがあります。これとあれを組みかえたらおもしろいかなとか。あとは、最近新しい素材も出てきているので、その素材をこんなふうに作ったらおもしろいかなとか。

塩見さんの代名詞にもなっているイチゴと紗々ネイル
(手前上から3~4段目)

――ということは、塩見さんにとって、サンプルはあまり意味のあるものではない?
そうですね。一応、こういうことができますよという見本みたいなものです。人気のデザインになると同じものを作ることもありますが、ひとりのお客様に対して同じものは二度と作らないというポリシーで作っているので。

――もしかして、ものすごく記憶力がよかったりしますか?
記憶力は異常と言われます。これまで15年間のお客様のデザインはすべて頭の中に入っています。どんな話をしたかもだいたい記憶していますね。雑学的なことが好きで、お客様との会話も雑学系で盛り上がったりしますね。

最終形態は同じでも、アプローチの仕方が違う

――言い方が変かもしれませんが、塩見さんは現場主義(笑)?
そうですね。その場で作っていっちゃいますね! ネイルエキスポなどで、皆さん真剣にメモをとられたりするのを見て、あー勉強熱心でえらいなとは思うのですが、僕にはできないですね。気になるネイルを見ると、自分で作ってみて、ああこういうことかと納得するタイプ。知り合いのネイリストからあるデザインの作り方を聞かれたときも、僕の作り方を説明したら、「先生のやり方はこうなんだけど」とまったく違う方法でした。最終形態は同じでも、アプローチの仕方が違う。それぞれのアプローチから導き出される答えがある。それが、ネイリストとしてとても面白いし、すごく好きな部分ですね。

――塩見さんは手先がとても器用ということですが、元々なのですか?
まあ元々もありますが、それをずっとやり続けているからというのもありますね。

大学卒業後に内装業をしていました。そのときの先輩が厳しく指導してくれたおかげで磨かれた部分もあると思います。あとは趣味のプラモデルとか、そういうところから培われてきたものなのかなとは思いますね。

塩見さん自作の空母プラモデルの中央に紗々ネイルを置かせてもらいました。
作業の細かさが分かります

――前から絵を描くのがお好きだったとか?
絵は好きで描いてはいましたが、ちゃんと習ったことはないです。

――アニメですか?
いや。もっと普通の絵です。エヴァンゲリオンは好きですが、常に最新のアニメを見ているとかアニオタではないです。アニメは、面白いものは面白いよねという感じですね。サロンが池袋という土地柄やお客様の影響もあって、最近はそんなふうに言われることが多いですけど。

――髪色もピンクでてっきり、そちら系かと思っていました。
そうそう、よく言われるんですよ(笑)いまはエヴァンゲリオン8号機のピンクですが、髪の色にとくに深い意味はありません。きっかけといえば、エキスポの前にちょっと派手にしてみようかなと思ったことです。ちょうどその頃、派手髪が得意な美容師さんと知り合って、染めてもらうようになりました。ピンクの髪でテレビ出演したのでそのイメージが強いのかもしれません。その前はブルーとかレインボーとか。まあ、かなり奇特な目で見られますけど、お客様からは「いいピンクだね」とか「色白だからピンクが似合うよね」と言われます。

男性にはドクロ・和柄・フォント文字が人気

――お客さんの層はどれくらいの方が多いのですか?
下は18才から上は60代までバラバラですが、30代前半くらいの方がいちばん多いです。女性が9割。最近、チラホラ男性の方にも来ていただいています。

――男性のお客様は、塩見さんのデザインに惹かれていらっしゃるのですか? それとも同性だから?
両方ですね。やっぱり女性ネイリストだと緊張するという男性がいらっしゃるのと、女性ネイリストのサロンだと、男性っぽいかっこいいデザインをされているところが少なくて物足りないという声を聞きます。ガツンと強めなデザインを希望される方が多いですね。例えば、クロス、ドクロ、黒でもマットとツヤを両方合わせたり、かっこいい和柄やフォント文字を描いたり。女性のなかにも、男性っぽいデザインをやってほしいという方もいらっしゃいます。

塩見さんが個性派デザインを生み出すための極意

イチゴ、とうもろこし、紗々ネイルなど個性派ネイルで注目を集める「Nail ZERO+」。個性派デザインを生み出すための極意は下記の3つでした。

1. お客様がいちばんやりたいことをデザインのメインにする

2. 即興で生まれるアイディアを大切にする

3. 頭の中に常にデザインストック

後編ではお客様に満足してもらえるデザインを完成させるために、どんなカウンセリングをされているのかを伺います。

▽後編はこちら▽
見た目ギャップをデザインに取り入れて女性のハートを掴む「NailZERO+」塩見隼人さん #2>>

撮影/古谷利幸(F-REX on)
取材・文/永瀬紀子

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Salon Data

池袋 ネイルゼロプラス NailZERO+

住所:東京都豊島区東池袋1-33-3池袋シティハイツ309
ネイルブック:https://nailbook.jp/nail-salon/11218/
インスタグラム:@nailzeroplus_shiomi
Twitter:@NailZEROPLUS
YouTube:Nail ZEROPLUS

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