世界を舞台にした貴重な経験。タフな心と挑戦し続けることが夢を叶える近道【フリーランスのライフスタイル ヘアメイク・ASUKAさん】
シェアサロンの普及などに伴い、最近増えてきたフリーランスという働き方。今回は、フリーランスのヘアメイクとして働いているASUKAさんに登場していただきます。
前編では、美容師としての経験や、フリーランスと同時にヘアメイクに転身した理由、ゼロからキャリアを積み重ねていった経緯などASUKAさんの行動力がわかる過去のお話しをしていただきました。
後編では、Visionary Award世界大会で優勝した際のエピソードやASUKAさんが仕事をするうえで大切にしていることなどをお伺いしました。チャレンジ精神旺盛なASUKAさんならではの貴重なお話に注目です。
お話を伺ったのは…
ASUKAさん
日本美容理容専門学校にて美容師免許を取得。卒業後は、都内有名サロン2店舗にて、カラースペシャリストとして計約5年勤務。ヘアメイクとして独立してからはTVや舞台、広告など幅広いジャンルで活躍する。Visionary Award世界大会でメイクアップを担当し、2017年に2位、2018年には優勝と世界的な実績を持ち、日本でのコンテストの審査員を務めるほか、TV番組のヘアメイク監修などヘアメイク界で注目のアーティスト。
Instagram：@hairmake.asuka
HP：http://hairmake-asuka.com/
チーム一丸となって世界一の作品を完成させるまで
ショーのヘアメイクを施すASUKAさん。
作品の世界観を表現することに集中している
――――ASUKAさんはVisionary Awardという世界的な大会でメイクを担当し、優勝されたという輝かしい経歴をお持ちです。参加されたきっかけを教えていただけますか。
当時、美容師さんのショーメイクを担当することが多かったのですが、そこでずっと同じ方と組んでいたんです。その美容師さんも海外志向の強い方で、お誘いいただき一緒にVisionary Awardへ挑戦することとなりました。Visionary Awardはロンドンで開催される美容業界のなかではかなり大きなコンテスト。世界中からレベルの高いアーティストが集まってとても刺激的な経験でした。
――――ショーの準備や当日の様子など具体的なお話を教えてください。
技術を活かした表現力が大切な世界なので、練習はもちろんチームのイメージの共有が重要でした。定められたテーマに合わせてトータルで見た時のまとまり、印象、感動力、衣装など、何度も打ち合わせを重ねてスタイルを作り込んでいきます。それぞれの頭のなかのイメージをきちんと共有して、それを実際に作れるかが大切です。メイク道具だけで20kgはある荷物を抱えてロンドンの街を歩き、ホテルで夜中まで仕込みを行うなど、体力と精神力の勝負でした。このように努力してできた作品なので、優勝が発表されたときは信じられないくらいうれしかったです。海外の友人もたくさんできて、クリエイティブを通じてたくさんの人とつながれるんだと、とても幸せな気持ちになったのを覚えています。
世界のアーティストを通じて見えたクリエイティブに対する情熱
【Visionary Award 2018】ロンドン世界大会1位受賞作品
――――ショーの前後で変わったことはありましたか？
1つはメンタル面での成長を感じました。他チームの作業を見ていて印象に残ったのが作業の大胆さ。日本人って丁寧な接客で繊細な仕事をするじゃないですか。もちろんとてもいいことですが、海外は真逆で、いい作品を作るためには躊躇せず、「そんなところでそんなことするの!?」と驚くようなスタイリングをしていることがたくさんあったんです。情熱をもってゴールへ一直線に働く姿が印象的でした。この経験を通じて、トラブルがあってもなんとかなるという精神が私にも生まれて、精神的に強くなった気がします。
それから、私の手掛けた作品が世界に通用したということで、仕事の依頼が増えたのも大きな変化です。特殊なメイクを依頼されることや、「ASUKAさんならできるだろう」と幅広いジャンルの仕事を任せてもらえることが多くなりました。
――――ショーの臨場感が伝わります！ さまざまなジャンルのご依頼が増えたとのことですが、現在はどのようなお仕事が多いですか？
現在はCMやテレビ撮影のヘアメイクが多いです。それから国内サロンのトップシェアメーカーのヘアコンテストの審査員などにゲストとして呼んでいただく機会も増えています。逆にコロナ禍の影響でライブやイベント、アーティストとの撮影現場は減ってしまいました。さまざまな仕事をしてみたいと思ってフリーランスになったので、現在の刺激的な毎日にはとても満足しています。
チャレンジ精神をもって突き進めば成功の道は開ける
着物の着付けや生花などの趣味を持ち、
日常的にアートに触れるなど
さまざまな体験をして感性を養っている
――――多岐にわたる経験を糧にさまざまなお仕事をこなすASUKAさんの、仕事に対するこだわりを知りたいです。
「毛先の1本まで美しく見せる、繊細なこだわりを持つ、けれどもこだわりは押しつけない」ことを大切にしています。ヘアメイクの仕事は現場によってさまざまなオーダーがあり、求められるものが異なります。クライアントについて事前にしっかりと調査して、過去にはどのような雰囲気の作品があるのか、何を伝えたいのか理解したうえで現場に臨みます。ヘアメイクがいつまでもこだわって時間を掛けるわけにはいかないので、アシスタントや当日関わるスタッフときちんと情報共有し、現場の空気を読みながらクライアントに合わせたスタイル作りをすることが大切です。一方で、スタイルの妥協は絶対にしたくないので、カメラの角度を事前に確認し、映るところすべてを美しく見せる努力は惜しみません。
――――最後に、今後ヘアメイクを目指す方にメッセージをお願いします。
少しでも「これやってみたいな」と思うことがあれば実行する癖をつけていってほしいです。何歳になってもチャレンジをして新たな経験をし続けることだけが、技術力や人としての深みにつながっていくと思うんです。ヘアメイクは体力的にも精神的にも厳しいですが、常に新しい世界を発見できる魅力的な職業だと思います。技術やセンスは自分をおく環境次第でいくらでも成長できるので、強い心とチャレンジ精神をもって臨んでほしいですね。
ゼロからのスタートでヘアメイクとして成功するための極意
今後もたくさんの方との縁を大切にさまざまな現場で活躍したいとお話ししてくださったASUKAさん。ゼロからのスタートでヘアメイクとして成功するための極意をまとめると、下記の3つでした。
1. 現場で求められているものを判断する力を培う
2. 仕事場では自身のこだわりを押しつけずに細部まで美しく作り込む
3. 少しでもやりたい気持ちがあればどんなことにもチャレンジする
自身の気持ちに正直に、何事にも果敢に挑み続けるASUKAさんの姿勢に勇気をもらいました。フリーランスの方だけでなく働く人誰しもに共通する、仕事を行ううえで大切な心構えを聞くことができたのではないでしょうか。これからのASUKAさんの活躍にも期待が高まるばかりです。
▽前編はこちら▽
ゼロキャリアから世界一へ！ 現場での意識がカギとなった人気アーティストへの道【フリーランスのライフスタイル ヘアメイク・ASUKAさん】>>
