時短メニューを増やして滞在時間減&満足度アップ!/株式会社ノンストレス エリアマネージャー 中島絵美子さん・「スパネイル」店長 高橋有希子さん #1
コロナ禍で、これまでと同じ働き方が難しくなってきた美容業界。そんなwithコロナ時代を生き抜くために、他サロンはどんな取り組みを行っているのか、そのプラス効果は?
今回取材したのは、ネイルサロン「ネイルクイック」グループを経営している株式会社ノンストレスで、エリアマネージャーを務める中島絵美子さんと、同グループ「スパネイル アトレ竹芝店」店長の高橋有希子さん。
前編では、1度目の緊急事態宣言から働き方にどんな変化が生まれたのか、詳しくインタビュー。全国展開している「ネイルクイック」グループが、コロナ禍で取り入れた新メニューや、それを受けての売り上げの変動についても教えていただきます。
お話を伺ったのは…
株式会社ノンストレス エリアマネージャー 中島絵美子さん
スパネイル アトレ竹芝店 店長 高橋有希子さん
(左)中島さん。技術・接客運営部 エリアマネージャー。ネイルクイック9店舗、スパネイル3店舗のサロン運営に携わる。(右)高橋さん。JNA本部認定講師、ネイルパフェジェルエデュケーターとして社内ネイリストの技術教育も担当。
2020年、大型商業施設の休業に合わせて営業休止が続く
―昨年、新型コロナウイルスが流行し始めた時期の様子はいかがでしたか?
高橋さん:変化を感じ始めたのは、一度目の緊急事態宣言が出るかどうか、という3月末あたりでした。お客様も、次回の来店をどうしようかと悩まれる方が出てきて…。「緊急事態宣言が出たら、サロンがお休みになってしまうかも」と、3月末から4月頭に、駆け込みでいらっしゃる方が増えました。
中島さん:弊社のサロンは大型商業施設に入っているお店が多いこともあり、緊急事態宣言を受けて全店舗休業することになりました。
再開は情勢を見ながらと考えていましたが、商業施設が開かないと動けないので、そういったサロンは宣言中ずっと休業でしたね。路面店など、自主的に営業を決められる数店舗のみ、早めに営業を再開し、その他は宣言が明けてから随時再開していきました。
―休業中はどんな風に過ごされていたんですか?
中島さん:本社勤務のマネージャー以上は、営業再開後に向けて頻繁にリモート会議をしていました。どんなメニューを展開するか、商材をどうするか、感染対策についてなどをZOOMで話し合っていましたね。
サロンスタッフに関しては、自宅待機中にできることをしてもらいました。技術向上のために課題を出したり、サロンのデザインサンプルを作ったり、というのを店舗ごとに行いました。
高橋さん:スタッフもみんな不安な中だったので、店長としてできるだけコミュニケーションを取るようにしました。私は講師も務めているので、各スタッフが自主練できるように、技術の動画を作ったりもしていました。
中島さん:宣言中後半は、営業再開後に新メニューを始めることが決まったので、すぐにサロンでできるような練習もスタートしました。
滞在時間を減らすため、クイックなカラーメニューを導入
―営業再開にあたり導入された新メニューについて教えてください。
中島さん:導入したのは、40分でできる「ワンカラ―コース」です。コロナ以前は、滞在時間長めでゆったり過ごしていただくことが多かったんですが、コロナ流行後、まずは滞在時間を減らさないといけないと社長から話がありました。
そこで時短メニューを増やすことにしました。ケアメニューには1時間以内で終わるものがあるので継続しつつ、ジェルメニューでクイックなものが欲しいねということで「ワンカラ―コース」を始めたんです。また、衛生面に配慮し元々コースにしていたウォーターケアをオプションにし、マシンケアを導入する事で全コースメニューを従来より時短メニューとする事としました。
高橋さん:「ネイルクイック」グループではケアをとても大切にしているので、すべての施術にウォーターケアを取り入れていたんです。短時間でネイルを楽しんでいただけるように、時間のかかるウォーターケアはオプションにして、マシンケアを取り入れました。
中島さん:それと同時に自社オリジナルの時短でできるマニキュアタイプのジェルもデビューさせました。本当はもう少しデビューは先の予定だったんですが、「今必要だね」ということでメニューとしてすぐにスタートしたんです。
―導入して、お客様の反応はいかがでしたか?
高橋さん:時間短縮のための対策なので、ご理解いただける方ばかりでしたね。当時は対面時間を減らすことの方が、お客様も気にされていましたから、メニューが少し減っても「その方がいいよね」という感じでした。
対面での接客に不安を感じているスタッフもいたので、時短メニューは導入してよかったなと思います。
―他にも新しく始めたメニューはありますか?
高橋さん:「スパネイル」限定メニューですが、今年の4月から30分のハンドエステを始めています。肘から下のトリートメントとパックのメニューで、クイックさ重視というよりは満足度と単価アップを想定したものです。
中島さん:「スパネイル」はグループ内の他サロンよりも、落ち着いてゆったりできる場所を目指しています。そんなスパネイルならではのメニューというのを、元々ずっと考えていたんです。
コロナ禍で消毒による手荒れに悩まれたり、頻繁にジェルネイルができなかったりという方が増えました。このタイミングでハンドエステのメニューを出せたことは、ケアにシフトしようかなという方や、ちょっとリラックスしたいという方に好評をいただいています。
高橋さん:お客様も外出もできず精神的に疲れているのか、美容にリラックスを求める方が増えた感じがします。そういった方々に、「あぁ癒された」と満足していただけているなと感じます。
GoToトラベルで盛り返すも、商業施設の休業により足踏み
―昨年から2021年4月現在までの売り上げの変動はいかがでしたか?
中島さん:6月3日から全店舗で営業を再開しましたが、すぐに売り上げが戻ったわけではありませんでした。やはりネイルは、美容室に比べても不要不急と捉えられているお客様も多く、あまり指先を華やかにするのにも抵抗があったようです。
秋ごろはGoToキャンペーンを利用される方もいらっしゃり、少し回復傾向にありました。しかし今年に入ってからは、緊急事態宣言やまん延防止重点措置などが続いたので、商業施設に入っている店舗は休業が続き、低迷まではいきませんが足踏み状態が続いています。
高橋さん:季節的にフットネイルが増えてきているので、今後は少し回復してくるかなと感じています。商業施設内のサロンは休業でしたが、今年は営業できるサロンは休まずできています。休業サロンのスタッフも営業できるサロンに行き、そちらにお客様も誘導できたのがよかったのかなと思います。
中島さん:お店がたくさんあるからできた対策だと思います。スタッフごとお客様も誘導できたことで、ネイルをお休みされる方が少なく済みましたね。
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時代の流れに合わせ、すぐに新メニューを導入した「ネイルクイック」グループ。短時間でできるメニューは、コロナ禍では滞在時間の短縮に、アフターコロナでは満足度&単価アップにつながるんですね。
後編では、物理的な感染対策を取り入れた働き方の変化と、今後ネイリストに求められることについてお聞きします。
▽後編はこちら▽
見た目にわかる感染対策でお客様に安心感を/株式会社ノンストレス エリアマネージャー 中島絵美子さん・「スパネイル」店長 高橋有希子さん #2>>
取材・文:山本二季
撮影:岩田 慶(fort)