見た目にわかる感染対策でお客様に安心感を/株式会社ノンストレス エリアマネージャー 中島絵美子さん・「スパネイル」店長 高橋有希子さん #2
コロナ禍で、これまでと同じ働き方が難しくなってきた美容業界。そんなwithコロナ時代を生き抜くために、他サロンはどんな取り組みを行っているのか、そのプラス効果は?
前編に続き、全国展開している「ネイルクイックグループ」を運営する株式会社ノンストレスにフォーカス。エリアマネージャーを務める中島絵美子さんと、「スパネイル アトレ竹芝店」店長の高橋有希子さんにインタビューします。
前編では昨年のコロナ流行当時のサロンの様子と、対策として取り入れた新メニューについてお伺いしました。後編では、アフターコロナでの働き方の変化と、今後ネイリストに求められることについて教えていただきます。
お話を伺ったのは…
株式会社ノンストレス エリアマネージャー 中島絵美子さん
スパネイル アトレ竹芝店 店長 高橋有希子さん
(左)中島さん。技術・接客運営部 エリアマネージャー。ネイルクイック9店舗、スパネイル3店舗のサロン運営に携わる。(右)高橋さん。JNA本部認定講師、ネイルパフェジェルエデュケーターとして社内ネイリストの技術教育も担当。
手袋、眼鏡、マスクで、目に見える感染対策を導入
―コロナ後、働き方に変化はありましたか?
高橋さん:今まではちょっとした風邪気味程度なら勤務していましたが、コロナ後は少しでも違和感があればすぐに調整するようになりました。とくに咳は、お客様が不快に思ってしまうので、すぐお休みにしています。
※予約と予約の合間には消毒など感染対策を実施します。
中島さん:スパネイルはゆったりとした空間に全て独立席で感染対策もしっかり取っているので、席を間引いたり予約を減らしたりはしていません。席間が狭いサロンは、すべての席との間にパーテーションを置いて営業しています。
あとは出張ネイルも少し増えました。これまでもご希望があれば対応していましたが、そんなにたくさん取っていなかったんです。でも店舗休業中、営業している店舗も遠いし、不安で出てこられないという方のところに出張して施術することも増えました。出張ネイルは、今後さらに何か手を入れていけたら、新しい働き方になるかなと思っています。
―接客の変化は?
中島さん:まずは自分たちの体調管理をきちんとすること。そして、とにかく感染対策を充実させてしっかりすることですね。
ご来店されたお客様には、検温と消毒、マスクの着用だけでなく、症状チェックリストの確認、ご希望の方にはスマホや携帯電話の消毒もさせていただいています。
高橋さん:スタッフも常にマスク、眼鏡やゴーグル、フェイスガードを着用し、手袋をはめて施術。手袋はお客様ごとに交換し、手袋をしている時は自分の顔などにも触れないように徹底しています。
技術者なので手袋にわずらわしさはあります。でも見た目で対策していることがわかりやすいので、お客様には安心していただけていますね。
中島さん:営業再開後からは、感染対策をしていますというアピールにも注力していました。SNSやHPへの掲載はもちろん、来店された方への接客時にもしっかりお伝えしていく。そこから周りの方にも広めていただけるので、きちんとアピールすることは大切だと思います。
手元アップの動画研修で、細部まで確認できるように
―緊急事態宣言中に課題を出されていたそうですが、その後に教育面で変化はありましたか?
中島さん:休業明けに爆発的に集客が戻ったわけではなく、時間的にも少し余裕があったので、そこで確実に全員の技術力が上がるように指導する期間を設けました。
内容としては、研修センターでの対面での研修と、店舗での店長による個人指導です。あとは動画によるLIVE研修も始めました。技術の指導なのでリモートでの研修に抵抗はあったんですが、そうも言っていられず。
以前から動画による指導はしていたんですが、離れたところにも店舗があるのに1ヵ所に集まるのが難しい状況が続きますから、より動画にも力を入れていくことにしました。
高橋さん:LIVE研修はZOOMを使い、社内用YouTubeにアーカイブを残して、いつでも見られるようにしています。カメラを固定して手元をアップにして配信するので、特等席で講師の技術が見られる感じで意外と好評なんです。大人数だと手元を近くで見られないことも多いので、細部までじっくり見られるのは良いところだと思います。
求められるのは高い技術力を持ちながら、お客様の気持ちを汲めるネイリスト
―今後はどんなネイリストに需要が高まると思いますか?
中島さん:サロンに来てくださる方は、キレイにしたいのはもちろんですが、心もリラックスしたいんですよね。とくにコロナ以降は、何かを吐き出しに来ている方が多くいらっしゃいます。
接客で無駄にしゃべらないようになったとは言え、お客様の吐き出したいものをきちんと汲み取れるネイリストじゃないと、今後は難しいと思います。
あとは、時短でキレイに仕上げられる技術は必要ですよね。
高橋さん:コロナ禍になってセルフネイラーさんが増えました。ネイリストとしては困っちゃうわけですが、でも逆に自分でやってみて難しさに気づき、やっぱりプロにしてもらいたいという方も多いんです。
その時にネイリストが下手じゃダメだから、「やっぱりプロに頼んでよかった」と思ってもらえるような技術を提供できないといけないなと思います。
中島さん:「ネイルクイック」開業当時のコンセプトは、気軽さと速さでした。その後、時代の流れに合わせてサロンでゆったり過ごせる方向にシフトしていましたが、コロナ以降は「クイック」をもう1回意識しないといけないなと感じます。
クイックにもできるし、丁寧な接客もできる。そんなサロンが求められると思います。
―今後の展望を教えてください。
中島さん:実は最近、他サロンから転職してくる方が増えてきているんです。感染対策や研修など、会社がネイリストとお客様の安心安全を考えて対応してきた結果だと感じます。いろんな面で会社自体が安定していることを求めるスタッフは多いんです。
だから今回のように短期間で大きく変わらなければならない事態が起きても、すぐに対応できる準備をしていかないといけないなと思いました。未知のことでも挑戦して、社会の動きに合わせて柔軟に対応していける。そのための土台作りをしていきたいと思います。
高橋さん:この「スパネイル アトレ竹芝店」は、コロナ禍でオープンしました。なかなか大々的な集客もできなかったので、店長としてはまずサロンを知っていただくこと。そのために、SNS上でのアピールにも力を入れていきたいと思っています。
また、接客も技術も含めて、お客様に「来てよかった」と付加価値を感じて帰っていただくことを、スタッフみんなができるようにしていきたいです。働くエリアが変わっても、指名で来店いただけるようなネイリストを増やしていけたらと思います。
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コロナ禍で見えたのは、確かな技術力と丁寧な接客という、ネイリストの土台となる部分の大切さ。ゆるぎない土台があることで、変動する世の中にも対応できる技術者が育つのだと感じました。これからもネイル業界を牽引する「ネイルクイック」グループに注目です。
▽前編はこちら▽
時短メニューを増やして滞在時間減&満足度アップ!/株式会社ノンストレス エリアマネージャー 中島絵美子さん・「スパネイル」店長 高橋有希子さん #1>>
取材・文:山本二季
撮影:岩田 慶(fort)