未経験からサロンをオープン。自分自身をターゲットにした戦略とデザイン力が集客成功の秘訣 ネイリスト櫻井唯さん
自宅でプライベートネイルサロンを経営する櫻井唯さんは、異業種からネイル業界に転身すると同時に独立した経歴の持ち主。ゼロからのスタートにもかかわらず、前職のデザイナーとして培った技術を活かして描くアートが、ほかのサロンとの差別化につながり、多くのファンを獲得することができたそうです。
前編では未経験からサロンを立ち上げた理由や、集客の方法についてお伺いします。北欧風、ナチュラルといったサロンの世界観の統一や、ターゲットを明確化したインスタグラムの投稿が、集客につながったとのこと。インスタグラムの具体的な活用法をお話してくださいました。
今回お話を伺ったのは…
櫻井唯さん
ネイリスト
グラフィックデザイナーとして雑貨店に約8年勤務した後、独立。2019年に茨城県水戸市の自宅にてネイルサロン「silom nail(シロムネイル)」をオープンする。北欧風のアートを得意とし、多くのファンを持つ。ネイリストのほか、前職の経験を活かし、定期的に「インスタストーリーズをとびきりかわいくする講座」を開催したり、デザインの仕事を請け負ったりと多岐にわたって活動している。
Instagram:@silom_nail
固定概念にとらわれない自分の理想のサロンを作るため未経験から独立
————美容業界とは関係のない会社勤務から、どのようにしてネイルに興味を持たれたのですか?
実は数年前までネイルにまったく興味がなくて、ネイルサロンに行ったこともありませんでした。ところが当時勤めていた会社の同僚の爪に施されていたかわいいネイルを見て、一気に興味を持つようになったんです。私のなかでネイルはキラキラした派手なもの、長くて美しい爪のイメージだったのですが、その方は雑貨みたいでかわいいショートネイルをしていました。「こんなデザインもあるんだ!」と衝撃を受けたのがネイルに興味を持ったきっかけです。
————そこからネイリストになるとは驚きです!ネイルサロンに勤務せず、独立されたのはなぜですか?
周りで自分に合うサロンが見つけられず、それならば自分で理想のサロンを作りたいと思ったからです。ネイルに興味を持ってから初めてネイルサロンに行ったのですが、なかなか思い通りの仕上がりにならなくて……雑貨のようなかわいらしいネイルが、当時私の住んでいる地域の近くにはなかったんです。需要は絶対あるはずなので、それなら自分で作ってしまおうと思ったのがネイルサロンを立ち上げたきっかけ。「ネイリストになりたい」ではなく「ネイルサロンを作りたい」という想いのほうが先行した珍しいパターンです(笑)。自分の理想と違うテイストのサロンに勤めてしまうとそこの色がどうしても入ってしまうので、固定概念を持たず、1からすべて自分で立ち上げることに決めました。
自分にしかできないネイルのファンを増やすことがコンセプトの確立につながる
————すごい行動力ですね!技術はどのようにして学ばれたんですか?
まずは仕事をしながら通信講座で基礎を学び、仕事をやめてから本格的にネイルスクールの講座に通いました。アートについては学んだことがありません。前職でデザイナーをしていたこともあって、色選びや配置などは身についていたんだと思います。最初の頃はネイルチップのほか、家族や友人の手を借りてひたすら練習することで改善を繰り返していきました。また県外は理想に近いネイルサロンがあったので、そこまで足を運んでお客さんとして体験することも。ネットサーフィンやインスタグラムで好みのお店やデザインを探して研究していました。
基礎以外のアートの技術はほとんど独学だったのですが、オープンにあたって集客や発信、経営者のマインドなど、コンサルティングを受講したことは、とてもよかったです。まったく知らない分野だったので、多くの知識を身につけることができました。早い段階でお店が軌道にのったのもこの講座を受講したおかげです。
————コンサルティングを受けて、参考にされたこととは?
自分の得意とするテイストを明確にして発信すればするほど、サロンのコンセプトに合ったお客さまが来てくれるということです。そうしてご来店いただいたお客さまのネイル写真をSNS等で発信して、それを見てぴったりな新規のお客さまが来てくださるという、いい循環が生まれる。むやみに人を集めるのではなく、私のネイルのファンを作ることを意識することが大切だと教えていただきました。ちょうど北欧風のデザインを推していきたいと思っていたので、このことは常に頭に入れておくようにしたんです。
自分自身が究極のターゲット像。インスタを利用し地元のかわいいもの好きを魅了
————櫻井さんのテイストや理想のサロンとはどのようなものなのでしょうか?
ネイルもサロン全体の雰囲気も、ナチュラルな北欧系のテイストが好きなので、そこはブレないように一貫しています。ネイルについてはショートで手書きのアートにこだわっており、一般的にどのお店でも準備してあるスワロフスキーのラインストーンやアートシールは置いていません。そのような派手なテイストが好きな方はそもそも私のサロンに来ないだろうと思ったんです。
内観もネイルサロンというよりは雑貨屋やカフェのような雰囲気にしたいと思い、家具やインテリアにはこだわりました。心がときめくような小物や色使いを大切にしています。お客さまにとって気軽に来てリラックスできる空間になっていればうれしいですね。
————集客はどのように行ったのですか?
オープン当初から現在まで95%くらいのお客さまがインスタグラム経由でご予約をしてくださっています。最初の頃はハッシュタグを工夫して多くの方に見てもらうよう努力をしていました。なかでも地元の方の目に留まるように意識。たとえばサロンの近くで開催されるクラフトイベントや陶器市などにあわせてネイルを作って、そのイベントのハッシュタグをつけることで、参加者が「silom nail」を知るきっかけになります。また近くのおしゃれなカフェを訪れている人の投稿にサロンのアカウントで「いいね」をつけるなど、かわいいネイルが好きそうな地元の人にアピールしました。
自分自身が一番のターゲット像だったので、自分の好きなものや場所に集まる人の目にサロンの情報が入れば、そのうちの何名かはお客さまになってもらえると思ったんです。その結果、「silom nail」のテイストが好きな方の目に留まり、多くの新規集客につながりました。
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未経験からプライベートサロンの立ち上げに成功した理由
自分の好みや強みを明確にして、それを判断基準に行動した結果集客につながったとのこと。未経験からプライベートサロンの立ち上げに成功した理由をまとめると以下の3つでした。
1.自分の得意とするテイストを明確化して発信する
2.ぶれないコンセプトをつくってデザインや内観すべてを統一する
3.ネイルにかかわらず地元の人やターゲットが好きそうなSNSの投稿を活用
無謀とも思える無経験からのサロン開業を成功させた櫻井さん。ネイリストの友達には驚かれることも多いとのことですが、固定概念にとらわれない自分の好みを貫いたやり方がファンを増やしていった一番の理由だったようです。
開業と集客に成功したサロンをどのようにして継続しているのか、後編では売上維持の工夫やリピート率についての櫻井さんの考え方をお伺いします。
Salon Data
silom nail(シロムネイル)
住所:茨城県水戸市鯉淵町
(プライベートサロンのため詳細は予約時にお伝えします)
https://ameblo.jp/silomnail/entry-12522819021.html