【SNS活用術】その時々で表情が変わるから。ニュアンスアートは「自然光」で奥行き感を魅せる【Latte. ARISAさん】#2
ネイリストARISAさんのInstagramは、色の重ね方、素材ののせ方、質感…といったニュアンスアート独特の技法を動画で見せる「artレシピ」が反響を呼んでいます。また、ネイル作品をドラマチックに見せる撮影テクニックにも注目。ARISAさんのつくるニュアンスアートは、時間帯によって、または屋内と屋外とで表情が変わりますが、一枚の写真にその奥行き感を見事に表現しています。
後編では、「自然光」を取り入れた撮影テクニックについて詳しく教えていただきます。
教えてくれたのは・・・
「Latte. 」ARISAさん
絶妙な色合いや素材感など、どこか個性的なニュアンスアートに定評があり、ファッショナブルな女性たちが数多く通う。Instagramのフォロワー数は約9000人(2022年2月現在)。ネイルアートの工程を動画で見せる「artレシピ」のシリーズは毎回反響が高く、よりニュアンスネイルの魅力にハマる人が多数。
ARISAさんInstagram:@arisa_nail_9974
お客様の気分や感性に導かれてつくる唯一無二のアート
――ARISAさんの得意なデザインを教えてください。
得意としているのは「複雑さ」のあるデザイン。簡単に言うと、他のサロンではつくれないアートを意識しています。Latte.のつくるニュアンスアートは色を何層も重ねたり、ベースの色を下からほんの少しだけ見せたり、と工程が多いのが特徴なんです。作品の写真を見ただけでは真似することが難しいデザインが多く、私もLatte.に入社する前は「どうやってつくっているんだろう」と思っていました。
大切にしているのが、お客様の感覚や気分をその場で表現すること。だから、二度と同じものをつくることはできないので、画像を持ち込んでいただいた場合も「唯一無二のアートをつくっているので、似たような感じでおつくりしますね」と一応お伝えするようにしています。
――お客様との会話から好みや気分を汲み取るんですね。
そうですね。うちではサンプルを置いていませんので、会話しながらそのお客様だけのデザインをつくっていくというスタイルです。デザインにフォーカスしたお話だけでなく、「休日は何していますか?」とかプライベートなこともどんどん聞き出すようにしています。
――普段どのようなものからデザインのインスピレーションを得ているのですか?
固定概念に囚われたくないなと思っていて、他のネイリストさんのデザインはなるべく見ないようにしています。他のネイル作品ばかりを見ていると「ネイルとはこういうもの」と、視野が狭くなってしまう気がするんです。だから私は、抽象画や美術作品、自然、出掛けた先などからインスピレーションを得ることが多いです。
ニュアンスアートは自然光によって奥行き感が増す
――ニュアンスネイルを写真で伝えるのは難しそうですが、作品撮りで工夫していることはありますか?
雰囲気を重視しすぎると、かえってネイルに注目してもらえないので注意が必要です。あと、ニュアンスアートは自然光を味方につけるとより素敵に魅せることができるんです。
あと、街を歩くときに常に背景に良さそうなものを探しています。街中には色々な素材が溢れていますよ。
――お客様をご紹介する投稿もたまに見かけますが、アートの投稿に比べると反響はいかがですか?
私のフォロワーさんはネイル作品を見たいという人の方が多いので、ネイルを単品で載せたときの方がいいね!数や保存数は多いですね。お客様の写真を載せるときは2枚目できちんとネイルを紹介するようにしています。
自分の感性に共感してくれるファンをつくる方が将来性はある
――サロンワークにプラスの効果がありましたか?
指名来店がすごく増えましたね。
Latte.の場合、新規来店にはフリー来店と指名来店の2つがあり、フリー来店のお客様を担当させていただくことが今まで多かったのですが、その方々が再来店でほぼ指名してくださるようになりました。
以前はサロンのInstagramからのご予約が多かったのですが、今は私個人のアカウントから予約してくださる方が多く、私が投稿しているデザインをやってほしいというオーダーをいただくことが増えましたね。
――SNSでネイルを伝えるための秘訣を教えてください。
動画をつくっていて改めて思ったことが、私は別に正確に技法を伝えたいわけではないのだということ。ニュアンスアートには正解がないので、私のやり方通りにやらなくても良いんです。私から何かヒントを得て、自分自身のアートをつくってほしいですね。結局、「真似」になってしまうと広がらないので、あくまで道標になってくれたら良いなというスタンスで発信しています。
大事なのは自分自身がブレないこと。自分の感性や想いを信じて、そこに共感してもらえるファンをつくることが、長い目で見たときに大事になるんじゃないかなと。今は誰もがInstagramで発信していて、似たようなデザインも多く見かけます。日本人はどちらかというと保守的なので、人気のデザインやウケるデザインを追い求めがちですが、「本当は違うアートをやってみたい」と心のどこかで思っている人もいる気がします。そのズレがあるまま続けていくと、例え数字が伸びたとしても、どこかで立ち止まってしまうと思うんです。先のことを考えたら、ありのままの自分に共感してくれるファンを地道につくっていく方が全然良いです。
私も数字などに囚われると苦しくなるので、自由でいたいという気持ちでやりたいことをやっています。
ニュアンスアートの作品撮りのコツ
1 余白を入れすぎず、ネイルの細かいアートがわかる程度に寄って撮る
2 屋外と屋内で別の表情に。奥行き感を見せたいときは自然光がマスト。
3 撮影は朝が狙い目。それぞれのデザインに最適な日の当たり方を見極める
取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/喜多二三雄
イラスト/なとみ みわ