【SNS活用術】ニュアンスアートの奥深さと技巧を動画で伝える【Latte. ARISAさん】#1
様々な色が複雑に混ざり合い、曖昧さがむしろ美しく映るニュアンスネイル。ネイルサロン「Latte.」の人気ネイリストARISAさんがつくるニュアンスアートは、繊細ながらも個性的なデザインに定評があり、お洒落な女性たちを魅了してきました。Instagramでニュアンスアートを紹介するため、ARISAさんが試みたのが「動画」。アート技法の一部始終を見せることで、同業者とお客様の双方にニュアンスアートの魅力を伝えることができたようです。
前編では、わかりやすく、見やすい動画にするための撮影テクニックをお聞きします。
教えてくれたのは・・・
「Latte. 」ARISAさん
絶妙な色合いや素材感など、どこか個性的なニュアンスアートに定評があり、ファッショナブルな女性たちが数多く通う。Instagramのフォロワー数は約9000人(2022年2月現在)。ネイルアートの工程を動画で見せる「artレシピ」のシリーズは毎回反響が高く、よりニュアンスネイルの魅力にハマる人が多数。
ARISAさんInstagram:@arisa_nail_9974
同業者とお客様の両方にアプローチ
――以前はどのような投稿をしていましたか?
Instagramをはじめたのは4年ほど前。自分のことを知ってほしいという気持ちは今と変わっていなくて、ネイルアートや自分の趣味など、とりあえず思いつくままに投稿していました。
――フォロワー数は徐々に伸ばしてきたという感じでしょうか?
いえ、ここ4ヶ月くらいで急に伸びたんです。以前は、フォロワー数は2000人ほどしかいなかったのですが、ある時期から毎日100人ずつくらい増えるようになり、今では9000人ほどになりました。
ある一枚のネイルアートの投稿にかなりの保存数やいいね!数がついたのがきっかけだと思います。それまでのネイルの投稿から特別何かを変えたわけではなかったのですが、そこからどんどん数字が伸びていきましたね。
――ネイルチップ制作の工程を動画で見せる「artレシピ」が定番になっていますが、なぜ動画で発信するようになったのですか?
それまで他店のネイリストさんがうちに来店してくださったり、DMで「技法を教えてほしい」と問い合わせをいただくことが多かったんです。私自身もフォロワー数を増やすためにはどうしたら良いかな?と考えたときに、ネイリストさんに向けた発信があっても良いんじゃないかなと思ったんです。今までとは違う切り口でやってみようって。
それに、自分の投稿に一貫性がなかったので、改善したいという気持ちもあり、誰に向けての発信なのかを今一度考え直すことにしました。動画を通して、同業者さんには私のネイルの技法を紹介し、一般のお客様には自分の想いや感性を伝えられたら良いなと思ったんです。
動画によってニュアンスアートの奥深さが伝わる
――ネイルを動画で見せるというのは斬新です。動画を撮る上で工夫していることはありますか?
「見やすさ」にこだわるために、5つのポイントに気をつけています。
――どんなアートを動画で発信しているのですか?
動画では特別に凝った技法やデザインを発信するというよりも、「感覚」を大切にしていて、「誰しもが共通で感じること」をデザインに反映させています。例えば、雪が降ったときは「結晶」や「冷たさ」などをモチーフにしたデザインにしたり。季節感に応じて、そのときにみんなが「これをネイルで表現したいな」と感じるものを動画で共有するようにしています。
――動画一つひとつに題名をつけているようですが、どれも言葉が美しくて素敵ですね。
ありがとうございます。動画のはじめにアートの題名を見せた方が興味を引きやすいかなと思って。私自身、映画を観たり、本を買うときに、ポスターや表紙とかに書いてあるキャッチコピーに惹かれて選ぶことが多いので。それに、リールページを開いたときに、サムネに題名が書いてあると並びも綺麗かなと。
言い回しはGoogleですごく調べました(笑)。「こういうのを伝えたいけど、何かカッコよく言い換える言葉はないかな」と類語を検索したりして。
――「artレシピ」の反響はいかがですか?
同業者さんだけでなく、一般のお客様も結構見てくださっているのはやっぱり嬉しいですね。
Latte.は1対1のスタイルが基本。お客様と近い距離で接客をしていて、会話をとても大切にしているんです。カウンセリングでデザインをすり合わせたら、施術中は会話を楽しんで気楽に過ごしていただく。そして、爪が完成したらアートに感動していただく、というスタイルが一つの売りなんですね。
だから、「アートの工程を実はよく見たことがなかった」というお客様が結構多いんです。リピーターさんは、動画ではじめて見て「こんなに色を重ねているんだ」「面白い」とよく言ってくださいます。
あと、海外のお客様もよく見てくださっているようです。海外の方には「ニュアンスアート」という概念があまりなく、どちらかというとパキッとした色使いやフレンチなどのデザインが多いので、新鮮なんだと思います。
――動画には言語の壁がないので伝わりやすいのでしょうね。
そもそも、動画では筆の動きやジェルの置き方など、動作で伝えたかったんです。「筆でこういう風に塗ってください」と言葉で説明しても伝わらないと思ったので。見て、感じて、そうやって技術を吸収してほしいなと。私の場合、技術を教える上で言語はあまり必要ないかなと思っています。
ネイルを動画で発信する上でのポイント
1 中だるみしない尺と、見やすい撮影環境づくりを意識
2 季節感を反映するなど、共感してもらえそうなデザインを投稿
3 動画に題名をつけてデザインの世界観を表し、興味関心を引く
ARISAさんの「artレシピ」は、ニュアンスアートの緻密でどこか芸術的な技法に魅了されます。曖昧さと奥深さを楽しめる反面、言葉で伝えることが難しいニュアンスアート。それは技法においても同じようで、説明文を読んで解釈できるものではないよう。ニュアンスアートにおいて動画は最適な表現ツールなのかもしれません。後編では、ネイル作品をより素敵に演出する撮影テクニックをご紹介します。
取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/喜多二三雄
イラスト/なとみ みわ