バックオフィスとの連携で日本一の予約数!多彩な人材力が生み出す相乗効果【ALBUM GINZA店長/野出貴弘さん】 #1
ホットペッパービューティーアワード2022「GOLD Prize」に輝いたALBUM GINZA。グループとしては3年連続受賞の新宿店に次いで、4年連続の受賞という快挙です。
今回は前後編に分けて、ALBUM GINZA店長の野出貴弘さんにインタビュー。ネット予約売上額が全国約5万店舗中1位という「日本一予約の入る美容室」の裏側とは?その秘密に迫ります!
【お話を伺ったのは…】
野出貴弘さん
関西1店舗・都内1店舗を経て「ALBUM」へ移籍。当初は業務委託契約からのスタートだったが正社員登用を果たし、2019年ALBUM GINZAオープン時に副店長として抜擢される。現在は店長のひとりとして70名以上のスタッフを指揮しながら、自身のサロンワークもこなす多忙な毎日。
オープンからわずか3年で「GOLD Prize」受賞の快挙
――まずは「GOLD Prize」受賞、おめでとうございます!「関東エリアの10席以上の席区分」での受賞ですから、名実ともに「日本で一番予約が入る美容室」と言えますね。
ありがとうございます。当店のセット面は40席あり、70名以上のスタッフが在籍しています。現在は密を避けるため1日の予約数はMAXより少なめに設定していますが、それでも営業時はたくさんのお客様と若いスタッフで活気にあふれ、ズラリと並んだ座席が埋まる様子は圧巻のひと言ですよ。
――ALBUM GINZAが特に重視しているコンセプトは?
「おもてなし力」でしょうか。ハイブランドが立ち並ぶ銀座という土地柄、お客様には高級志向の方が多いと感じます。ALBUMグループの中でも突出して、大人世代が多数ご来店される店舗でもあります。こういった方々は、今までさまざまな一流サロンに通ってきて目が肥えた方ばかり。そのため受付での接遇などへ特に注力し、お客様のファーストインプレッションへの訴求を図っています。
また、髪の毛自体を綺麗にしたいというニーズが高いのも銀座店ならでは。トリートメントや地肌に優しいケアカラーなど、髪質改善に力を入れたメニューを豊富に展開しています。
――「GOLD Prize」を受賞できた理由は、ズバリどこにあるとお考えですか?
実は2019年のオープン時、僕を含め8名のスタッフでスタートしたんです。会社が箱だけ用意してくれて、あとは自分たちの好きなようにやってみろと。ALBUMの名前があるとはいえここまで成長を遂げられたのは、まず第一に社長が私たちを信用してくれたおかげです。そして、その社長の気持ちに応えたいという各スタッフの努力の積み重ねと、バックオフィスのサポート力が実を結んだ結果だと考えています。
バックオフィスとの連携が肝。データに基づいた理論的なサロン経営
――バックオフィスからは、具体的にどのようなサポートを受けているのですか?
僕たちALBUMグループの最大の武器は、約47万人ものフォロワーを抱えるインスタグラム。公式アカウントの運用はバックオフィスのPR・マーケティング部が担っています。「刺さるコンテンツ」の制作・配信における高い感性と発信力はもちろん、現場にとって強力な力になっているのがその分析力です。
各スタイリストの個人アカウントは、フォロワー数の推移や各投稿への反応などが自社アプリ内でデータベース化され、スタイリスト自身がチェックすることができます。バックオフィスから投稿の改善点など細かいフィードバックが入ることもあり、それが現場の人間にとっては本当にありがたい。数字と結果が可視化されることで、個人の勘やセンスに頼ることなく、確実に・効率的にお店のファンを増やすことができています。
――情報発信の面以外のフォロー体制はどうなっているのですか?
エリアごとに配属されているSV(スーパーバイザー)をはじめ、バックオフィスとは常に密な連携を取りながら動いています。高いリピート率が今回の受賞につながったと思いますが、何度も通ってもらうためには、技術面だけでなく常に新鮮な驚きや感動をお客様へ提供することが必要不可欠。現場だけでは手が回り切らない部分も、組織として動くことで思い切ったアクションを取ることができています。
――なるほど。お店とバックオフィスが一丸となってサロン経営をされていると。
ALBUMには「なんとなく」といった曖昧な概念がないんですよ。オープン当初、現場スタッフの自由にさせてもらったと言いましたが、決して放任というわけではありません。
すべてにおいてバックオフィスのエキスパート達がさまざまなデータを分析し、僕ら現場の人間と一緒に検討を重ねながらサロン経営は行われています。例えば、曜日や時間帯ごとの予約数の推移から、弱い部分へ刺さるクーポン企画を提案してくれるのは良い例ですね。
各分野のプロフェッショナルがALBUMの強さの源
――バックオフィスで働く皆さんは元スタイリストの方なんですか?
これが色々で、アパレルから金融系・IT系出身者まで多種多様な経歴を持つ人間で構成されています。もちろん、異動して活躍する元スタイリストもいますよ。社内のキャリアプランに幅広い選択肢があることで、美容師という枠に留まらず新たな可能性にも挑戦できる環境なんです。
――最近の社内の取り組みで、野出さんが特に注目している仕掛けは?
Web社内報の配信がスタートしました。社長や各店舗のディレクターによるメッセージ動画、若手スタイリストのインタビュー記事など、最初から濃密な内容で読み手側としては驚くばかりです。
お店でも毎日の朝礼で企業理念を共有していますが、やはりトップ層が自分の言葉で想いを発信することは若い子達の励みになりますし、愛社精神や周りで働く人への親近感が生まれます。現場の人材マネジメントにおいて、社内報が大きな役割を果たしてくれるんじゃないかという期待感でいっぱいですね。
しかもこのコンテンツ、制作会社に発注するのではなく全て自社の人間でつくっていると聞き、改めてALBUMってすごい集団だなと感心しています。
――ALBUMグループが「美容院」という枠にとらわれず、自由な発想で組織運営できているのも、この多彩な人材の力が源になっているのでしょうね。
その通りです。そして現場と管理スタッフがお互いをリスペクトしあう空気感が、さらなる強みを生み出しています。先日も、自社アプリの開発を担当しているスタッフが来店してくれ、施術しながらお互いの業務の話で盛り上がったんですが、未知の世界すぎて理解が追いつかなくて(笑)。それぞれが自分の得意な領域で最大限努力しながら、同じ会社で同じゴールに向かって働いている。これってすごく面白いことだと思うし、社会人として大きな刺激となっています。
売上UPに欠かせない3か条
多くのお客様の支持を獲得するため、ALBUM GINZAが全スタッフと共有している意識をお聞きしました。
1.周囲の誰かを喜ばせたいという気持ち
2.「目標・改善・実践」の徹底
3.期待値を上回る感動の提供
ITを駆使した集客術など、その先進的な経営手腕がクローズアップされがちなALBUM。けれど野出さんが教えてくれた3つのポイントは、意外にも接客業にとって最も基本となるべき考え方でした。これなら店舗の規模に関わらず、すぐに実践できそうですね。
後編では、業界内外が注目するスピード感あふれる教育制度について詳しくお聞きします。
取材・文/黒木絵美
撮影/米玉利朋子(G.P.FLAG)