子どもと過ごす時間を大切にしたい。だから仕事もがんばれる! Beauty Salon Pink Keruruオーナー 高橋美穂さん#2
仕事も子育てもがんばっている方をご紹介するこの企画。前編に続いて、『Beauty Salon Pink Keruru』のオーナー、高橋美穂さんのインタビューをお届けします。
前編では、高橋さんが30歳を機にネイリストになるためにスキルを磨き、ご自身のサロンをオープンするまでのお話を伺いました。
後編では自身のサロン経営のこと、ひとり親になって親子3人で暮らす日常のことなどについて伺います。
お話を伺ったのは…
Beauty Salon Pink Kereru オーナー
高橋美穂さん
四年制大学在学中に妊娠し、21歳で長女を出産。卒業後は家庭に入る。その後、長男を出産後にアルバイトや派遣社員として働く。30歳でネイリストを目指して技術を学び、ネイルサロンに勤務。1年後ご自宅にサロンを開き、2021年には川口にネイルのほか歯のセルフホワイトニング、ブラジリアンワックスなどができるビューティーサロンを開設する。
高橋美穂さんのInstagram:@beautysalonpinkkereru
3人の生活が始まって、子どもたちが率先して家事をしてくれるように
――お子さんたちと3人で暮らすようになって、何か変化はありましたか?
子どもたちが家事を進んでやってくれるようになりました。特に息子は頼りになりますね。朝ご飯の支度や後片づけだけでなく、洗濯機を回したらちゃんと干してくれるし、夕方になったら取り込んでくれます。やってくれたことに対して、「ありがとう」は忘れずに言うようにしています。「こんなことまで、できるようになったんだ!」って、褒めることも忘れません(笑)。やっぱり褒められるとうれしいんですね。
あまりにもよくやってくれるので、「1つの家事ごとに50円」という決まり事を作りました(笑)。ゲーム感覚で楽しくなったのか、「よし!今日も稼ごう!」って言いながら手伝ってくれています。
――お嬢さんはどうですか?
娘もやってくれますよ。しかも仕事がすごく丁寧! 息子が食器を洗った後、たまに油汚れが残っていたりしますが、娘が洗うとピッカピカです。息子に比べると回数は少ないのですが、やるときはやってくれます。レベルが高いです(笑)。料理も上手なんですよ。野菜炒めとかチャーハンとか、先日はポトフを作ってくれました。息子と同じようにお金を渡そうとしたら、「家族なんだからお金なんていらない」ですって。でも、その後に買い物に連れて行かれて、化粧品とか服とかいろいろおねだりされちゃいましたけど(笑)
――お子さんたちの習い事はありますか?
娘は塾と習字、息子は習字です。夕食の支度が間に合わないときは、先に習い事に行ってもらって、その後に一緒に晩ご飯を食べることもあります。その日のスケジュールによって夕食の時間が変わっていますね。
――ジムへ行くのはお一人ですか?
夕食の後、子どもたちを家に残して行っています。息子に「夜に留守番するのは寂しくない?」って聞いたら、「人生は一度きりなんだから、やりたいことをやったら」と言われました(笑)。
息子は小学生のころバスケットボールのチームに入っていて、練習や試合のたびに送迎していたんですよ。仕事、家事、バスケで1日が過ぎてしまいました。息子が中学生になって、やっと解放されたんですよ。身体を動かすのが好きなので、週に3回のペースでジムへ通っています。私の大切な時間になっています。
子どもたちと過ごす時間を確保するための連続勤務なら辛くない!
――自営業は収入が不安定ですが、サロンを開くにあたってこだわったことはありますか?
私がネイリストを目指したときから、「私にしかできないこと。代わりがいないこと」を目標にしてきました。私が得意なのは細かなアートです。ほかの人には真似できないことで差別化しようと思っていました。
――今、高橋さんのほかにスタッフは?
私のほかにネイリストが2人います。2人とも子育て真っ最中なので、シフトを組むときも子どもの用事が優先。常に2人体制にして、子どもが熱を出したとか不測の事態が起きても、すぐ代われるようにしています。
お給料はそんなに出せませんが、その代わり私が教えられる技術やサロンの経営に関することは、何でも教えています。ゆくゆくはスタッフも私と同じように独立して欲しいなぁと思っています。
自宅でサロンができれば最高ですよ。仕事をしながら子どもの様子が分かるし、家賃や光熱費などの経費もかかりません。お客さまでネイリストを目指している方にも、自宅サロンをおすすめしています。
――家賃もサロンの経費もかかる分だけ忙しくなったと思います。お子さんたちと過ごす時間をどうやって工面していますか?
例えば子どもたちと出かけたいときは、お休みの日を作るために、連続勤務して集中的にお客さまの予約をこなします。「あななたちと出かけるために、私は大変な思いをしているのよ」って言っても、なかなか分かってもらえないですけど(笑)。
私はドライブが好きなので、車で遠出することが多いですね。車の中でたくさんおしゃべりします。娘はちょうど反抗期まっただ中ですが、一緒に出かけるときはすごく可愛いですね(笑)。
息子のバスケの送迎があったころは、娘と過ごす時間がなくてすごく寂しい思いをさせたと思います。先輩ママから「反抗期が終わったころ『あのときは寂しかった』とか言われるよ」と教わったので、今、娘と2人だけで過ごす「お詫び」の時間を作っています(笑)。息子を私の実家に預けて買い物に行ったり、ライブに行ったり、2人の時間を楽しんでいます。
――お子さんたちにはどんな大人に育ってほしいですか?
第一に人のことを想いやれる人ですね。それから自分のやりたいことを見つけて、ちゃんとお金を稼げるようになってほしいです。私もそうでしたが、やりたいことを見つけるまでがいちばん難しいんですよね。やりたいことを仕事にできている私は、本当に恵まれていると思います。大人になっても、言いたいことを何でも言い合えて、お互いを大切にできる家族でいられたらうれしいですね。
高橋さんが実践しているキャリアと子育てを両立させる方法
1.子どもたちお手伝いには、お礼とお小遣いで応える
2.仕事を集中的にこなして、子どもたちとの時間をつくる
3.仕事と家事から完全に離れる息抜きの時間をつくる
2人のお子さんを味方につけ、やりがいを見つけた高橋さん。睡眠時間を削り、休日返上で働く母親の姿を見ているお子さんたちは、自分たちでできることを自然にお手伝いしてくれるようになったとか。その成長ぶりにお礼とお小遣いで応えているから、さらに子どもたちもお手伝いをがんばる…という具合にいい連鎖が起こっているようです。
30歳でご自身のやりたいことを見つけ、着実にキャリアアップしている姿は、お子さんたちだけでなく後輩ネイリストにも頼もしく映っていることでしょう。
撮影/古谷利幸(F-REXon)