育児と仕事を両立するために独立!3人の子どもを育てるネイルサロンオーナー・木本薫さん
ネイルサロン「aiti」の経営を行う木本薫さんは3児の母。3人ものお子さんを育てながらサロンを経営するのはとても大変で難しいことのように思えますが、「専業主婦のときより充実した時間を過ごせています」と木本さんは語ります。その背景には「ネイリストという仕事が好き」という気持ちと、働きやすいサロンづくりの工夫がありました。前編では独立に至った経緯や子育てと仕事の両立方法を伺います。
今回お話を伺ったのは…
木本薫さん
ネイリスト、「aiti」オーナー
滋賀県出身。K-two NAIL SCHOOL卒業後、ネイリストとして複数のサロンに勤務。出産、育児のため専業主婦の期間をはさみながらネイリスト歴は約10年となる。2021年に子連れ歓迎のサロン「aiti」を設立。現在は6歳の娘と4歳、2歳の息子を育てながら経営者、ネイリストとして活躍している。
休日や勤務時間をコントロールできる働き方にシフトするために独立
――3人のお子さんを育てながらネイルサロンを経営されているとのこと、どのような1日を過ごしているのか教えてください。
朝、子どもを保育園に送ってからお店をオープン。10時〜17時の間働いて、それからお迎えに行き、食事、お風呂、寝かしつけをしているとあっという間に1日が終わります。サロンは自宅から近いので、お迎えに行く前にご飯をたいたり、空き時間にひとりで買い物に行ったり、独立してから細かい単位で時間をうまく活用できるようになりました。ハンドメイドが趣味なので、空き時間にはリフレッシュも兼ねて小物を作り、サロンで販売することもあります。
――ほかのサロンに勤務されているときは、自分の時間をもつことが難しかったのでしょうか?
3人目が生まれてから勤め始めた前のサロンは、子育てにすごく理解があっていい方ばかりでした。しかし、勤務時間が決まっており、家から少し距離があるところだったので、仕事以外の時間は子どもを連れて家事をこなさなければならず、今と比べると身軽に動くことは難しかったですね。
本当はそのサロンに長く勤めるつもりだったのですが、子どもが熱を出して急に迎えに行く必要が生じたときなど、ほかのスタッフさんに対応をお願いするのがすごく心苦しくて。優しくしてもらえばもらうほど、できなかったことに対して申し訳ない気持ちでいっぱいになっていました。急なシフトの調整をお願いすることも多々あったので、それならば休日や勤務時間を自分でコントロールできる働き方をしようと、独立を決めたんです。
ネイリストと育児を両立することで充実した毎日を送ることができる
――「休日や勤務時間を自分でコントロール」するために独立されたとのことですが、現在の働き方はいかがですか?
サロンは基本的に10時〜17時まで営業、土・日・祝日が休みなのですが、予約の状況や個人の都合で変更することもあります。現在私を含めた2名のスタッフで「aiti」を運営。担当制でお客さまにはそれぞれ個別に連絡をするので、お互い負担を掛けることはありません。もうひとりのスタッフも子育て中なので、ふたりとも子どもの行事や体調にあわせて臨機応変に働く時間を調整しています。
――仕事をやめるという選択肢はなかったのですか?
なかったですね。3人目が生まれる前後は専業主婦をしていたのですが、とにかく大変でしんどかったんですよ。1日中子どもと一緒にいて、「なにをして遊ぼう」「ごはんどうしよう」と頭のなかは子どものことでいっぱい。自分の時間がまったくないのがつらかったです。毎日があまりにあわただしくてあまり記憶がないほど(笑)。
そのときに、自分の時間=大好きなネイルの仕事も確保しながら子育てをがんばろうと決めました。「3人も育てながら仕事をするってすごいね」と言われることもありますが、私にとっては働いているほうが生活にメリハリがついて、充実した毎日を送ることができるんです。
サロン都合のキャンセルはなんと次回半額!
――お子さんの体調等で急にお休みをしなければならないときはどうされているのですか?
お客さまには大変申し訳ないのですが、こちらの都合で直前にキャンセルさせていただくこともあります。そのことに関しては予約の際にきちんと説明を行い、事前にご了承をいただいた方のみ確定をしていただく形に。お客さまは子育てをされている方がほとんどなので、みなさん理解して受け入れてくださって、とてもありがたいです。直前の日程変更をお願いする際は、おわびの気持ちも込めて次回の施術料金を半額にさせていただいてます。
――次回半額!それは思い切った割引ですね。
そうですね。でもそれくらいしないと、お客さまが離れていってしまうと思うんです。予約当日にキャンセルになるかもしれないとそわそわするのって嫌じゃないですか。そんなときに「次が半額になるならしょうがないかなぁ」と思ってくれればいいなと。そのくらいの覚悟がないと子どもを育てながら、自分のペースでサロンをやっていくのって難しんですよね。それからそのような状況でも「aiti」に行きたいと思ってもらえるよう、親子が一緒に楽しめるサロンの環境づくりにはとくに力を入れています。
――木本さんにとって子育てをしながら働くことの意義を教えてください。
自分も子どもも自立できることだと思います。専業主婦をしているときは子どものために人生のすべてをささげている感覚でした。子どもも集団に属さずに1日中家にいて私に依存していたので、今考えるとすごく閉鎖的だったなぁと。もちろんいろんなところに連れていったり、子どもと充実した時間をすごしたり、うまくやっている方もたくさんいると思います。しかし私は毎日生きるのに精一杯でそれがなかなかできなかったんです。今は子どもを大切にしながら自分の時間も満喫できていて、毎日が充実するようになりました。世の中のお母さんたちにも「家族だけではない自分のための時間」を少しでも楽しんでほしい、そんな思いで「aiti」を経営しています。
子育てと仕事を両立するための秘訣3つ
自分の時間を確保するために独立した木本さんが考える、子育てと仕事を両立するための秘訣をまとめると、以下の3つでした。
1.休日や勤務時間を自分でコントロールできる環境で働く
2.家族と離れて過ごす自分だけの時間も大切にする
3.お客さまに協力してもらう代わりに環境づくりや、サービスに力を入れる
過去の経験から充実した生活をおくるためのサロンづくりに成功した木本さん。忙しくも楽しく生活できているとお話しされたときの笑顔が印象的でした。後編では子連れ大歓迎という木本さんのサロン「aiti」の親子が楽しめる空間づくりの秘訣に迫ります。