子育て中の方に「自分のための時間」を提供したい!子連れ歓迎のサロンを作ったネイリスト・木本薫さん
「母親になっても自分の時間をもつことを大切にしてほしい」そんな思いでネイルサロン「aiti」を経営する木本薫さん。前編では3人のお子さんを育てながらネイルサロンの運営を続けるための秘訣を伺いました。お客さまの協力を得ながら時間を上手に使い、子どもも自分の時間も大切にする木本さんの働き方は、多くの子育て世代の参考になったはず。後編では子連れ大歓迎という「aiti」の空間づくりのポイントや、多くのお客さまに支持されるありがたいサービスについて深掘りしていきます。
今回お話を伺ったのは…
木本薫さん
ネイリスト、「aiti」オーナー
滋賀県出身。K-two NAIL SCHOOL卒業後、ネイリストとして複数のサロンに勤務。出産、育児のため専業主婦の期間をはさみながらネイリスト歴は約10年となる。2021年に子連れ歓迎のサロン「aiti」を設立。現在は6歳の娘と4歳、2歳の息子を育てながら経営者、ネイリストとして活躍している。
大きなキッズスペースと時間にゆとりを持たせたメニューで親子共々大満足!
――木本さんの経営する「aiti」は子連れ歓迎とのことですが、具体的にどのようなサロンなのでしょうか?
わかりやすい特徴としては、サロンの約半分がキッズスペースであることです。5畳ほどの空間に、たくさんのおもちゃとテレビ、タブレットを置いて、そこから子どもが勝手に出ていってしまわないようにベビーサークルで囲っています。また、施術のスペースには1席につき1つのハイローチェアを設置。子どもを隣で寝かせることができるので、生後1カ月のお子さんを連れてくるお客さまもいらっしゃるんですよ。赤ちゃんから小学生まで、どんな月齢の子でも何人でも受け入れられる場所があることが「aiti」の強みです。友達の家に遊びに行くような気軽さで来ていただけるサロンを目指しています。
――気軽に来ていただけるように、工夫されている点はありますか?
ネイルの途中でも遠慮なくお子さんのお世話をしてもらえるように「お時間30分プラス」メニューをつくりました。通常、アートやワンカラーなどメニューによって確保する時間が決まっているのですが、30分300円でその時間を延長することが可能に。たとえば途中で授乳をしたいとか、最初は子どもが場所見知りをしそうだから慣らす時間がほしいとか、ネイル以外の子どもにかかる時間が心配な方に追加で予約をしてもらいます。通常の時間通りに終われば料金はいただきません。そうすることでお客さまも遠慮せずに子どものケアができますし、こちらも時間に余裕ができてお互い助かるんです。
また、お母さんだけでなくお子さんにもサロンの時間を楽しんでほしいので、積極的にお声掛けをすることも意識しています。スタッフのどちらかの手が空いていれば一緒に遊ぶことも。その際は必ず「抱っこしていいですか?」とお声掛けをしたり、お客さまの目の前で消毒をしたり、衛生面やお子さまとの距離感には注意するようにしています。
世の中のお母さんに自分の時間をあきらめてほしくない
――ここまで手厚いサービスがあるサロンは珍しいですね!子連れに特化しようと思ったきっかけは?
私自身子育てをしていて、美容室などのサロンに通うのに不自由さを感じたことがきっかけです。子育てをしていると今まで普通にできていた自分磨きなどの時間をいきなりあきらめなければならないんです。たとえば「そろそろ髪染めたいな」と思っても、まず「サロンに行く間、子どもをどうしよう」となりますよね。「子ども連れ歓迎」と謳うサロンは探せば見つかりますが、実際行ってみると一畳分のスペースにマットが敷いてあるだけだったり、子どもが泣いて時間が中途半端になったり、癒しの時間のはずが逆に気を遣ってどっと疲れて帰る経験もしばしば。
とくに私は子どもが3人いて夫も忙しいので、自分の美容に時間をかけるハードルがとても高くなってしまっていました。自身がそんな経験をするなかで、お母さんたちが子どものことをまったく気にせず、堂々と自分の時間を楽しめるネイルサロンをつくりたいと思ったのが「aiti」を立ち上げた理由です。
――やはり子育て中のお客さまが多いのでしょうか?
そうですね。お客さまの8割が子育て中の方です。遠いところだと京都から通ってきてくださる方もいらっしゃいます。サロンのある門真市が制定する「赤ちゃんの駅」に認定されているので、安心して来てくださる方が多いのではないでしょうか。
――「赤ちゃんの駅」とは?
門真市が認定した乳幼児と保護者が安心して外出を楽しめるスポットを「赤ちゃんの駅」と名付けているんです。「自由に授乳ができる」「ミルク用のお湯がある」「おむつ替えのできるスペースがある」などの項目をクリアした施設が認定されます。保育園や民間施設が多く、今のところネイルサロンで認定されているのは「aiti」だけですね。
お客さまと同じくスタッフとして働く母親を応援したい
――実際に訪れたお客さまからのお声を聞かせていただけますか。
これまで私と同じように、子どもを連れてサロンに行くことに不自由さを感じていたお客さまが「これぞ求めていたサロンです!」「aitiに出会えてよかった!」と言ってくださることが多く、とても励みになっています。
――子育て世代にとって希望となるすてきなサロンですね!最後に、今後の目標があれば教えてください。
まだ具体的に動いているわけではありませんが、今のサロン内でお客さまからの要望が多いマツエクもできるようにしたいと思っています。お客さまのなかにはアイリストをしていたけど子どもができてあきらめたという方がいて、そんな方を募って始められたらいいですね。これからはお客さまだけでなくスタッフを雇うことで働くお母さんを応援できるようなサロンに拡大していきたいと考えています。
親も子も気軽に通えるネイルサロンを作る3つの秘訣
木本さんの経験がいかされた、親も子も気軽に通えるサロンづくりの秘訣をまとめると、以下の3つでした。
1.設備を充実させて子どもにとって快適な空間をつくる
2.時間延長のメニューを導入し、余裕をもって施術をおこなう
3.自分が不自由に感じた経験から快適なサロンづくりのヒントを得る
近年、子連れOKのサロンは増えていますが、ここまで親子が快適に過ごせる空間をつくり上げたサロンは珍しいのではないでしょうか。ご自身の経験をフルに生かして働く女性を応援する木本さんの姿に勇気をもらいました。経営者の方や子育て中の方はぜひ参考にされてみてくださいね。