バーテンダーの経験を生かして、ヨガ&薬膳ランチを開催 川上由佳理さん♯2
川上由佳理さんは、ヨガインストラクター×歯科衛生士×バーテンダーの3つの仕事を掛け持ちするトリプルワーカー。地元北海道で歯科衛生士として社会人をスタートさせた川上さんは、移住先の横浜でバーテンダーに転身。その後、恋人を病気で亡くすという大きなショックを癒してくれたヨガで、自分自身も周りの人も健康にしたいとRYT200を取得しました。
そのような経緯でトリプルワーカーになった川上さんは、フルの歯科衛生士の仕事をメインに、ヨガインストラクターとしてクラスを担当する他、不定期でヨガイベントやバーテンダーの仕事も楽しんでいます。トリプルワークのメリットは、ヨガで歯科衛生士の職業病をメンテナンスできること、それぞれの仕事でまったく違う世界の人に出会えることと語ってくれました。
お話を伺ったのは…
ヨガインストラクター
川上由佳理さん
歯科衛生士を続けながら、ヨガインストラクターとしてYu Studioでのレッスンを担当。古民家でのヨガイベントや、鍼灸師・セラピストとのコラボなども精力的に実施。不定期でバーテンダーの仕事もする異色のトリプルワーカー。「一度きりの人生を楽しく生きたい」という信念の下、多方面で活躍中。
「築100年の古民家レンタルします」の文字が目に飛びこんできた
――ヨガインストラクター×歯科衛生士×バーテンダー、3つのお仕事はどんなふうに動いているのですか?
歯科衛生士の仕事を月~木曜のフルタイムで、金曜の夜にYu Studioでヨガインストラクター、土日に不定期でヨガイベントやバーテンダーの仕事を入れています。バーテンダーの仕事は、前に働いていた横浜のバーのスタッフやお客さんとも仲が良いので、その人たちに会いに行っているような感覚ですね。
川上さんのトリプルワークの動き方
月〜木曜 フルタイムで歯科衛生士
金曜 午前…歯科衛生士 夜…ヨガインストラクター
土日 不定期でヨガイベント、バーテンダー
――担当されているヨガはどんなクラスなのですか?
金曜の夜にぴったりのベーシックヨガクラスです。身体をていねいに動かしながら、後半はリラックスしてそのまますぐ眠りにつきたくなるような内容です。
――古民家ヨガなどのイベントもされていますが、場所はどうやって探すのですか?
いつもは見ないんですが、ポストに投函されていたタウン誌をパラパラめくっていたら、「築100年の古民家をレンタルしています」という記事が目に飛びこんできたんです。これも何かのご縁ですよね。すでに、古民家でヨガイベントをされている方がいたので、まずはそのイベントに参加させていただき、その方経由で大家さんを紹介してもらいました。
古民家の家主は農家さん。とれたての野菜がふんだんにあったので、ヨガレッスン&薬膳ランチイベントをやることにしました。当日のヨガレッスンはインストラクター仲間に担当してもらい、わたしは料理に専念。前日から古民家の大きくてかわいいキッチンをお借りして、野菜中心の料理を仕込みました。
――ヨガに薬膳ランチ! 本当に楽しそうなイベントですね。川上さんは料理もお得意なのですか?
ヨガを学ぶ過程で、料理も詳しくなりたいなと思い、薬膳コーディネーターの資格を取得したんです。薬膳の歴史から、どんな食材が身体の器官にどのように働いて、不調や病気を予防できるのかを学びました。
――イベントの集客はどんなふうにしていますか?
インスタで告知をしています。参加者には、ヨガスクールの繋がりの方が多いですが、SNSからではなく、イベント会場の近隣の方に参加していただけたこともすごく嬉しかったです。
やりたいと思ったら、タイミングを逃さずチャレンジ
――トリプルワークのメリットやそれぞれの仕事への相乗効果はありますか?
歯科衛生士の仕事は、同じ姿勢を長時間続けているため、体がバキバキになるんです。腰痛や首・肩こり予防のために、毎日家でヨガをやっていますが、それですべて解消というわけにはいかないんですよね。ヨガを教える仕事をしていると、生徒さんにどうすれば伝わりやすいか、自分の体で試したりするので、体のメンテナンスにもなっています。それから、それぞれの職場でまったく違う方と出会えるところも好きですし、かなりリフレッシュできています。
バーテンダーは、お酒を作って接客をする仕事ですが、わたしの中では穏やかな時間。自分の家族に会いに行くような、いつも帰ってきたなという気持ちになるんですよね。
――一度は、歯科衛生士の仕事がつまらなく思えたとおっしゃっていましたが、いまはいかがですか?
いまは、わたしが診る患者さんはわたしが助けるぞという気持ちで向き合っています。仕事なので、患者さんとある程度ラインを引く人も多いんですが、私は歯医者さんで出会えた方もすごく好きなので、仲良くなって北海道の昆布をあげて、お返しにお菓子をもらったり。そういう人づき合いが好きなんですよね。施術中、患者さんはしゃべれないのに、わたしはずっとしゃべってるんですよ(笑)。
――今後、川上さんのようにダブル(トリプル)ワークを考えている方にアドバイスはありますか?
やりたいと思ったら、すぐ動いたほうがいいと思います。わたしも、失敗したらどうしようと思って踏み切れないでいた時期もありましたが、そうしている間にいろんなタイミングがずれてしまうんですよね。それで、できなかった自分に悶々としながら時を過ごすくらいなら、例え失敗してもチャレンジしたほうがいいと思います。
――それでも一歩踏み出せないときは?
残された時間が少ないと思ったら、勇気が出ます。わたしが付き合っていた人は、31歳で亡くなりました。31才なんて、人生これからだと思うじゃないですか。でもいちばん身近な人が、目の前で心肺装置を外される瞬間を見て、元気でいられる時間はそう長くはないということを思い知らされました。自分だけではなくて、近しい人がそうなるかもしれない。だから、やりたいと思ったら、タイミングを逃さずチャレンジすることをおすすめします。
――最後に今後の展開があれば教えてください。
実は、近々北海道に帰る予定なんです。親も兄弟もみんな北海道にいるので、1年に1回しか会えないのがさみしくなってしまって。すでに道内で就職先が決まっているので、そこで歯科衛生士としてやっていく予定です。
長くこちらに住んでいて、友だちや知り合いも増えたので、定期的に戻ってきてヨガのレッスンもしたいと思っています。北海道でも、どこかイベントスペースを見つけて、休みの日にヨガイベントをやりたいです。いまはZOOMがあるので、遠距離でもレッスンできますが、わたしは伝えたい雰囲気や温度感、熱量が届けられるリアルがやっぱり好き。場所は変わっても、歯科衛生士×ヨガインストラクターという現在のスタイルは変えずにやっていくつもりです。
川上さんが考えるトリプルワークのメリット
1.歯科衛生士の仕事で凝った身体をヨガでメンテナンスできる。
2.まったく違う世界の人に出会うことでリフレッシュできる。
3.ヨガイベント等でバーテンダーの経験を活かせる。
恋人の死をきっかけに、ヨガインストラクターになった川上さん。大きな経験をした川上さんの「やりたいと思ったら、タイミングを逃さずチャレンジすること」、「残された時間が少ないと思ったら、勇気が出る」という言葉が響きました。何かを始めるときに躊躇する気持ちはだれにでもありますが、この言葉を胸に、チャレンジする気持ちを大事にしたいですね。
取材・文/永瀬紀子