ヨガ講師育成スクールの正社員として学んだことと、フリーになったこれからしたいこと【ヨガ・ピラティス講師 美都くららさん】#2

宝塚歌劇団・星組娘役として活躍した美都くららさん。退団後のセカンドキャリアとして、ヨガとピラティスの講師になることを選びました。これまでは「自分の夢を叶えるために」頑張ってきた美都さんですが、現在は「人が喜ぶ顔が見られる仕事」に生きがいを感じているそうです。

後編では、6年間の正社員時代に得た知識と経験、フリーランスになってから今後やってみたいことについてお話を伺いました。

お話を伺ったのは…

ヨガ・ピラティス講師 美都くららさん

4歳から宝塚に入ることを目指し、15歳で宝塚音楽学校に入学。2012年に宝塚歌劇団の98期生として入団。星組の娘役として活躍する。喜びや挫折を味わった後退団し、セカンドキャリアを模索する中、ヨガインストラクターとピラティスインストラクターの資格を取得。ヨガ講師を育成するスクールの社員講師として数年を過ごしたのち、2024年よりフリーランスに転身。

自分がメインではなく、人のサポートがしたい

――宝塚歌劇団を退団後、セカンドキャリアとしてどのようなビジョンをお持ちでしたか?

まず、もう芸事の仕事はしないと決めていました。10代から20代にかけて十分やり切ったので。そこで、まずは「いろんなことをやってみよう」と思い、医療系の事務をしてみたり、パソコン教室に通ったり、経験を増やすことに時間をかけました。

そうしてわかったことは「体を動かさずじっとしている仕事は、私には向いていない」ということ(笑)。それまでずっと体を動かすことしかしてこなかったので、当然といえば当然ですよね。

――まずは社会に出て、自分を客観視することから始めたんですね。

はい。それまで社会に出たことがなかったし、そこが同世代と比べて自分に欠けているところだと自覚していたので。

次に考えたのが、自分は何が好きだろう?ということです。やっぱりこれからの長い人生、好きなことを仕事にしていきたいし、得意分野と仕事がリンクすれば、自分にとってもいいはずですから。

あと、もうひとつ仕事選びの基準にすることがありました。それは人が喜ぶ仕事をしたいということです。

私はこれまである意味「自分のために」仕事をしてきました。もっといい役を獲得したい、もっと自分を見てほしいと。そのフェーズを過ぎた時、「次は人をサポートする側に回ってみたい」と思ったんです。

――そんな美都さんの希望を兼ね備えていたのがヨガ講師だった、と。

はい。22歳でヨガ講師の資格を取り、卒業と同時にそのスクールに正社員として入社しました。

ヨガ講師を育成する仕事は有意義な時間でした

ヨガ資格RYT200修了式の様子

――フリーランスではなく、正社員になったのはどうしてですか?

社会経験を積みたかった、というのが第一ですね。どういうふうにスクールは運営されているのか、顧客管理はどうなっているのかなど、当時の私は何も知らなかったので。最初は電話の応対の仕方すらわかりませんでした(笑)

研修を受け、電話の応答やビジネスメールの書き方など、社会人としての基礎を一から教えてもらえたことは、とても感謝しています。

フリーランスとなった今も、その経験や知識は役立っていますね。

――講師の資格をとったばかりの美都さんが教える立場になることに、不安はありませんでしたか?

研修を半年ほど受けて、そのあと講座を持つようになりました。最初はもちろん力量が追いついていません。自分ができること以上のことを求められることが多く、必死で追いつこうと努力を惜しみませんでした。

――ヨガ初心者ではなく、これから講師になろうとしている、いわばセミプロのような人に教えるわけですもんね。

そうですね。これまで私が経験してきた舞台は、演者とお客様の間に物理的な距離がありました。でもヨガ講師育成講座は、目の前に生徒さんがいる。決められた台本がない中、生徒さんとコミュニケーションをとりながら授業を進めるというのは、最初とても大変でした。

でも度胸だけはあるんです。タカラジェンヌ時代に散々鍛えられましたから(笑)、怖さはありませんでした。

――美都さんはピラティス講師の資格もお持ちですが、ピラティスはどのようなきっかけで始められたんですか?

実はピラティスの方がヨガよりも出会いが早くて。宝塚音楽学校の授業にピラティスがあったんです。そこで大枠は知っていたのですが、ヨガ講師育成スクールの正社員になった時に、あらためて研修を受けて資格を取りました。

どちらの知識もあるため「ヨガとピラティスを融合したレッスンを開催してほしい」というオーダーにも応えることができます。

ピラティスのセミナー風景。

スタジオレッスンやヨガイベント参加など幅広いフィールドで活動中

――フリーランスになったのはいつですか?

正社員としては6年ほど勤務しており、主に養成講義を担当していました。そのかたわらで、セミナーの開催やヨガフェスタのような大規模イベントへの出演も業務の一環として行なっておりました。

フリーランスになってからはまだ1年弱です。現在は業務委託としてスタジオでヨガレッスンをしたり、自主開催でヨガクラスを運営したりしています。あとはイベントの出演やヨガ雑誌でライターなどもしています。

――自主開催をするときなど、生徒さんはどうやって集めているのですか?

コツコツとって感じですね。スクールの場合、生徒さんが卒業すると、多くの場合そこで縁が切れてしまうんです。そこから繋がりを絶やさないためには、SNSで定期的に発信したりする必要があります。あとはスクール時代の知り合いに紹介してもらったりしています。

――ヨガ講師といってもタイプはさまざまあると思うのですが、美都さんとしては何を強みにしてヨガの仕事を続けていきたいですか?

もともと6年ほどヨガ講師養成の仕事をしてきたので、引き続き育成の仕事は行なっていきたいですね。現在すでに、講座やワークショップを開催したりしています。

あともうひとつは、ヨガをしたことがない人に向けての活動もしていきたいと思っています。私自身が体調が悪い時にヨガに救われた、という経験をしているので、私のような「ヨガを必要としているのに届いていない人」に向けたアプローチが今後できたらいいな、と思っています。企業の福利厚生で行われるヨガのレッスンで教える、とかですかね。

とにかく、ヨガもピラティスも難しくないんだよ、誰でもできるよ、ということを伝えて、もっとヨガやピラティスの人口を増やしていきたいですね。

美都さんの成功の秘訣

1.目の前にある仕事や生徒さんに集中し、精一杯の真心を込めて取り組む

2.長期的視点を持ち、バランスをとりながら継続することを大切にする

3.好きなことやワクワクすることを仕事にする

取材・文/皆川知子(tokiwa)
撮影/ワタナベミカ


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