採用されるコツは、自分の気持ちをストレートにぶつけること #2
一流の美容師を目指す人なら、一度は憧れる有名サロン。合格できるのはどんな人? そのために必要な準備って? 就活から入社まで、さまざまな疑問や不安に思うことを先輩美容師にインタビュー。
今回は、日本でもトップクラスのカット技術者を生み出している「MINX」にて、アシスタント歴2年目の齊藤政太さんに合格までの道のりを深掘り!
前編は、齊藤さんが美容師を志したきっかけや専門学校の選び方や決め手、「MINX」を第一志望にした理由を伺いました。齊藤さんが合格を勝ち取るために選んだ方法は、マニュアル通りに準備することではなく、自分の気持ちを伝えること。どんな想いを持って、「MINX」の就職試験に挑んだのでしょうか。
お話を伺ったのは…
MINX アシスタント2年目 齊藤政太(しょうた)さん
高校2年生の夏休みに美容師になることを決意し、急遽進路を変更して地元の大阪にあるグラルーム美容専門学校に進学。「MINX」を第一志望に選び、無事採用となる。現在は、MINX ginzaにてアシスタント歴2年目。デビューに向けて、日夜カット練習に励んでいる。
「MINX」への気持ちをストレートに伝えて、採用通知を勝ち取った
――自分の気持ちを伝える際のポイントは?
僕がどういう性格なのか、どんな目的で「MINX」に入社したいのか、僕のどんな経験が「MINX」に役に立つのかなど、ありのままを伝えることを意識しました。美容学校でどんなことに取り組んできて、それを「MINX」でどのように活かせるのかが分かったほうが、相手も僕を採用したときのイメージがしやすいと思ったんです。
サロンの色に合わせて対策してくる人たちが多い中、自分らしさに重点を置いて伝えることは、むしろ目立てるチャンスだと考えました。
――試験当時の様子について詳しくお聞かせください。
試験は3次までありました。1次は、一般常識の筆記試験と面接。2次は、グループ面接。僕のときは、面接官2人に対して、志願者2人の組み合わせでした。3次は、いよいよサロンワーク、といった流れです。
――どういったところが、合格につながったと分析しますか?
個人的には、1次試験の面接ではないかと。それぞれ1分間という時間を与えられ、その限られた時間内に自己アピールをするような面接でした。僕一人に対して大勢の役職の方々がずらっと並んでいらっしゃって、とても緊張したことを覚えています。
そこで僕は、1分間で「MINX」への想いを伝え終わったあと、勝負に出ました。
――どのような?
社長の目を真っ直ぐに見て「『MINX』で働きたいです」と言葉を残して退出しました。実は、専門学校の先生から「面接での最後の一言は、記憶に残るよ」とアドバイスいただいたことを実践したんです。
社長は覚えているのか分かりませんが(笑)、僕は当時の光景を今でも鮮明に思い出せます。そのくらい、その瞬間に賭けていました。
――ちなみに…就活を振り返ってみて、もう少し頑張れたと思う場面はあったのでしょうか?
基本的にはやり切った気持ちでいっぱいでしたが、ひとつだけ挙げるなら2次面接のとき。予想外の質問も想定して、それなりに準備はしていったのですが…その面接は、前述したとおり2:2の形式で行われました。僕ら2人に対して一気に質問を投げかけられたところを、率先して答えられなかったんです。僕より先に手を挙げて答えたのが、今では仲良くしている同期の一人。先に答えられなかったことも悔しいですし、何より後から答える方がより質の高い答えを求められるので、プレッシャーも感じました。
グループ面接ではできるだけ一番に手を挙げ、印象に残る努力をすると良いのではないでしょうか。
――では、難しい質問に対して上手な対応方法はありますか?
僕は、わりと即興で答えられるタイプでした。でも、それができるようになったのは専門学生時代のアルバイト経験が大きく関係していると思うんです。
――具体的に言いますと?
自分を知り、そのうえで「引き出し」を増やしておくこと。そのためにまずは、自分を自分が一番知っておくことが大事です。長所・短所、できること・できないことをしっかり認識して、それを相手に伝える。自分で自分が分からなければ、相手が分かるわけがないですよね。
難しく考えず、シンプルに「今」の自分ができること・できないことをリストアップして、それに向き合って努力し、自分ができる幅を増やしていく努力が必要だと感じます。
ようやく美容師への第一歩! どんな仕事も「作業化」ではなく「変化」を生み出す取り組みを
――実際に入社が決まってから、ギャップは感じましたか?
サロンに対して悪い印象はないのですが、自分自身との戦いといった面では感じましたね。
入社直後は、憧れの美容師にいち早くなりたい気持ちから何かと前のめりになっていましたが、入社1年目で取り組む業務はシャンプーの担当とサロンの掃除くらいで…。毎日毎日同じことを繰り返す日々に、挫けそうになった経験があります。
――どのように乗り越えられたのですか?
自分が思うような美容師になるためには、基礎固めが重要だと理解していましたから乗り越えられたのだと思います。
僕は基礎を繰り返す毎日で必要なのは、「作業化」しないことだと思っていて。確かに毎日同じことを繰り返していると「作業」だと思ってしまい、やる気も削がれていってしまいがちです。でも、そこで大事なのは同じ作業の中でも小さい変化を生み出す積極性なんじゃないのかと。もともと同じことを繰り返すことが苦手で美容師を目指したのですが、このときの経験によって繰り返して身につけることの重要性が分かったんです。
早く一人前の美容師になりたいなら、まずは目の前のことに一生懸命取り組む。その意識を忘れないことが、1日でも早いデビューへの近道と信じて日々練習しています。
――今後の目標をお聞かせください。
やはり、デビューの日を迎えることが目下の目標です。
長い見通しで言うと、地元の大阪でも東京でも、一本に絞らずにどちらでも活躍したいです。美容師として確実に実力を固めていずれは、自分のサロンを…なんて夢も。将来的には、自分の美容師としての可能性を最大限に広げられるように、今をしっかり歩んでいくつもりです。
齊藤さんが就活で採用を勝ち取った3つのポイントとは?
1.学生のうちにしか経験できないことに積極的に取り組み、視野を広げる
2.自分のことを理解し、できること・できないことをリストアップしておく
3.サロン入社後の自分を具体的に伝え、働いている姿をイメージしてもらう
取材・文/東 菜々
撮影/塩谷哲平
Salon Data
住所:東京都中央区銀座2丁目5−4 ファザード銀座2F/7F
電話:03-5159-3838