美容師の次は植物の造形にハマる。コロナ禍で見つめた「本当にやりたいこと」「D/Apartment」八月朔日英樹さん

2017年から銀座にお店を構える「D/Apartment(ドレス・アパートメント)」。その代表を務めるのが八月朔日(ほずみ)英樹さんです。前編ではカミカリスマを受賞するなど高いカット技術を持つ八月朔日さんが、どのように技術力を向上させてきたかを伺いました。

後編では、昨年から植物事業を展開し始めたという八月朔日さんに、その理由やきっかけを伺います。きっかけとなったのは、コロナ禍で空白の時間が生まれたこと。本当に自分がやりたいことに一歩踏み出してみようという決意から、事業を起こしたそうです。

今回、お話を伺ったのは…

八月朔日英樹さん

美容師/「D/Apartment」代表

茨城県つくば市出身。都内サロンにて研鑽を積んだのち、先輩だった三輪敦士さんが立ち上げた「DRESS」に合流。三輪さんがニューヨーク店、八月朔日さんが銀座の店を守る形で経営を続ける。その後、同じく銀座に「D/Apartment」をオープン。コロナ禍を経て、八月朔日さんが「D/Apartment」の代表を任されることになる。カット技術の高い美容師として、顧客からの信頼も厚い。現在は植物事業も展開中。

コロナ禍で問いなおした「自分の人生」

「D/Apartment」の店内。八月朔日さんがデザインした植物がいたるところに置かれている

――昨年から植物事業も始めたそうですね。

そうなんです。まだ事業として成り立ってはいませんが、今は1日のうちの半分を美容師、もう半分を植物事業にあてるぐらい力を入れています。お店のディスプレイを飾ったり、お店の前に飾られた植物を整えさせてもらったりしています。

――なぜ植物事業を始めたのでしょうか?

コロナ禍を機に本当に自分がやりたいことは何なのかということを改めて考えたというのが大きかったですね。既存のお客さまが何年も通ってくださって、20年来のお客さまも何人もいらっしゃるなかで、その方達のためにということをずっと第一に考えてきました。もちろんそれもとても大切なことだとは思ってきたのですが、自分が何をやりたいかという視点から物事を考えたことはここ何十年もないとふと気付いて。そこで生まれたのが、植物に対する思いでした。

――植物は元々好きだったのですか?

元々、茨城の田舎で育ったのと、妻が以前フラワーショップで働いていたこともあり、植物は身近でした。それでぐっと惹かれるところがあったのではないかと。コロナ禍で時間ができたときに美容師としての技術練習は毎日続けていたのですが、植物をカットしてクリエイトする作業にどハマりしてしまって。コロナ禍の一年をかけて色々準備をしてきて、去年から植物事業を立ち上げました。この店の前のビルが建て替えになり、壊すまでの1年間、アトリエ、スタジオ、ネイル、植物ショップとしてトライをしてきました。今後の目標はこれをカタチにすることです

コロナ禍を機に従業員の働き方も見直し

コロナ禍をきっかけに、八月朔日さんだけでなくスタッフも人生について見直したという

――コロナ禍の空白の時間が八月朔日さんに大きな影響を与えたのですね。

本当にそう思います。従業員の給料面やお休みについても、コロナ禍を機に大きく変えることにしました。完全週休2日制にしましたし、有休を取りやすい環境にもしました。数字をしっかりとれるようであれば、休みや働き方については個人のスタイリストに委ねるようにしたんです。昔では考えられませんでしたが、看護師をしながらダブルワークでアシスタントをしてくれているスタッフもいたりして、自分自身の働き方の視野が広がってきたと感じています。

技術の面でもそうです。ベースとなる技術のところで譲れない、細かい部分はありますが、それを取得したうえで、スタイリストがやりたい手法があれば各自で取り入れたらいいという考え方に変わっていきました。たとえばレザーカットを取り入れたいというなら、僕はしないけれど、目の前のお客さまが喜んでくれるならそれが正解だと思えるようになったんです。

――なるほど。ちなみにコロナ禍に働き方について着手したのには、何か理由があったのですか?

単純に時間があいたということもありますが、スタッフにも自分の生き方をもう一度見つめ直してほしいと思ったんです。美容従事者にとって大変な年でしたが、自分の人生、仕事について問い直す、いいきっかけになったことは間違いないと思います

奥銀座のストリートをジャングルにしたい

今後の展望について語る八月朔日さん

――最後に今後の目標を教えてください。

来年は、新事業を成功させるための、勝負の一年といってもいいと思います。その準備をして、植物事業を少しでも軌道に乗せていきたいし、将来的にはこの奥銀座のストリートをジャングルにできたらという野望もあります(笑)。もうひとつ、考えているのがトリマー事業なんです(笑)。植物もそうですが、トリマーに興味があるのも、要するにハサミ、カットをベースにした事業展開をしていければと思っているからです。サロンの方は、高齢のお客さまが増えてきているのでバリアフリーに着手していきたいと思っています。

植物事業など法人化した会社の名前を「Roots」というブランドにしたのですが、社名の意味は要するに「根」、「根っこ」という意味なんです。銀座の地域の方達にもとてもよくしてもらっているので、銀座という地に根を張ってブランド展開していければと思っています


八月朔日さんがコロナ禍を飛躍のきっかけにした、3つのポイント

1.自分が本当にやりたいことを見直し、植物事業を始めた

2.従業員の働き方も見直し、給料や休みなどを整えた

3.コロナ禍を好機と捉え、スピード感を持って行動した

八月朔日さんのお話を聞いていて印象的だったのは、ひとつのことに楽しみながら打ち込む姿勢。植物事業、トリマー事業と幅広く展開を始めた八月朔日さんの今後から目が離せません。

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Salon Data

D/Apartment
住所:東京都中央区銀座1-23-2
電話:03-6263-2981
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