「どれだけの熱量を伝えられるか」が面接フロー通過の決め手/grico #3

美容師を目指す学生、新天地を目指すスタイリストさんにとって、避けては通れない就職活動。晴れて採用を勝ち取るためには、どんな準備が必要? 心がまえは? そんな疑問を、実際のサロン採用担当者にインタビュー!

前回に続き、美容業界内外から注目され、成長意識の高い就活生が集まる「grico」の店長・寺尾フミヤさんにお話をお聞きします。

#3は面接のポイントについて。gricoの主な面接フローは、集団面接、プレゼンテーション、サロンワークの3つ。それぞれどんなところに注目しているのか、教えていただきました。

お話を伺ったのは…
grico 店長 寺尾フミヤさん


島根県出身、関西美容専門学校卒、美容学生時代からgricoに通いつめ、採用後は1年目から代表エザキヨシタカさんの専属アシスタントとして国内外のセミナーやヘアショーに同行。grico史上最速でスタイリストデビュー。2023年8月より最年少27歳で店長に就任。

応募者が一気に絞り込まれる集団面接。
自分の想いと強みを、自分の言葉で語って

――今回は面接についてお聞きします。
最初は集団面接とのことでした。概要を教えてください。

人数は5~7名ずつ、各グループ30分前後で面接します。書類選考は幹部で行いますが、面接からは半日ほどサロンを閉めて、スタッフ全員が参加します。1年目のスタッフに質問をしてもらったりもしますね。去年その場にいたからこそ、できる質問があったりするので。

質問内容はさまざまですが、改めて志望動機を聞く時間と、自己PRの時間は設定しています。事前に自己PRできるものを持ってくるように伝えていて、持ってこられるものなら何でもOK。「学校でワインディングを頑張った」とマネキンを持ってくる子、「部活を頑張っていた」と賞状を持ってくる子など様々です。

話す順番はとくに決めていないので、挙手制で進めていくことが多いです。時間制限も設定はしていませんが、あまりにも長い場合はストップをかけることもあります。

――集団面接では、どういったところを見ていますか?

もちろん緊張はしていると思うので、それに関しては仕方ないと思っています。とは言え、声の大きさや表情の明るさなど、人と接するうえでの最低限の部分ができているかは気になりますね。

あとは、自分の言葉で話せているかという部分。みんな面接の対策はしてくると思いますが、書いた言葉を丸暗記しているような固い話し方になったりするんです。でも普段から周りの友達や先生とかに自分の想いを話していたら、面接でも自分の言葉で自然に話せると思うんですよ。面接で聞かれてもパッと答えられるくらい、自分の中でgricoへの熱量が浸透しているかというのは、返答を聞けばわかります。

――志望動機と自己PR以外に、必ず聞く質問はありますか?

「gricoを辞めない理由」はよく聞きます。続ける理由と似ているけれど、少し違った視点というか、「自分にはこういう想いがあるから辞めない」というところを聞きたいんです。美容業界はどうしても辞めていく人が多いので、その人たちと自分の何が違うのかを教えて欲しいんですよね。

志望動機はみんな似ていたりします。でも「gricoを辞めない理由」は、その子の人生の経験やgricoに出会って得た想いを振り返らないと出てこないので、その子だけの話が聞けるような気がしています。

あとは「誰にも負けない自分だけのストロングポイントを3つ教えてください」という質問もよくします。自分の特徴を把握できているか、自分を客観視できるかという点も、美容師にとっては大切なポイントですから。

プレゼンでは取り組む姿勢と熱量、
サロンワークはチャンスをものにできるかがカギ

――二次試験となるプレゼンテーションについて教えてください。

集団面接の通過後にプレゼンテーマを伝え、2~3週間後に発表してもらいます。テーマは毎年変わりますが、例えばわかりやすいものだと「美容学生100人がいる会場と仮定して、全員がgricoに来たくなる会社説明会をしてください」という感じ。このテーマであれば、企業研究をしっかりしないといけないし、100人の心を動かす言葉を考えないといけない。そういったテーマのポイントとなる部分を理解して、どこまでしっかり取り組めるか、gricoのことを知ろうとしているか。そんな熱意の有無を見ています。

プレゼン経験があったり、いろいろ器用にできたりするタイプは、上手にこなすことができると思いますが、そこに想いがこもっていなければ落選することもあります。それよりも、ちょっと下手でも「本当にgricoが好きで、gricoに入って頑張りたいんだな」と感じられる発表をする子の方が、通過しやすいんじゃないでしょうか。

――三次試験となるサロンワークでは、どんなところを見ていますか?

学生の場合、サロンワークでできることが限られるので、挨拶の仕方や席へのご案内の仕方といった簡単な業務を、まずは全員同じように教えます。そのうえで、そこから仕事を増やしていけるかはその子次第という状況で、どんな動きができるかを見ていきます。

もちろんお客様に失礼があってはいけないので「絶対に先輩に聞いてから動くこと」を伝え、その限られたなかで自分に何ができるか考えながら動いてもらうんです。「これもやってもいいですか」と聞ける子は、やっぱり働き出してからも強いですよね。

またサロンワークは土曜日などに行うんですが、忙しい中でお客様との会話に参加させたりするんです。だから会話に入りやすい雰囲気やポジショニングが取れるかといった部分も重要。「ちょうどいいところにいる」って、働き出してからも大事なことだし、センスが問われる部分なんです。

そしてチャンスが来たら、自分の想いをちゃんと言葉にできるか。お客様との会話のなかでもgricoへの想いを話す機会は必ずあって、そこできちんと気持ちが伝わってお客様の反応がよければ、見ているスタッフ側も好感が持てます。

あとはサロンワークの最後にその日の反省をするんですが、そこで何を話すのかも大切です。反省という言葉のイメージから、自分ができなかったことを話す子は多いんです。でも一番大切なのは、「自分が働きたいお店に1日スタッフとして入れた」という人生で一度しかない経験をどれだけ楽しめるか。その貴重な経験から何を得たかという話ができるといいと思います。

面接でも働き出したあとを想定した
プロ意識のあるコミュニケーションを

――好感が持てる面接時の行動や態度があれば教えてください。

接客業なので、挨拶がしっかりできるとか、明るい表情で話せるというのは、とても大切です。接客中に緊張して表情が硬いと、お客様が不安になってしまいますから、人と接する上でのプロ意識ができているかは重要です。

また狙ってするのは難しいと思いますが、想いが伝わる話し方ができる子は、みんなからの評価は高いです。例えば「gricoを目指したきっかけ」となった体験というのは、面接に来ている子なら誰でも持っているはず。でもそれを、どれだけドラマチックに伝えられるかというのは個性が出ますよね。

そこに内容がしっかりあったうえで、経験を上手く自分のなかでストーリー性を持たせて、相手に伝わるように話す。それができていると、印象はいいと思います。

――逆にNG行動はありますか?

当然ですが、声が小さすぎるとか、何を話しているかわからない、伝わらない内容を長く喋りすぎる…というのは厳しいですね。「聞き手が疲れる」感じは、やっぱりよくないと思います。

またみんなの前で結構突っ込んだ質問をしたりするんですが、それに対してうまく答えられなかったときに、あまりにも落胆しているのを表情に出されると気になります。お店でそんな表情をされたら、お客様はすごく不安になるじゃないですか。「働き出したときに大丈夫かな?」と感じる行動は、ちょっと心配になりますよね。

採用される面接時のポイントまとめ

1.サロンへの想いを自分の言葉で熱量を持って伝える

2.どんな採用フローも真摯に取り組む姿勢を見せる

3.プロ意識を持ったコミュニケーションを意識する


次回は、採用したい人材の特徴について詳しくお聞きします。

取材・文:山本二季

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