ゼロイチではないペルソナ設定。二番手集客でも、自分のファンを作り200万売上を達成「NORA HAIR SALON」石山百花さん
表参道の人気サロン「NORA HAIR SALON」で5年目にして、売上200万円を記録している石山百花さん。前編ではどのようにして苛酷な新人時代を突破することができたのかを伺いました。
後編では、どのようにして入社5年目で200万円の売上を記録することができたのかを伺います。韓国スタイルが好きだったにも関わらず、人気スタイリストが同じ路線だったため、最初は特化しようとは思っていなかったという石山さん。しかし社長からのアドバイスにより、ゼロイチではないペルソナ設定をすることに決め、二番手の集客だとしても自分にしかできない接客をすることで、結果を残すことができたといいます。
今回、お話を伺ったのは…
石山百花さん
美容師/「NORA HAIR SALON」トップスタイリスト
大阪の美容専門学校を卒業後、新卒採用で「NORA HAIR SALON」に入社。現在入社5年目。メンズカット、韓国ヘアに特化した確かな技術と、お客さまファーストの接客で200万売上も記録したことがある、注目のホープ。
先輩と被ったペルソナでも、自分のファンは作れる
――スタイリストデビュー後は、メンズ、韓国ヘアに特化されているそうですね。
NORAでは、デビューするちょっと前にみんなペルソナ設定をします。そのとき、どんなペルソナにしようかとても悩んだのですが、私には兄が2人いるので、割と男性の方がコミュニケーションを取りやすかったこと、メンズカットが好きだったこともあってメンズカットに特化することにしました。ただ最初は韓国に特化するつもりはなかったんです。
――「NORA HAIR SALON」に入社したのも、韓国ヘアが好きだったからと仰っていましたが、特化しようと思わなかったのはなぜですか?
うちのサロンでは韓国ヘアで売れているYUMA ISHIKAWAというスタイリストがいるので、同じことをやっても・・・という思いがあったんです。ただ最短で売れる美容師になりたいと思っていたので、代表取締役の広江にペルソナ設定について相談したときに言われたのが「YUMAと同じ路線だとしても続けていくうちに自分のスタイルが確立できるし、YUMAの予約から漏れたお客さまを自分のファンにすることもできると思う。みんなゼロイチでがんばろうとするけど、それはすごく難しいし、すでにあるイチを自分で広げていく手もあるよ」という言葉でした。
それを聞いて、「確かに」と思ったんです。サロンのなかで唯一無二の存在になりたい気持ちはありましたが、それは数字をあげてから取り組んでも遅くない。まずは韓国ヘアで自分のお客さまの土台を作ろうと思いました。
――なるほど。そこからは順調に?
実は最初はちょっとだけ「YUMAさんの予約を取れていないから私に来てくれたのかな」と、引いてしまう気持ちがありました。そこでも総代表の田中から「お客さまは選んで来てくれているんだから、自信を持ってやっていいんだよ」とアドバイスをもらって。そこからは、心を入れ替えて、前向きな気持ちで取り組むことができるようになったと思います。たとえYUMAの予約から漏れて来店してくれたお客さまだとしても、私にリピートしてくれることも増え、売上も200万円を記録することもできました。
自分にしかできないことを提供し、ファンを増やす
――200万円はすごいですね!リピートにつながるコツはあるのでしょうか。
お越しいただいたお客さまには自分にしかできないことを提供する、ということを心がけるようになりました。YUMAは男性で、私は女性。女性目線で見た格好いいメンズスタイルのアドバイスができるのが私の強みだと思って、意識的に提案するようになったことで、リピートのお客さまも増えたような気がします。
あとはメンズのお客さまの場合、「こういう感じで、適当に」というようなこだわりがそこまで強くない人も多い傾向があります。ですが、そういう方にも質問を重ねて、私がその人の好みのスタイルを深掘りするようにしています。カウンセリングのときにはかならず複数の選択肢を提示して、「刈り上げは好きですか」、「前髪はあげたほうがいいですか」、「シースルーの前髪が流行っていますが、好きですか」など細かく聞くんです。そうすると自分なりにその方の好みが把握できるようになって、満足いただけるようになるのではないかと思っています。
――お話を伺っていると、先輩たちのアドバイスを糧にして前進されているように感じます。ほかにも先輩からもらった印象的なアドバイスはありますか。
アドバイスというのとは少し違うのですが、一番印象的なのは小杉から言われた「お前はちゃんとやっていけば売れる」という言葉です。すごく自信になりましたし、そうやって期待してくれている分、その気持ちに応えたいと考えて行動するようになりました。
諦めず、できることを1つずつ増やしていく
――ご自身の新人時代と、現在を比べてみて、どのような違いがあると思われますか。
責任感が増えたことと、自信がついたことだと思います。アシスタントの頃ももちろん責任を持って仕事はしていたのですが、自分のお客さまではないので、何かあったときに責任を取るのはスタイリストになりますよね。でもスタイリストになると、その責任を全部自分が背負うことになります。美容師の仕事は一歩間違えるとお客さまを悲しませることにもなりかねないので、その責任が増えたのが、過去との違いではないかと思います。
そして責任は増えたのですが、スタイリストになったことで自分のフィールドに立つことができ、それは自信につながっているとも感じますね。
――石山さんが感じる美容師の仕事のやりがいは?
自分の作ったスタイルがよかったと喜んでもらえることです。実際に過去に体験したことなのですが、あるお客さまが完成したスタイルを見てとくに笑顔もなく帰っていったことがあって、「満足してもらえなかったのかな」とすごく不安になったんです。
でもその方が2回目も来店してくれて、「前回のスタイルがよかったので、前回と同じで」と言ってくださったことがあって。自分が提供したものを、お客さまによかったと言ってもらえることが美容師の大きなやりがいだと思います。
――最後にこれから美容師となる人や、新人時代を過ごしている人にアドバイスをお願いします。
私みたいに気が強い人ばかりではないと思うのですが(笑)、諦めないでほしいなと思います。心折れそうになることはたくさんありますが、そこで折れてしまったら終わりなので。いろいろなことを一気にすべてやろうとせず、1個ずつ着実にできることを増やしていく。そうすれば自信につながっていくし、お客さまに喜んでもらえることも増えるはずです。
石山さんがスタイリストとして成功した3つの理由
1.ゼロイチのペルソナを狙わず、売上の土台を作ってからオリジナリティを出すことにした
2.自分にしかできないカウンセリングや提案で、お客さまの満足度をあげた
3.お客さまに喜んでもらえる技術や接客を提供することを、責任を持ちながらも楽しんだ
柔らかな口調からは想像もできないほど、熱い思いをもって仕事に取り組んでいる石山さん。努力を重ね、お客さまを大切に行動し続ける石山さんだからこそ、5年という短い期間で成果を残したのも納得です。これから美容師として活躍したい人、新人時代を過ごしている人は参考にしてみてくださいね。