ネイリストは「終わりのない仕事」。技術の研鑽を楽しめる人に「MayFairy」原田知嘉子さん

銀座にあるアイラッシュ&ネイルサロン「MayFairy」。サロン唯一のネイリストとして10年勤務しているのが原田知嘉子さんです。原田さんの予約は、数カ月先まで埋まるほど顧客から厚い支持を受けています。

前編では、新人時代の原田さんがどのように技術を研鑽してきたかを伺いました。

後編では、顧客から熱い支持を集める原田さんが、どのような心がけを持ちながら接客をしているか伺います。顧客との信頼構築のためには「提案」が重要だという原田さん。さらに提案をするために意識しているコミュニケーション術についても伺いました。新人時代を振り返り、どんな学びがあったかについてもお話いただきました。

お話を伺ったのは…
原田知嘉子さん

歴18年でJNA日本ネイリスト検定1級の資格を持つネイリスト。成人式で初めてしたネイルに感銘を受けてネイリストの道へ。名古屋の専門学校に通学し、三重県にあるネイルサロンで8年間勤務。上京し、「MayFairy」のネイル部門立ち上げメンバーとして参画。数カ月先までリピーターのお客さまで予約が満席となる人気ぶりで、トレンドデザインからシンプルなワンカラーまで幅広い施術を得意としている。

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「傾聴」と「自己開示」で顧客と良好な関係を築く

お客さまの持ち物やファッション、趣味などをよく見て、傾聴することを意識しているそう

――原田さんは三重県のサロンに8年勤めたあと、上京されたのですよね。

家庭の都合で上京することになり、8年勤めた古巣のネイルサロンを退職しました。プライベートのお話もたくさんしてきたので、絆が深いお客さまばかりで、最後の施術ごとに大号泣してお別れをしました(笑)。

――そんなに深い関係を築いていたのですね!接客ではどんなことを意識していましたか?

関係を構築するためには、まずは傾聴の姿勢が基本だと思います

しかしそれよりも一歩踏み込んだ関係を構築するためには、自己開示をすることや、こちらから情報をgiveすることも大切です。身の回りであった面白い話を自分からするようにもしていましたし、美容部員の経験を活かしてスキンケアの悩みに乗ったり、最近の注目コスメなどの情報を提供したりもしていました。

ネイリストと美容部員の二刀流は大変でしたが、今でも生きている知識がたくさんあります。あの時、美容部員が経験ができていてよかったなとしみじみ思いますね。

――上京後、数あるサロンのなかから、なぜMayFairyに就職したのですか?

8年間ネイリストを経験したこともあり、「もし転職する機会があったら、サロンの立ち上げをやってみたい」と考えていたんです。するとアイラッシュ専門店だったMayFairyが、ネイルサロンを立ち上げる新事業でネイリストを募集していると人材派遣の会社に紹介していただいたんです。

初めてお店に行った際も、清潔で明るい空間がとても素敵だと思いましたし、面接担当のスタッフの雰囲気もとても和やかで、「ぜひここで働きたい!」と思いました。

――初めてのネイルサロン立ち上げ、ご苦労はなかったですか?

前職の経験である程度、どんな商材を仕入れれば事業が成り立つのかがわかっていたので、とくに大きな苦労はなかったです。ただ社内にネイルの知識がある人がいなかったので、わからないことがあったときには、三重県の師匠に連絡をしたり、友人のネイリストに質問したりして支えてもらいました。

施術ができる状況をそろえてしまえば今まで培ってきたことを活かせますし、もともとMayFairyのアイラッシュ部門に通っていたお客さまがネイルの施術を希望してくださったこともあって、とくに問題なくスムーズにスタートできたという感じです。

――原田さんは三重県から銀座に活躍の場を移されましたが、ギャップを感じることはありましたか?

三重県で施術していたのは10年ほど前になるので、今は状況も変わっているかも知れませんが、顧客層やネイルに求めるものの違いはあるように感じます

もちろん人による部分は大きいのですが、三重県では子育てが終わって自分のために時間やお金を使えるようになった方が、デザインの施術を求めてお越しくださることが多かった印象です。一方で、銀座は年齢層がまちまちながら、「手をきれいに見せたい」という目的でお越しくださる方が多い印象です。細かなディティールを上質に仕上げることを求めている方が多いので、よりクオリティにこだわった施術ができるように日々練習に励んでいます。

ネイリストは「人が喜ぶ姿」が間近で見られる仕事

シンプルやデザインなど幅広い施術を得意としている原田さん

――原田さんが、施術をするうえで意識していることがあったら教えてください。

無理強いをしないことを大前提として、必ず「提案」をすることです

たとえばお客さまが持ち込みのデザインをご希望された場合でも、そのままそっくりマネをするのではなく、お客さまの好きな色やファッションの雰囲気、好きなブランドや肌の色などを鑑みて「こうした色味に変えてみるのはいかがでしょうか」「この部分はこんなデザインに変えてみてもお似合いになるかも知れないですね」と提案を加えるようにしています。

――お客さまの好みを見つけるために、どんなコミュニケーションをしていますか?

お客さまの好みを見つけるために、着用しているお洋服やアクセサリーなどをよく観察して、可愛いものを褒めて質問をするようにしています。「そのピアス可愛い!どのブランドのものなんですか?」と褒められたら多くの人はうれしくなるし、いろいろと話したくなりますよね。そこで情報を教えてもらって、お客さまの好みをインプットしておくということは意識的によくやっているかも知れません。

お客さまの全体像が見えてくることでできる提案というのもあると思うので、生活の様子やお仕事の内容なども、差し支えない範囲でできるだけお聞きするようにしています。

――原田さんが感じる、ネイリストの仕事の魅力を教えてください。

自分が施した技術で、人が喜ぶ姿を間近で見られるということですね。私は「人を喜ばせられるか」ということを、仕事を選ぶ軸にしているのですが、まさにそれが叶う職業だと感じています

自分が作った作品でお客さまが喜んでくれて、一度ならず、何度も繰り返してサロンに来てくださる方がいるという事実や、私のセンスを信じて「おまかせでお願いします」と言ってくださる方がいることが、私が働く糧になっています。

お客さまは私が「提案」をすることに対して評価をしてくださっている印象です。今後も喜んでもらうために、自分がよいと思うことの提案は続けていきたいと思っています。

「終わりのない技術の研鑽」を楽しもう

大変な時を乗り越えれば、仕事は楽しくなると話す原田さん

――新人時代を振り返ってみて、どんな学びがあったと感じますか?

新人時代は何もかもが初体験。本音を言えば入客するたびに、不安と緊張しかありませんでした。目の前で施術をするためお客さまの反応が気になるものの、要望を汲み取るところまで気を配るのは、なかなか難しかったように思います。

振り返ると、新人時代は他のネイリストさんと差別化をするにはどんなことが必要なのかを考える時間でした

歴を重ねるにつれて段々と、自分本位の考えや理想・好みではなく、あくまでもお客さまの希望を優先して対応すること、またお客さまのことを心から考えた提案をすることが大切なのではないかと気づきました。

――最後に、この業界を目指す人にアドバイスをお願いします。

ネイリストは、一見とても華やかに見える仕事だと思います。しかしどの業界にも下積みの時代が必ずあるように、ネイリストも技術や接客を磨く時間が必ず必要になります。「想像した世界と違う!」とギャップを感じてしまう人もいるかも知れませんが、そこを乗り越えさえすれば、一気に仕事が楽しくなるはず。最初は踏ん張って、乗り越えることをおすすめしたいです。

美容の世界の技術研鑽には、終りがありません。サロンワークを繰り返していても、毎日新しい発見や気づきがある仕事です。そんな「終わりのない技術の研鑽」を楽しめる方がいたら、ぜひ一緒に技術を磨きながら、MayFairyでお互いを刺激しあいたいです。


原田さんが考える新人時代の3つの学び

1.「提案」をすることで他のネイリストとの差別化を図れるうえ、顧客の信用を得ることができる

2.自分本位ではなく、顧客本位で物事を考える

3.美容は、終わりのない技術の研鑽が必要

活躍の場を移しても多くのファンがつき、予約が数カ月先まで埋まる原田さん。美容に対するプロ意識や日々の努力から、人気の理由がよくわかった気がしました。ネイリストとして活躍をしたい方は参考にしてみてくださいね。

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Salon Data

MayFairy
住所:東京都港区新橋1丁目5番2号FabulousGINZAビル6階
電話:03-3573-8077
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